妹とお兄ちゃん
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5歳の美琴には15歳の兄がいる。
美琴はまだ幼稚園の年中で好奇心旺盛だ。
それに対して15歳の兄は中学3年でサッカー部、口の聞かない反抗期真っ盛りである。
末っ子の美琴にとってはたくさん遊んでほしいのだがそううまくいくものではない。
美琴はこの日も退屈そうに机にへばりついて、ぼーっと窓の外を眺めていた。母は掃除機をかけながら美琴に言った。
「外に遊びに行ってきたら?」
「お兄ちゃんと遊びたい。」
顔を机にくっつけたまま、もぞもぞと話した。
「お兄ちゃんはいいじゃないの。幼稚園の子と遊んできたら?ほら、いつも公園にいるじゃない。」
美琴は生まれてこのかた兄弟で遊んだ記憶がない。物心ついたころには、もうここを離れていく兄だったのだから。
母の掃除機の動かし方が雑になった気がした。
それから会話は止まったのだった。
「いってきます。」
美琴は何も持たずに家を出た。
外は雨がぱらついていてもうすぐ雷が鳴りそうな天気になっていた。
「お兄ちゃんいるかな。」
そう言って美琴は中学校の方に向かって走り出した。
「たぶんこっちかなぁ」
雨が少し激しくなって雷も鳴りだした。お兄ちゃんに会えるかどうか自信がなくなってきた。
幼稚園とは全く反対の道でおまけに遠いため美琴にとっては大冒険だった。しばらく歩いても学校に着く気配はなかった。
雨は斜めに降るし、雷はゴロゴロ鳴りやまないし。美琴は水たまりの上にどさっと座り込んで下を向いたまま小さな声で泣き出した。
しばらくして、向こうのほうからたくさんの足音が聞こえてきた。リズムは早い。ボールを蹴る音も一緒だ。
「美琴―?」
ぐちゃぐちゃになった顔をあげると、それはまぎれもなくお兄ちゃんだった。周りに友達を従えて美琴を囲んでいた。
「お前の妹か?この子。可愛いな!」
「そうだろ!俺の自慢の妹だぞ!お前たちにはあげねえもんなー!なに泣いてんだよ、かわいい顔が台無しだろ!」
「お前、妹大好きなんだな。」
どうでしたでしょうか?
こういう家族って素敵です なんちゃって♪