49/67
黒幕の影………
一人この一部始終を見ているものがいた。
その者は死にかけの魂にテレパシーで会話をした。
「君との契約の代償を払ってもらうよ」
「ワタシハナニヲスレバ………」
「そうだな………君の幻想を現実にしてほしいな♪」
「シカシワタシハ………」
「だったら僕の命を貸してあげるよ。いや、君にあげるよ。命なんて僕にはあってないようなものだからね」
「デモカレハ………」
「君が生き返るのは、少し前の時間だ」
「アリ………ガトウ……」
彼女の意識は少し前の時間に戻された。一人になった彼はぼそりと言った。
「本当の選択………それは………今より残酷な未来が待ってるんだよ。僕は僕の幻想を現実にする。期待してるよ。吉良澪野」
彼は不気味に笑い続けるのであった。
私は悪い夢を見ていたようだ。私は殺され、彼も死んでしまう。そんなことは絶対にさせない。
彼女の前には、闇に乗っ取られた高斗の姿があった。
そして二人の最後の戦いは再び幕を開けようとしていた。