君は一人じゃない
前の話が短かったのですぐ投稿しました
やっと50話きました
高斗は澪野に斬りかかった。澪野は知っている。やつには一撃必殺があることを。だから隙を見せるわけにはいかなかった。しかし、先ほどと同じように長剣を弾かれて捕まってしまった。
「デス・ブレイカー」
闇に取り込まれた。このままではさっきと同じだ。また守れないのか?いや、守れないと守らないは違う。まだあるはずなんだ。
そのとき、彼女は誰かの声を聞いた。
『闇を………闇を………食べるんだ……』
それは闇に乗っ取られる前の高斗の声だった。彼は……何を言ってるんだ……闇を……食べる………はっ!
澪野は何かに気づいた。
闇の中から解放された。しかし動かない。
「くっく。もう終わりだ。これで………」
そのときだった。澪野のクローが高斗の心臓を見事にとらえた。
「かあはっ。なん………だと………」
澪野は傷どころか疲れもなにもない。
「高斗くん。君のデス・ブレイカーの欠点をついたんだよ。これは、闇の心を破壊するものでしょ」
高斗は驚いた。自分しか知らないデス・ブレイカーの秘密を知っている澪野に。
「これは人の闇の感情を破壊して心を壊す技。だから君は私に怒りや憎しみの感じさせる言葉を放った。ちがうか?」
高斗は神風丸を澪野の心臓の位置に構えて言った。
「その通りだよ。だけどさ………ゲームセットは揺るがない!」
その神風丸をゆっくり刺していく。澪野は声ひとつ変えずに言った。
「刺したければ刺せばいい。殺したければ殺せばいい。だけどね、それを一人で抱え込む必要なんてないよ」
高斗の手が止まった。震えている。彼の目からは涙が流れていた。
「もう………いいのかな………」
「………おいで………君を一人にはさせない」
彼は神風丸をはなして澪野に抱きついた。澪野は傷ついた彼を優しく抱きしめた。高斗を乗っ取った闇は知らないうちに高斗の中に戻っていった。
「ありがとう。澪野のおかげで自分を取り戻せたよ」
「よかったです。あとは零二と3人で瑛太さんのところにいくだけです」
するとはかったように零二は現れた。
「……………」
「零二さん。さっきはすみませんでし…………………」
高斗は目を疑った。腹部に大きな傷ができていた。それは今目の前にいた零二がやったことだってことを。
「高斗くん!零二さん。なんの真似?」
澪野は長剣を取り出してかまえた。高斗はその場に倒れて動けない。
「………」
「なんかしゃべってください!」
しかし零二は口を開かない。澪野は零二と飛びかかろうとした。そのときだ。
「晴哉~。君ってせっかちだね」
目の前に現れたのはローブを被った少年だった。年は俺と同じくらい。
「あれ~。み~ちゃんではないですか」
それから急に声を変えて
「未来が変わってよかったね」
俺は澪野を見た。とても焦っている様子だった。
「それから、初めまして。瑛太の弟さん。僕は鉄。つまり、ゲームマスターさ」
俺は目を疑った。いや、この事実を疑った。俺の目の前にゲームマスターが現れたことを。