26世紀はじまる
2500年1月1日 26世紀が始まった。
「そろそろですかね。」
「そうですね。」
「では、『成人式』の日にでも始めましょう」
2500年 1月6日 天気 晴れ
今日は、始業式。久しぶりに、友達に会う日だった。
「高斗くん久しぶり~~」
「よぉ、高斗。今日も語ってくれよ~~」
いつもと変わらない日。俺はそんな毎日を生きることだけが俺の生き甲斐だった。
こんな話をしていると俺は中二病だと思うかもしれない。そうだ。俺は中二病だ。俺には得意なスポーツもなければ、頭がいいわけでもない。なぜなら、兄が凄すぎるからだ。俺の兄は高校の成績はオールAで上の学年の人たちでさえ、兄を上回る人はいない。それだけでなく、運動神経も高く体操の選手としては、世界でも有名であった。
こんな兄に対して俺は、
「今日はスライムを倒したぜ。しかも、めったに現れない虹色のスライムを。まぁ、強さは俺の足元にも及ばなかったけどな。」
「それから、それから。」
「実は、10人ぐらいの組織に包囲されちゃってさ。危うく死ぬところだったけど、俺の聖剣『クリスタルスレイヤー』でなんとかきりぬけたよ。」
俺は、スポーツも普通。成績も普通。たった1つだけ凄かったのは、中二病らしい話の多さぐらいだった。俺は、別にこんな自分でいいと思っている。
『個性は大事だ』
それだけが、僕の教訓であり兄から教わった唯一のことだから。
2500年 1月9日 天気 雨 成人式
今日は兄の成人式だ。父も母もたくましく育った兄を見て、今にも泣きそうだ。でも俺は、兄の時々笑う不気味な顔を見るたびに不安が増していく。
「雨、やまないね」
「そ、そうだね。」
俺はそう返事することしかできなかった。
成人式も無事終わり、一安心。そのまま帰宅するはずだったが、兄は友達との約束とかなんとか言って出かけてしまった。
家に帰るとすぐさま、テレビの前にいきテレビの電源を入れた。この26世紀から、成人式終了後に世界の偉い人たちが集まり、いろいろ会議を行うことになった。雨は、やむどころかさらに強くなっていった。
「えーちゃん大丈夫ですかね。」
「大丈夫だろう。彼は、わたしたちの何倍もしっかりしてるしな。」
俺の心臓は破裂するぐらいドクドクと早く細かく呼吸していた。
「『第1回成人式議会』をはじめま……」
司会進行の日本人がいいかけると急に電気が消えて会議が中断した。俺の嫌な予感は的中した。すぐに電気がつくと中央に小型の精密機械が5台ほどと、3人が立っていた。2人は女性だった。もう1人を見ると男性だった。
精密機械を使っているのもその男性だった。ようやく顔が見えた。その時、俺はとんでもないものを目にした。
「わたしたちはあるお方の命令により、この場をかりることになった。私の名はネロ。そこで銃をかまえているのが、昭子。そして、その精密機械を使っているのが皆さん知っての通り神風瑛太。」
会場ではものすごいざわめきがあがった。
「な、な、何で………。な、何で……。何でなんだよ!瑛太兄さん。」
俺にはなにが起きているかわからなかった。
ただ、兄はこの世界を壊そうとしている。俺はそれ以外のことを、考えることができなかった。