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第80話 王宮の礼拝堂の仕組み

 ラヴェール王子は永久の人質という言葉をさけ、シュレア姫を今後も国に住まう客人、と称した。シュレア姫が生まれ故郷に戻れないことは確定しているが、もう人質という扱いはしないと決めたのだろう。


「それになにかよいスキルがあれば、国に役立てるという意味で、外出の機会を増やすことが出来るかもしれないしな。」


「……!ほんとうですか?」

 シュレア姫が期待を寄せるように、目を輝かせながら言う。


「すまない、あまり期待を持たせてもいけないから、あくまで可能性の話としてとらえて欲しい。私も第一王子とはいえ、そこまでの力はないものだから……。」


 立太子前かつ、まだ幼いラヴェール王子は、政務に携わることがないので、発言権も裁量権も、シルヴィオとさほど変わらない。


「いえ……可能性があるだけでも……それを提案して下さるだけでも、嬉しく思います。ここで誰とも会うことなく、生涯を終えるものだと思っておりましたから……。」


 シュレア姫は目線を落としながら言った。

「さっそく祭司を手配しよう。幸い王宮には王族の為に簡易の礼拝堂が用意されていて、交代で祭司が常駐しているからな。」


「そうなのですか?僕、行ったことないのですが。」

 洗礼の際にも、直接教会に行くイメージをしていたので、予想外だった。


「王族は他の貴族や平民に混じって、祭司に話を聞いてもらうなんてこと、出来ないからな。来てもらう決まりなんだ。もちろん要件によっては直接教会に行くけど、洗礼くらいなら簡易の礼拝堂に常駐している祭司にお願いするんだよ。」


「そうなのですね。でも、なんで交代制なのですか?教会の祭司さまって、ずっとそこで暮らしてらっしゃいますよね?」

 とシルヴィオは首をひねった。


「礼拝堂は教会と違って、信者が神に祈るだけの場所だから、教会みたいに生活出来るスペースがないんだそうだよ。だから祭司たちは通いで交代制なんだ。通常は教会の中に礼拝堂があるんだよ。」


「なるほど、勉強になりました。」

 そう説明されるとスンナリ納得が出来た。その後はシュレア姫と楽しくお茶をして、ラヴェール王子の持ってきたお茶も飲み、寂しがって引き止めるシュレア姫にお詫びを言いつつ、シルヴィオの部屋へと戻って来た。


「僕はさっそく祭司にスキル判定の儀をお願いしてくるよ。祭司に面会するのは、どんな犯罪者であっても有する国際的な権利だからね。止められることはない筈だよ。」


 そこは現代と同じなんだな、とシルヴィオは思った。現代でも刑務所の囚人が信じる宗教は自由だし、牧師とも希望すれば面会が許されると聞いたことがあった。


「ただまあ、そこに僕らを同席させてくれるかというと、そこはわからないけど、まあ、出来るだけ頼んでみるよ。シルヴィオも知りたいだろう?シュレア姫のスキルを。今後に活かせるかどうかがかかってるしね。」


「はい、もちろんです。」

 というか既にシルヴィオにはわかっているから、スキルについて尋ねたわけだが。


 これでシュレア姫が有用なスキル持ちであるということがわかれば、マッド宮廷伯の助手になれるかも知れない。少なくともラヴェール王子がそう打診してくれる筈だ。


 ラヴェール王子はそう言って部屋を出て行った。するとしばらくして、王妃さまが及びですと、王妃宮の侍女がシルヴィオを呼びに来た。王妃さまは温室で待っているらしい。


 呼ばれて王妃さまの元へと向かうと、ラヴェール王子が既に来ていて、王妃さまの前に立っていた。どこかから運び込んだのか、白いテーブルと椅子が置かれ、お茶の準備がなされていた。


「どうぞ、かけなさい。」

 そう言われて、ラヴェール王子とシルヴィオは、白い椅子に従者の手を借りて腰掛けた。大人用の椅子だった為、自力で座るには高すぎた為だ。


「──シュレア姫のスキルの鑑定を、とのころだけれど。」

 お茶を一口飲んで、王妃さまがそう言いながら、ラヴェール王子とシルヴィオを見る。


「なぜシュレア姫が洗礼の際に、スキル判定されていないとわかったのかしら?」

 どこか探るような目つきだった。


「その……先日温室でお会いした際に少しお話をさせていただきまして。シュレア姫の国では生まれた時に洗礼を受けるそうで、その時にスキル判定をしないのだそうです。」


 ラヴェール王子が先人を切って、シュレア姫とシュレア姫の部屋で話した内容を、温室で話したことにするという嘘をついた。


 従者たちは離れたところにいたので、話の内容を聞くことは出来なかった為、嘘をつこうと思えば、このタイミングで話したことにするしかない。





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