4話
週末の午後。体育館の空気は少し緊張していた。
「相手は経験者ばかりだってさ」翔真がボールを抱えながら言う。
「でも3×3はポゼッションが短い。平均12秒だ。速さで勝負できる」健斗が真顔で答える。
「……数字の話はいいから、まずは楽しもうよ」美咲が笑って二人を落ち着かせた。
試合が始まる。相手はスピードも技術も上。けれど三人は必死に食らいついた。
「シュートは角度45度が理想だ!」健斗が叫びながら放ったボールは、リングに吸い込まれる。
「パス回しは三角形が最適解だ!」翔真が声を上げ、素早くボールを回す。
「ナイス!」美咲が走りながら声を重ねる。彼女は冷静に相手をマークし、スティールを決めた。
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試合の途中、相手に連続得点を許す。
「やっぱり強いな……」翔真が息を切らす。
「でも3×3は得点効率が違う。2ポイントシュートは価値が大きい」健斗が必死に言う。
「理屈より、まずは集中!」美咲が短く声をかける。
その言葉に二人は頷き、再び走り出した。
――
終盤。点差は開いていたが、三人は最後まで諦めなかった。
健斗の放物線シュート、翔真の数理パス、美咲の冷静な守備。
それぞれが持ち味を出し切り、最後の攻撃を決めた瞬間、体育館に歓声が響いた。
結果は負け。けれど三人は笑っていた。
「やっぱり理論は役に立つな」健斗が汗を拭きながら言う。
「確率的には負けたけど、次は勝率を上げられる」翔真が笑う。
「二人とも、難しいこと言ってるけど……楽しかったね」美咲が柔らかく言った。
三人の笑顔は、勝敗以上に輝いていた。
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こうして、3×3バスケ部の初めての練習試合は幕を閉じた。
負けても得たものは大きい。
「この三人でやれる」――その確信が、青春の始まりをさらに強くした。




