42話、新しい服と新しい武器
ベイルさんに教えてもらった道順通りに歩くと、煙突から煙が上がっている店が見えた
あそこがそうかな?剣とか斧もおいてるし、右脇に置かれた看板には営業中とかかれてる
「誰かいるかな?」
「営業中って書かれてるし、行ってみよう」
扉を開けると、木造の部屋に剣と長さの違う杖が置かれてる
本もあるのか、フレイルさんもここで買ったのかな
カン!カン!一定のリズムで金属を叩く音が聞こえる
奥を見ると年配の男性が一人で赤くなった鉄に向き合っていた
男性は、集中してこちらを見ていないな
来てるのはわかるだろうから、待っておくか
「あの人が来るまで武器を見てみようか」
「そうね、あの杖を触って見てみたい」
ミアが指差した先に好きに触ってくださいと書いている紙と横に長めの杖があった
小さい文字で怪我をしたら剣で怪我をしたら自己責任って書いてあった
前に怪我した人が居たのかな
周りにある他の剣は業物のようで輝いてる
「アキ、どう?」
ミアが、身長ほどある杖を持って構えてポーズを取った
くっそ、可愛いな!
「似合ってるよ」
「あ、ありがとう」
杖を戻し、口角があがったミアは似つかないバスタードソードを持とうとして持ち上げようとするが
剣が動きより先に腕がプルプルしていた
あ、顔が赤くなってきた
「重い!」
そのバスタードソードは基本騎士向けだからね
「騎士団の重剣だからね」
「これは?」
「それはロングソード、一般的な剣士が使う剣だよ」
「知ってる」
「知ってて聞いたのか?」
「うん、私はダンジョンに潜ってたからね」
「そうだったな!」
ぐっ、やられた!
ニヤニヤするミアが他の武器を見てる、左目は銀色だったから楽しんでるようだ
「いらっしゃいませ」
しばらく話してたら金属音のなった方向から声が聞こえた
よし、紹介で来たと言うか
「ベイルさんの紹介で来ました」
男性の目が少し鋭くなった。ベイルの名前に反応したようだな。本当に知り合いみたいでたすかるな。
「何が入り用だい?」
「ショートブレイドと杖が欲しいです」
「予算は?」
「はい、だいたいこれだけ」
お金を見せたら男性がミアを凝視してるな
可愛いのはわかるがあまり見るな
「ふむ・・・お嬢ちゃん」
男性がミアの手を見た。
何故、ミアの手を見てるのかはわからない
「私?はい」
「得意な魔法は?」
「火魔法です」
ミアがはっきりと答えると、男性が考え込んだ
「ふむ・・・」
思い立ったように奥にある棚に向かい、剣と杖を取り出してカウンターに置いた
剣は白銀が輝くショートブレイド、刀身がとても綺麗だ
杖の方は両端が同じ形をしていて、どちらにも石突がついているが石突のちょい下に透明な宝石?クリスタルみたいなのが付いてる
サイズはミアの腕ほども無いくらい小ぶりだ
腰につけられるレベルだしちゃんと固定用の紐が杖に付いているな
ミアの服とあった紐色だから目立たない、店主が色を合わせたのかな
「なんか変わった杖だね、どちらを上に向けるのかわからない形をしてる」
「俺はダブルキャストロッドと呼んだ試作品だ。小ぶりだけど、君にはピッタリかもな」
男性がミアに杖を手渡すと、ミアの手に収まる大きさだった。
ミアが軽く振ると、手に馴染んでるようで良さげに触って確かめている
「君にはこれだ、万能を目指した俺の傑作の剣だよ、対魔物と対人用を両立させてるから並の剣や魔物なら勝つのを保証するよ」
男性に言われて持ち上げると、すごく手に馴染む
まるで俺の癖を知ってるかのようにすごい持ち心地だし
しっかり見るとやはりミアの左目みたいな綺麗な銀色で今まで見たことないような刀身が綺麗な剣だ。
鏡かってくらいに磨き上げられてる
ミアを見ると、ちょっとポーズを決めてた
くっそ可愛いな
「ミア、似合ってるし可愛い」
「アキもカッコいいよ」
