漆黒魔女
俺の震えは止まった。心臓を貫かれた時に止まった。自分の頭の中でハッキリと浮かんできた文字
『死』
手も足も動かない。兄さん以外に負けたことはなかったのに………俺は結局自分の強さに過信していただけなんだ。所詮兄さんの作ったデータには勝てても普通の人間には勝てない………
「次はどこをバラバラにしてやろうか………私をガッカリさせた腹いせだよ……」
何で俺は逃げようとしている。戦え。そういい続けていたのは俺なのに………
「そうだき右足から時計回りに切り落とそうか………」
戦え。嫌だ。戦え。嫌だ。戦え。嫌だ。戦え。嫌だ。戦え。嫌だ。戦え。嫌だ。どうせ勝てないのに………
俺は目をつぶろうとしたときだった。脳裏に蘇る記憶に触れていた。
「約束だよ」
どこかで……誰と……何を……約束したんだ……俺には約束した奴なんて………落ちている大剣を見て思い出した。
「次に会うときは………」
彼は俺の目の前で死んだ。いや、殺された。だけど、あいつとの約束をまだ終えてない。死ぬ間際に聞いたアイツの一言を
「ゲーム・マスターを………倒して……」
まだ死ねない。死んでは駄目だ。俺は………俺は……
「ゲーム・マスターをぶっ殺すんだ~!」
俺は立ち上がってすぐさま大剣を拾い、死神目掛けて剣を降った。
「なに!」
彼女の頬を剣が掠めた。
「おかえしだ!」
彼女の左腕を切り落とした。
「どうだ!」
彼女は不気味に笑い始めた。
「面白いよ。君たち兄弟は面白いよ。だからこそ私も本気をださないとねぇッ」
彼女を暗い赤のオーラが包み始めた。
「まさか………」
俺は心臓に刺さった剣を抜きながら驚いた
「瑛太だけだと思った?それは浅はかだよ。私でも………あなたでもできる」
そうだ。驚く必要もない。俺もこれを使える記憶がある………
「見せてあげるよ………私の分身を………」
「分身だと…………」
「そう。この力は私たちの分身。だから私たちの身体の中にいる………」
姿をゆっくり変えてく死神を見て改めて思った。俺はもう進むしかないことを…
「私の名は漆黒魔女。君を殺したくてたまらない」
「出来るものな………ら………」
たった一瞬だった。俺の身体中から血が吹き出した。
「でも殺すのは今度にするよ………君が生きてたら………」
「このやろ………うッ………」
俺はバタンと倒れた。死神は誰かに連絡を取っていたようだ。
「こっちの作業は終った………」
誰と話してるなんて考えることも出来なかった