自分がすべて
30分以上の沈黙が続いていた。母と父は何かを話しているようだ。2人はいきなり立ち上がり、俺はに母が話しかけてきた。
「3人で瑛太を説得させましょう。チュートリアルは今日あと8時間もあるのだから。瑛太だってわかってくれると思うよ」
俺は、しぶしぶ了解し3人で家を出た。
家を出てすぐ、銃声が聞こえる。目の前で人が斬られている。血まみれの赤ちゃんが倒れている。小さい子が、
「お、お兄さん。た、助けて。お母さんがぼくを殺そうとするんだ。」
その子のお母さんは、その子の心臓を槍で突き刺した。
「ゴメンね。でも私が生き延びるためなの。わかってね」
自分が生き残るために子供や女性が死んでいく。兄はなんのためにこんなことをするのだろうか。後ろで銃声が聞こえた。同時に、俺の左肩が痛む。血がだらだら流れていた。誰が撃ったんだ。後ろを振り向くと、父が発泡していた。
「何でなんだよ………」
「自分たちが生き残るためさ。瑛太を説得させるなんてまったくの嘘。でもおまえなら信じると思ったよ。兄のことだから」
「大丈夫よ、あなたが死んでもわたしたちが説得ぐらいいってあげるから。お母さんたちのゆうこと聞いてね」
「嫌だ、俺は瑛太兄さんに会ってすべて聞くんだ。それまで死んでたまるか~~~~~」
俺は叫んだ。
「言いたいことはそれだけか……なら死んでもらうよ」
父はスナイパー。母は魔導士。父は前衛で戦い、母がサポート。オーソドックスだが、いちばん戦いずらい戦法だ。
俺は、剣を持ち父に向かっていった。
「うぉぉ~~」
「威勢だけは瑛太と同じだな」
俺のHPゲージは半分まで減っていた。たいして父はまったく減ってなかった。母のヒールが父の有利な状況を作っている。
「ゴメンね。高斗。もう終わりだよ」
母は一言いうと、呪文を唱え始めた。
「フルチャージ」
父も一言いうと、力を集約させ始めた。俺はこのチャンスを逃すまいと前へ出た。その瞬間、
「ヘル・スロウ」
俺の動きがとてつもなく、ゆっくりになった
「何で、こんなレベルの高い魔法を使えるんだ?」
「スキルはある程度、最初から使える。それを解放させる方法は、モンスター、またはプレーヤーを殺した数だ」
「お母さんは誰も殺してないだろ。」
「すれ違った人々は誰が殺してたと思う。わたしたちだよ」
「みんな殺しきれなかったんだろう。あわれだ。ハッハッハ」
「黙れ、人の命の重さも知らないやつが」
「君もすぐ死ぬのだから」
父は、もうひとつの銃を取り出し、
「哀れな少年よ。これが最後だ。くらえ、これが究極のスキル、ダブルショット」
重い2発の弾丸が俺の胸を突き抜いた。
ばたんと俺は倒れ、ゆっくり目をつぶった………