高斗VSかおり 真実を知って………
俺たちの戦いが始まった。鳴り響く、剣と剣がぶつかうあうときの音……懐かしい感覚が少しずつよみがえる。不安……怒り……そんなやわな感情ではなくもっと複雑な物だった。
でも、俺はこの状況を楽しんでいた。戦うことが自分のすべてであり、自分は戦うために生まれてきたと考えていた。でもなんだろう……この胸に刺さるこの感情はなんだろうか。戦う相手は、デュエルとはいえ、家族のような存在を傷つけようとしているのだ。それは、胸が痛むのもわかる。それでも、俺は進まなくてはいけないのだ。戦うことが他の人のためならば…………おかしいよな。戦いは自分のすべてなのに、人のために戦ってるなんて………でも、これが唯一兄の作ったロードなら、俺は駆け抜けてやる。兄が作ったロードを………俺の剣のスピードはどんどん早くなる。かおりは盾で守るのが精一杯のようだ………
「負けるもんか………高斗お兄さんとずっとこの暮らしをするんだ……負けるもんか……」
俺の剣のスピードが少しずつゆっくりになっていく………かおりは戦いはあまり得意ではない。それは俺も知っていた。でも、彼女はそれを気にせず俺に向かっている。このままでいいのか。俺はまた考え始めていた。戦うことが自分のためで他の人のために本当になっているのか………俺の両手は動かなくなった。
「………ととどめ~~~」
かおりは大振りで剣を俺に振り回してきた。俺は動かなかった………はずだった。左手が、俺の背中に背負っている大剣を取り出していた。
『やめろ………動くな………俺の…俺の左手~』
大剣でかおりの剣を弾き、かおりを斬りつけようとした。デュエルだから大丈夫だろう。そう思った。
『デュエルは終了です。これより、不死属性を解除します』
俺の左手は止まらない。そのまま、かおりを斬りつけた。
「かおり~~~~」
大剣は、かおりの目の前から振り下ろすことができなかった。かおりの目の前には、バリアのようなものがあった。
「破壊不能生物………」
「気づかれてしまいましたか……私は、コンピューターのシステムです。すべて思い出しました。私の名前は、コードネーム『香』。あなたの監視プログラムです」
俺は言っていることが、よくわからなかった。何故なら、今の自分は未熟者としか思えず、人の話は耳に入らなかった。
「私は、あなたのお兄様の瑛太様に作られたプログラムです。そして、独断であなたに会いに来ました」
「瑛太兄さんが作ったプログラム………」
「あなたには特別な力があるんです。その力は、この世界を壊すものであり、作り出すものなんです」
自分の力のことは、意味が本当にわからなかった。
「俺の力…………そんなものはない……」
「あなたの力。それは………」
「そこまでだよ。香。おしゃべりはそれぐらいにしておけ。わからないなら見せればいい。香。君の消去もかねて………」
「私の………消去………」
「いでよ………セイント・ガーディアン」
目の前には500の人形ロボットが現れた。
「守ってみなよ…………君のもう1つの存在が肯定した生き方の結晶を……」
俺は、まだ動けなかった……怖かった……自分の覚悟が足りてない。このまま戦っても………
「逃げて………高斗さん……」
俺は我にようやく帰った。そのときには、150をこえる剣や短剣が俺に刺さっていた。俺はその場に崩れ落ちて、動かなくなった。
「高斗さ~~~~~~ん」
誰かが呼んでいる………でも………動くな。俺はこの体にそういった………
「早く逃げな………俺をおいて………逃げ……ろ」
俺は気を失った。




