復讐者 完成編
俺はビルの入り口まで来た。確かに、人の血のにおいがただよっている。
「侵入者、侵入者、速やかに廃除……」
監視ロボットが俺の目の前に4機ほど現れた。
「地下にはどう行くんだ?」
「教える必要はない………」
「そうか………あっ、動いたら壊れるから気を付けてね」
3機のロボットが動いた。
ドカーン。
見事に粉々になった。
「いい光景だね………お前もこうなりたくなかったら地下にいく方法教えてくれよ」
「ビルの中にある階段で地下に行ける……早く解放してくれよ」
「ロボットでも生きたいと思うんだ………動いていいよ」
このロボットが動いたと同時に………
ドカーン。
「お前に生きる選択肢なんてないよ。でもよかったじゃん。侵入者の足止めとして評価されるよ。結局壊れちゃったけどね……ハハハ…ハッハッハ」
そして二人組の待つ場所にたどり着いた。
「あまり手を汚したくないから町の人々を解放してくれないかな?」
「嫌だと言ったらどうする?」
「理由を聞こうか………」
「おもしろい………正義は正しいことをすることだと思うか?」
「違うな……」
「俺はすべての人間は正義をしていると思う。しかしな、その正義を完全に否定されたらどうだ?俺はそいつらを許せない」
「お前は今何をしてると思う?」
「俺は悪をしている。でも、悪は正義があってこそ成り立つもの。だったら正義を壊してしまえばいいんだよ。俺はそう考えている」
「フッフッフ……ハッハッハ……おもしいよ。君とはよく似てる気がするよ。その品性の曲がり方とかな……ハッハッハ」
「お前は正義をしに来たんだろ。だったら死…………ぐはっ……」
俺はそいつの左脇腹を貫いた。
「勘違いしないでくれ。これは正義ではない。ただの気休めにすぎない行為だよ……何で俺とお前は同じではなく似てる。そう言ったのだと思う?」
「…………」
「俺は正義を壊し、悪も壊す。そこに残った無だけが俺を動かす。でも、今の俺は悪が支配している。だから悪人を殺し、無にならなくてはならない。よかったね。俺の力の生け贄になれるよ………ハッハッハ」
そう言って、彼の身体を見えなくなる大きさまで切り刻んだ。
「お前は殺されるか………それとも自分で死ぬのか……五秒で選べ……」
「この………バケモノが~」
俺は両腕両足を見事に切断されて、瓦礫の下敷きになった。
「所詮この程度………ハッハッハ」
彼が俺の方向を見たとき………彼の死の瞬間だった。
「なん………だと……」
俺の身体は元通りになっていた。
「怖いよな………辛いよな………お前には何が見える?」
「は……羽根が……お前の背中に羽根が……羽根が生えてる」
「それがお前の遺言だ………君たちのおかげでまた一歩完成に近づいたよ……」
俺はこのときは気付かなかったが、背中に羽根が生えてたようだ。
「おい起きろ………」
女の子は目を覚ました。
「私は死んだんじゃ……」
「後は好きにしてくれ。もう俺とは関わるな」
「あなたは………」
「復讐者の神風高斗。正義も悪も俺が滅ぼす!」
俺は完璧な存在に近づいてこの町を去った




