迫る闇
「何故だ!お前はなんで動ける」
「そんなことどうだっていいだろうに………それより、一つの軍が大将を残して全員死んだのだよ。戦うのか、戦わないのか、ハッキリしたらどうだ?」
高斗怒りはとっくに限界を超していた。しかし、それをなんとか抑えていた。しかし、
「それでも動かないか………だったら君の味方する人たちに相談でもしようか」
零二がそう言うと回りの死人たちが俺の軍に立ち向かってきた。数はこちらの7倍で圧倒的に不利だった。
「下がって、距離をとって下さい!」
一人の少女の声とともに全員が後退した。
「ここからはどうしますか?高斗」
俺は考えたが結局いい案は思いつかなかった。
「この人数での逃走はおそらく無理だ。だから二つに分けよう」
「同感です。それでは………こんな感じで」
「そちらは任せたよ」
少女を含めた500人と、俺を含めた500人にわかれ、俺は前線に少女は逃げ場を探しに行った。
「無理はしないで下さい。危なくなったらすぐに退いて下さい」
そして俺たちは、死人たちと一戦交えることになった。
死人たちの行動はいたって単純だった。まるで爆弾のように突っ込んで来ては俺たちに斬られる。自分達の命なんて最初からないように……ただし、頭のいいやつは戦い方を知っているのか、無防備に突っ込んでこない。
「高斗さん………ハァハァ……きりがないですよ……ハァハァ……」
一人の美男に言われたが、全くその通りなのだ。こちらは現時点で300いるかいないか。対して死人たちは5000以上もいる。
「ハッハッハ!この圧倒的差実感してもまだやるのか?」
一人楽しく見物する零二の姿がそこにあった。
「仕方ありません。ここは一旦退きましょう」
「そうしかありませんね」
俺たちは全力で少女たちが向かった場所に走った。
「逃がすわけないじゃん」
零二は立ち上がり、
「ここが貴様らの墓場だ!」
そう言って槍を投げようとしたとき、
「晴哉くん。この前のこと忘れてないよね」
前に立ちふさがったのは澪野である。
「高斗くんの邪魔はさせない」
零二は少し笑みをこぼした。そして、
「いいだろう、遊んでやるよ」
二人の戦闘が開始した。
その頃、逃げる少女たちの目の前に鉄が現れていた。
「麗奈さん。あなたはどんな願いでも叶えてあげるといったら、ここにいる人達を殺すことは出来るかい?」
「その確証がない限りはなんとも」
「確証があればね………」
「私は願いもないし人も殺さない。そう誓った」
少女は強い意志で話していた。
「君のお兄さんを元に戻すとしたら?」
少女は動揺を隠せなかった。
「それは………」
鉄はフードをとって少女の目を見た。そして彼の紅い右目が光輝いた。
「君の願いを叶える準備は揃った。ここからは好きにするといいよ」
鉄は姿を消した。残った少女がとった行動………
それは………
殺戮を平然と犯すことであった