お互いに武器を構えた姿を見合って、なんか照れくさい
男性が咳払いをした
「そんな空気を出すな、試し撃ちは練習場でたのむ」
「はい」
「ありがとうございます」
「あと一般的な杖は、縦に構えるがその杖は横に構えるんだ。左右で魔法を変えることもできるからな」
「わかりました」
代金を払い、外に出て右手側をみたら練習場が見えたのでそちらに向かうと木の的がある練習場に着いた。ミアは足が軽かったようでニコニコしてた
俺も腰に2本剣をもつのがちょっと重いが気分は軽い
「あの位置が空いてるね」
空いてるとこに向かい、的の付近に立った。
ミアから先に打たせるか
「先良いよ」
「わかった」
魔法を打つ位置にミア立ち、横に構えて魔法を発動した瞬間、右は黒、左は金、ミアの前で二つが混ざって赤黒い炎が出て的に当たり、かと思えば金色がなくなって両方が赤黒くなり赤い炎が出て的に命中した
打ったミアの目が輝いてる。左目が金色だ
「す、凄く魔法が扱いやすくなった」
ミアが自分の手を見つめてる。今まで出なかったものが出た驚きと喜びが混ざった顔だ
扱いやすいな、振ってみてわかったが闇の剣とは違う軽さがある。普段使いにはこっちがいい
的を切ったら、かなりの切れ味がわかるレベルだ
「普段使いには最適だね」
「だね、良い買い物をしたね」
「うん、すごく良かった」
一緒に仕立て屋に向かう。ミアが少し弾んだ足取りで歩いてる。新しい杖が嬉しいんだろうな
幸い、武器屋の近くにあったからすぐに見つかった。扉を開けると内装も外装も木製で開放感があるな、右側に色々な服が並んでいる
「いらっしゃい」
左側に居た女性、多分店主が糸を口に咥えたまま迎えてくれた、修繕中みたいだ
「服を直したいです」
カウンターから出てきて俺たちをまじまじと見るが服を見た店主が眉を上げた。そりゃそうだ、戦闘の跡が残りすぎてるからな
「2日かかるけどいい?」
「かまいません」
「隣で好きな代わりの服を選んで」
店主に言われて好きな服を選びだすが、なんか服選びって気分が上がるな
ミアの左目が銀色で、気分が上がってるのか色々な服に目移りしている
「なぁ、ミア」
ミアが服を選んでる後ろ姿を見ながら声をかける、ミアならあの服似合いそう
「何?」
「いや、何でもない」
似合いそうな服を想像してしまった。ミアが選ぶまで言わない方がいいな
「試着できるから好きに選ぶといいよ」
ミアは何着か選んで試着室に向かった
どんな服が来るやら
「これとかどう?」
ミアが色合いは地味だが胸元が少し開いたり少しスカート丈の短い服を着て出てきた
「可愛いけど...」
「可愛いけど?」
ミアが首を傾げてる、わかれよ
それは男には目に毒なぐらい魅力が高いぞ
俺まで我慢できなくなるから正直に言うか
「あまり胸を主張させる服を着ないで、周りに見られたくない」
ミアが覗き込んでくるがちょっと待ってくれ
そのアングルは良くない
「嫉妬?」
素直にこくりと頷いたらミアの口角が上がった。左目が金色になってる
ミアが試着室に戻った
「これとかどう?」
ミアが選び直した服は落ち着いた色合いで、街に溶け込めそうだ
「街に溶け込めてる」
「なら、これにしようかな」
着替えたミアが目の前に立った。
いつもの冒険者の格好じゃないミアは、なんか新鮮だ
街にいる普通の女の子に見える。
本当に普通の、すごく可愛い女の子
「どう?」
ミアがくるっと一回転した。スカートの裾が少し広がる
「似合ってる」
「それだけ?」
ミアが不満そうに口を尖らせてる
「すごく、可愛い」
言ったら顔が熱くなった。ミアも耳が赤い
「アキも着替えなさいよ」
「そうだな」
俺も街に溶け込むような服に着替えて出ると、ミアがじっとこちらを見てる
「どう?」
「悪くないわね」
「悪くないって事は?」
「うるさい」
俯いたミアが先に店を出た。耳が赤いのが後ろから見えた




