7話
昼休み。美咲は友人に呼び止められた。
「ねえ、美咲。翔真と健斗、どっちが好きなの?」
突然の問いに、美咲は言葉を失った。
「えっ……そんなこと考えたことないよ」
「でもさ、二人とも結構モテるんだよ。クラスで三角関係だって噂になってる」
友人の笑い混じりの声に、美咲の心臓は少し速くなった。
――
放課後。部室で二人と顔を合わせると、妙に意識してしまう。
健斗が真剣にボールを磨いている姿。
翔真が冷静に練習メニューを組み立てている姿。
どちらも、ただの仲間じゃなく「男性」として見えてしまう。
その視線に気づいた二人は、すぐに察した。
「おい、何だよその顔」健斗が笑う。
「確率的に、噂を気にしてるな」翔真が淡々と指摘する。
美咲は慌てて首を振った。
「ち、違う!ただ……」
二人は同時に笑い飛ばした。
「そんなの気にすんなよ」健斗が肩を叩く。
「俺たちは仲間だ。噂より、次の試合の方が大事」翔真が励ます。
美咲は少し安心して、笑みを取り戻した。
――
週末。三人はプロリーグの試合を観に行った。
大きなアリーナ、観客の歓声、照明の輝き。
「すごい……!」美咲が目を輝かせる。
「理屈じゃない迫力だな」健斗が声を上げる。
「確率も統計も関係ない。純粋な楽しさだ」翔真が珍しく熱を帯びた声を出す。
三人は立ち上がり、観客と一緒に声を張り上げた。
シュートが決まるたびに歓声が響き、心臓が震える。
その瞬間だけは、噂も理屈も忘れて、ただバスケの楽しさに身を委ねていた。
――
試合後、帰り道。
「やっぱりバスケって最高だね」美咲が笑う。
「うん。理屈抜きでな」健斗。
「確率的に、今日の幸福度は100%だ」翔真。
三人は同時に笑い声を上げ、夜の街を歩いていった。




