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トリニティ  作者: 双鶴


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3/12

3話

昼休みの学食は、ざわめきと食器の音で満ちていた。三人は並んで席を取り、トレーを置く。カレーライス、ラーメン、サンドイッチ。選んだものはバラバラだが、会話はすぐにひとつにまとまる。


「このカレー、冷め方が面白いんだよ」

健斗がスプーンを持ちながら言う。


「また物理?」美咲が笑う。


「そう。熱伝導率が違うから、ルーとご飯で温度の落ち方が変わるんだ」


「いや、それより食べる順番を最適化すれば満足度が上がる」

翔真が真顔で言う。


「順番?」美咲が首をかしげる。


「例えば、最初に副菜を食べて、最後にメインを残すと幸福度が高い。確率的にね」


「……二人ともほんと変わってる」美咲は笑って肩をすくめる。


――


「でもさ、戦国武将も食事の順番にこだわったんじゃないかな」

健斗がふと口にする。


「兵糧の分配を確率的に考えたはずだ」翔真も乗る。


美咲は少しだけ微笑んで、箸を置いた。

「武将は兵の士気を上げるために食事を工夫したのよ。戦の前には必ず炊き出しをして、兵を安心させたの」


「やっぱり詳しい!」二人が同時に声を上げる。


美咲は照れ笑いをして、また普通に食事を続けた。


――


食後も会話は止まらない。

健斗が「世界で一番長い川はどこか」と言えば、翔真が「素数は無限にある」と応じる。

美咲は「へえ、面白いね」と笑って聞いている。


「でも、川の長さって昔の人はどう測ったんだろうな」健斗がぽつりと言う。

「確率的に推定したんじゃない?」翔真が返す。

美咲は少し考えてから、柔らかく言った。

「古代の人は旅の記録を残していたの。距離を歩数で数えたり、日数で測ったりしてね」


二人は「なるほど!」と声を合わせ、また雑学合戦に戻っていった。


――


学食のざわめきの中で、三人の声はひときわ楽しげに響いていた。

バスケの時はバスケトリビア、日常では雑学トリビア。

その掛け合いが、三人の青春を鮮やかに彩っていた。

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