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第9話 デイリーさんって呼ぶね

 日記は思わせぶりな文章が書かれていた。だが、しばらく、好物が恋しいだの、人と話がしたいだの、国王の目の前に現れた人物について触れる文章がなかった。


 そこから先の肝心なところがこの日記には書いておらず、恐らくまた別の日記に、続きが書いてあるのだろうと思われた。


 次のデイリーミッションを待って、また別の日記を探すしかないかも知れない。

 だが次の日のデイリーミッションは、出生の秘密を探れ!ではなかった。


【デイリーミッション

 3体目の眷族を生み出せ。

 報酬:スキル・身体強化】


 こんな簡単なことでいいのかな?と思ったが、ひとまず新たな眷族を生み出してみた。3番めもやはり2番目と同じく顔がなかった。顔が現れるのはギィだけなのかも知れなかった。


 そしてそこに、初めての文字が現れる。

【デイリーミッションクリア

 報酬:スキル・身体強化付与


 連続6日間のデイリーミッションクリアを達成しました。これより特別ボーナスが加算されるようになります。


 デイリーミッション連続クリアボーナス

 その1

 パッシブスキルが10%アップします。

 最大100%までアップしますが、ただしデイリーミッションが1日でも途絶えた場合は、ペナルティとして現在の上昇率の半分が失われます。


 その2

 経験値が1日100入ります。

 1日連続するごとに、2倍されていきます。ただしデイリーミッションが1日でも途絶えた場合は、ペナルティとして倍率が1週間前まで戻ります。


 その3

 初回ボーナス。

 現在までのデイリーミッション達成日数を経験値に換算します。

 経験値6300を加算します。】


 つまりパッシブスキルが最大100%まで上がるということは、例えば100%パワーアップするパッシブスキルがあれば、デイリーミッションのボーナスと合わせて、2倍の効果が獲得出来るということになる。


 デイリーミッションでも経験値が100もらえて、それが日々倍になっていくのであれば、8日目で128倍だ。


 いずれパッシブスキルを手に入れる機会もあるだろう。仮にそれらがすべて倍になるのであれば、デイリーミッションを1日たりとて途切れさせるわけにはいかないだろう。


 倍の効果に慣れた体が、いきなり半分の効果に下がってしまったら、色々とやりにくくなることは想像にかたくない。


『毎日達成しやすい内容だといいんだけどなあ……。』

 とシルヴィオは少し不安になった。


【そこは考えていますから安心してください。私を誰だと思ってるんですか?】


 と、デイリーミッションを告げる声が不機嫌そうに告げる。以前話しかけられた時にはスルーしたが、こう何度も話しかけられると、さすがに相手のことが気になってくる。


『君は誰なの?ただのデイリーミッションシステムってわけじゃないよね?神さまが僕を手助けするって言ってたけど、それがデイリーミッションてことでいいのかな?』


【はい、そうなりますね。私はあなたが出会った創世神リヒャルトの娘、アダリーダ。

 ですが人の身で私の名前を、祈る時以外で呼ぶことは許されません。】


『えっ、じゃあなんて呼べばいいの?』


【呼ぶ必要がありますか?】


『僕から話しかける時に、不便じゃない?』


【まあ、そういうこともあるかも知れませんね。いいでしょう。ではデイリーと呼んで下さい。】


『デイリーさんね!わかったよ。』


 デイリーミッションだからデイリー。

 なんとも安直な呼び名だと思ったが、実際名前を教えてもらえなかったら、シルヴィオも内心呼ぼうと思っていた名前だったので、特に違和感はなかった。


 しかしそうなると、別にデイリーミッション以外で眷族を生み出したり、日記の調査をやってもいいのだが、せっかくのデイリーミッションが途切れてしまっていは困る。


 これからは眷族を生み出すことひとつとっても、デイリーミッションの内容がわかってから、やったほうがいいだろうなと考えた。


【そのほうがいいでしょうね。多少は頭を使うんですね。安心しました。】


 と割と酷目の言葉を投げかけてくる。


『えっ。酷くない?僕だってそのくらいは考えられるよ?』


 思わずそう訴えると、


【あなたがグズグズしていなければ、あなたの為にわざわざ用意した体を奪われることも、こうして私が直々に手を焼くこともなかったのです。あなたをこのまま神の使徒にすえることが疑わしいと感じることに、何か不思議な点でもありますか?】


 ドヤ声にも聞こえるような声音で、そんな風に言ってくる。そう言われてしまうと、確かに否定出来ない部分があったので、シルヴィオは素直に心の中で謝ったのだった。


【起きてしまったことはどうしようもありませんから。これからは私がビシバシ鍛えさせていただきます。


 魔族があなたを魔王の器に相応しいように鍛えるつもりのようですが、それに負けないように、あなたの体を乗っ取られないようにする必要がありますからね。】


『わかりました。よろしくお願いします。』


 せっかく転生出来たのに、体を奪われるのも、奪われた体に世界を滅ぼされるのも、シルヴィオ自身が困る。


 それに本来自分の為に用意された体を奪って転生した八阪のことも気になるところだ。

 特別な力を持って転生したことで、魔族よりも厄介な敵になる可能性だってある。


 事情を知っている味方が、それも創世神の娘が味方をしてくれるというのだから、心強いことは間違いなかった。


 口の悪さは否めないが。




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