零刀と森林
「残念だよ………ガッカリだ」
「いきなり何を言っているんだい高斗さん」
「零二は生きてる、零刀の化け物を消した。だからお別れだ………」
そこにはいつもの高斗はなく、ただ負の感情が彼を動かしていた。
「あなたは………あなたは何者?高斗くんはどこに隠したの?」
「俺は復讐者の神風高斗。そして、常闇天使」
そう言って彼は私たちの目の前からいなくなった。
少しして零二さんが目を覚ました。
「俺は………何を……」
記憶がないようだ。暴れていたときの記憶が………
「この森林は俺たちが生み出したものではないんだ」
いきなり瑛太さんは説明を始めた。
「この森林は生きてるんだよ。そしてその心臓部分にあたるのが………その零刀だよ」
「迷宮森林は零刀を守るために出来た森林………ですか?」
「正しいとも言えるし間違っているとも言える」
「どうゆうことですか?」
「森林は零刀を守り、零刀は森林を守る。しかしバランスがくずれてしまいそして………この森林は消える」
瑛太さんの言葉通りこの森林は枯れ果てた。
「それよりも高斗くんは………」
私はそっちの方が心配だった。
「彼は暴走している。この世のすべてに対し、怒りをいだいている。今はそれだけ………」
零二は零刀を握った。もう暴走はしなかった。
「君たちはどうしたい?高斗を殺すか、高斗に殺されるか」
「………救いたい……」
「それが彼にとって邪魔な行為でも?」
「それでも私は彼を救いたい……」
強く、鮮明な一言を瑛太さんに私は言った。
「なら強くなるためにおいで。二人にはその権利がある」
私たち二人は覚悟を決めて瑛太さんに続いた。
そのころ、森林の中で起こっていたことなんて私たちは知るよしもなかった