剣を持つものが対立したら、戦う。たとえそれが兄弟であっても………
俺は、目を覚ました。
「高斗さん。身体は大丈夫ですか?」
「平気だよ…………俺はいつから気を失ってたんだ………」
「1日前からです。ずっと寝てましたよ。寝顔、案外可愛かったです」
香の一言をスルーする俺。
「でも、何で気を失ってたんだ?俺は確か、誰かと話していて……」
「誰かと………ですか……」
高斗には、自分が何をしていたかは覚えていない。でも、香はすべてを知っている。それを話しても良かった。でも、香は話さなかった。話せばすべて楽になる。しかし、大事なものを失う気がしていたからだ。
「やはり、先に進むんですか?」
「君がなんて言おうと、俺は進む。それが間違えだとしても」
「やはり変わりませんか………なら………」
香が言いかけると、自分たちの家から別の場所にワープした。ワープした先に兄は立っていた。
「高斗くん。よく生きてたね。そのゴミと一緒に…………てっきり、高斗くんはゴミを処分したと思っていたのに……」
「何のようだ。瑛太兄さん………」
俺の怒りは今にも爆発しそうだ。
「君と戦いに来たんだよ。僕もこのゲームのプレーヤーの1人だから」
瑛太はメニューを開き、剣を用意して、手元に出した。そして、それをかまえて矛先を高斗に向ける。
「今更………………戦う理由なんてないだろ!」
「俺は君の心の闇に用があるんだよ」
「高斗さん。ここは退きましょう。今は実力差が明らかです」
「香、ゴメンよ…………」
俺は、香の気を失わせた。
「兄さん。邪魔はなくなったよ。もう終わりにしようよ、こんな戦いは………」
俺の顔から、笑顔が消えた。殺気に満ちた目をしている。
「兄さん、行くよ………………うぉ~~~ッ」
「君の力を試さしてもらう。来い、弟よ」
お互いの剣は、ついに混じりあった。いくら兄弟でも、剣を持てば敵同士になる。そして、兄との戦いが始まった。
もうどれくらいの時間が過ぎただろうか。剣を振りはじめてから、1日ぐらい戦っている気がする。でも、俺も兄さんも動きは衰えない。
「強くなったね♪」
「…………どうも……」
兄にほめられて、一瞬隙ができてしまった。しかし、兄はその隙をつかなかった。そして、俺には話しかける。
「強くなった………だけどね、俺には勝てないよ、その強さじゃ………」
「…………………………」
「でもね、君があることをすれば、まだ勝つ可能性があるんだよ」
「………………………………」
「君の心の闇の力を使えばいいんだよ」
「…………嫌だね………」
「……は?……」
「僕は自分自身の力で戦いたいんだよ」
「……………………」
兄はしゃべらなくなった…………この均衡状態はまだ続いていった。その均衡を破ったのは兄さんだった。
「これでどうだ。行くよ兄さん。ガン・ブ………っえ………」
俺が、ガン・ブレイクを放とうとしたとき、兄さんが5人いるように見えた。
「力を使わないか………君らしいな。なら、思い知るといいよ。圧倒的な絶望を……」
辺りの雰囲気は、一瞬でつめたくなっていった…………………