思い出は永遠に
誤字、脱字などあったら言ってください。
悩んだ終わらせ方がこれです。かなり長くなってしまいましたが、香パートの最後なのでよかったら読んでください。
兄がいなくなった後、香は目を覚ました。
「高斗さん。瑛太さんは………」
俺は香の言葉を無視して話した。
「君は俺の妹………神風香。俺たちが君と縁が無くなったのは、5年前の夏………」
香は動揺を隠せず、俺に言った。
「もうやめて………」
「あの日は、海に出掛けていた………日差しが強く、海に行くには最高の日だった」
「だからやめて………」
香の目からは、涙がこぼれていた。でも、俺は話を続けた。
「あの日は、ある1つの国が俺たちの日常をぶち壊した」
俺の拳には、無意識に力が入る。
「その国の名前は…………」
「もういいよ!…………それ以上はやめて!…お兄ちゃんが思い出すことじゃない!」
香は、やはり俺の妹だった………なら、俺もすべてを吐ききらないと腹の虫がおさまらない。
「その国の名前は………ソ倭……」
ソ倭と言うのは、2575年以降ロシアと日本の間で出来た国で、北方領土が正式に国として認められた名だ。
「……………………」
「そのソ倭は、ロシアと日本の2つの国を自国にしようとした。そして、ある兵器を作った。それが…………」
「超電磁雷鳴砲」
やっと香が口を開いた。
「その通り。それを使って日本を支配しようと考えた」
この超電磁雷鳴砲は、今までの核兵器をしのぐもので、科学の力を結集させたものだった。
「最初の標的にされたのは、神奈川県だった」
「そこには、海で遊んでいた私たちがいた」
「そして……………1つの爆発音とともに、一瞬で神奈川県は吹き飛んでしまった………」
すごい衝撃でたくさんの人々が息絶えた。
「俺たちが目を覚ましたときには、香はいなかった」
「そして………お兄ちゃんたちは記憶を失っていた」
「そうだった。でも………何で俺は記憶を……」
「……………………」
「香…………知らないか………」
「私は知っている。でも………高斗お兄ちゃんにはまだ言えない………」
「まだ…………つまり………」
「私は、瑛太お兄ちゃんに話すなと言われている………」
兄さんが俺に言いたくない理由………俺にはわからない。でも、もっとわからないことがある。
「香。君はどうやってここに来たの?」
「お兄ちゃんはまだわからないの?私の本当の姿が…………」
「本当の姿………」
「お兄ちゃんが思い出さないと、私がもとに戻れないじゃん」
俺は、必至に記憶を思い出そうとした。でもわからなかった。
「わたしたちの思い出だよ。瑛太お兄ちゃん」
「思い出………」
俺の頭の中に、かすかなビジョンが映し出される。
「今年の夏はどこに行きたいか?香」
「私は海に行きたい。できれば鎌倉の」
「何で鎌倉なんだ………」
「あそこには、伝説があるんだ……」
「あの伝説か………鎌倉が滅びたときの伝説か……」
「そう、その剣の名前は………」
……………………………はっ
俺は思い出した。その剣の名前は……
「その剣の名前は、神風丸」
香は消えかけていた。
「そうだよ。私はあのときの剣だよ」
さっきの話には続きがあり、あの事件の1時間前に、俺はある錆びた剣を見つけていたんだ。それを香にあずけていたんだ。
「私はあのときの約束を守るためにここに来たんだよ。この剣を返すために………」
その神風丸には、錆が1つもなかった。香はずっと手入れをしてくれていた。
「お別れだよ。お兄ちゃん………」
「行かないで………もう少しだけ………香~~」
「約……束して。お兄ちゃん………もうひとりぼっちは辛いでしょ。だから………お友達……たくさんつくって………」
「香~~~~~~~~」
香は姿を神風丸に変えて、いなくなってしまった………
「バイバイ………」
その言葉とともに回りは一瞬で暗闇になった。目を覚ますと、回りは草原が広がっていた。俺の手元には神風丸があった………
この数ヶ月の出来事が夢であろうと、そうでなかろうと気にすることではない。でも、俺は教えられた気がする。
「香…………楽しかったよ……」
俺は前へ進んでいく………
読んでいただきありがとうございます。
これからの更新はかなりゆっくりになりますが、読んでいただけると嬉しいです。