現実と非現実
「皆さんは、この現実をどう思っているのですか?」
この兄の発言は世界の平和を否定すると同時に、世界を敵にするのであった。
「俺は、こんな世界は許せない。戦争がなくなり、すべてが平和になった。皆さんはそう思っているでしょう。」
兄はいつも見せないほど怖い顔で話を続ける
「この世界は平和であって、平和ではない」
「ど、どうゆうことだ!」
会場から声があがった。
「戦争で生活が苦しい国は、先進国である日本やロシア、アメリカに助けを求めた。そして、結ばれたのが、『同等平等条約』。」
俺には一瞬、日本の総理から渋った顔が見えた。雨もやもうとしない。兄は続けた。
「この条約は不平等条約だったんだよ!ロシアと日本は」
この言葉を聞いたとき、兄と俺の世界の見方が違いすぎることを感じた。
いつも空想で戦う俺と、現実を見続ける兄。
何で、ここまで違うのだろうか。俺にも兄にも、同じ血が流れているのに……
「だから俺は考えた。この世界を壊す方法を………」
日本の総理が不気味に笑う。
「君は知りすぎた。何もかも。このままで十分暮らして行けたのに。ここで死んでもらうよ」
会場の外から500をこえる自衛隊がやって来た。
「標的確認。神風瑛太。銃を構えろ」
そんな中、兄は精密機械をいじっていた。そしてスイッチを押しながら、
「………ゲームスタート………」
「打て~~~~~~」
銃声が激しく聞こえる。兄はどうなったのか。それだけが気になった。
一瞬、悲鳴が聞こえ、銃声がいきなり止んだ。兄は無傷だった。場所もまったく変わってない。
「ゲームスタート……そう言っただろう。ゲームの考案者が簡単に死ぬかよ」
続けて、
「周りを見ろよ。死体だらけだぜ。」
500もいた自衛隊が全員死んでいた。
「今から、チュートリアルを始める。今から言う指示をやぶると君たちは死ぬ……」
会場にいる誰もが、そして俺でさえガクガクブルブル震えていた。
「まずは、君たちの目の前にあるものを送る。それを左手につけてくれ。1分以内だ。もし、つけなかったら、それは爆発し、その持ち主の命もなくなる」
俺は、言われた通り、実行した。だが、隣の家で爆発音が聞こえた。本当に死んでいた。
「その腕につけてくれたものを『アースリーグ』そう呼んでいる。それは、このゲームの参加証明であり、君たちの大事なアイテムであり、君たちの命だ」
兄の言っていること。俺はなぜか理解できた。兄が次に言う言葉、
「これはゲームであり、ゲームではない」
この言葉を聞いた世界の人々は目の前がまっくらになる以外、なかったと思う。
『これは現実であり、非現実だ』
これが、すべての人々の心の声だ………