覚醒の兆し2
今更ですが、語り手視線と高斗視線があるので、それを気をつけて下さい。
俺は馬鹿なことをしてしまったのかもしれない。ずっとそう思っていた。自分が戦うことで、かおりとのこれからをつくっていける。そう思っていた。でも、現実は違う。俺の浅はかな考えで、彼女を危険にさらしてしまった……………
『俺に力があれば……………』
『貴様には力があるだろう………それを解き放てばいい………』
俺は、もう1人の自分にそう言われた気がした。でも、俺はもう1人の自分なんて知らない。
『俺に………力が………ある』
『そうだ。力があるのだよ。我よ………』
なつかしい感覚だった。自分の知らない力が体から溢れてくる。俺は、その力に侵食されていった。気持ちがよかった………
「せめて………せめて高斗さんを守らないと。このままじゃ………」
香は必至のバリアで抵抗していた………しかし、そのバリアも壊された。
「ハイジョ。カンリョウ」
ロボットに香は斬られそうになった。そのときだった。高斗が動き出した。
「高斗さん………無事だったんですね」
「………………………………」
俺は、無言だった。何かに従うように戦おうとしていた。隙を見て、一体のロボットが香を襲う。俺は、一瞬でロボットを斬った。
「かおりを排除したかったら………俺を斬ってみろ~~~」
残っていた100体のロボットは、一斉に俺に向かってきた。数の不利で、俺はロボットの剣が40本、体中に刺さった。
「ハイジョ。カンリョウ」
俺のHPゲージはギリギリだった。そして、ロボットに斬られた。
「高斗さ~~~~~~~~~ん」
香の叫び声が聞こえる。でも、俺は死んでいない。むしろ、HPゲージは回復していった。
「どういうことだ…………」
「成功ですよ。高斗くんはわたしたちの計画の第2段階に到達しました」
「つまり、あと少しで…………」
「そうです。あと少しで………彼の心は闇の力の『ルシファー』に侵食されます。それでは、あれを使いますか?」
「彼には、BF40のボスをしてもらう。そう伝えろ」
「了解しました」
俺の力は更にあがっていく。ロボットはどんどん俺により斬られていく。
「ハハハ。すごい力だ。でも、こんなもんじゃ物足りない。もっと戦いたい。もっと強いやつはいないのか………」
「高斗さん。どうしたんですか………」
香の声は俺には聞こえない。そして、俺は香に飛びかかった。剣を持ち、斬りつけるために……………
香は動けなかった。俺の剣があと5㌢で香にあたるところで、俺の自制心は戻った。力を使いきった俺は、気を失った。
「これが…………瑛太様のいっていた高斗さんの力……………世界を光にすることができれば闇にすることもできる力………」
香の表情はとてもけわしかった。