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第76話 契約魔法とは

「僕が契約魔法を使えるようになったら、カロリーナに契約魔法を結んでもらって、万が一にも外に漏れないようにして、紹介出来ないか考えてみるよ。」


「契約魔法、ですか?」

「呪いとは違って、一方的にかけられるものじゃない。双方の合意を得て、口外出来ないようにする魔法さ。」


「そんなものがあるのですね。」

「カロリーナが同意してくれるのであれば、それを使って彼女からシルヴィオの秘密を漏れないようにすることが出来ると思う。」


「そうしたら、こっそりシュレア姫を外に連れ出して、みんなでピクニックなんていうのもいいですね!」

「ああ、楽しそうだ。」


 これで、ラヴェール王子の同席が決まった。万が一のことがあった場合は、ラヴェール王子の加護が発動したことにして、シルヴィオがシュレア姫を助けることも出来る。


 今日は午後の授業は1つだけしかない。シルヴィオはさっそく、ラヴェール王子にぜーに用事をいいつけてもらって、ラヴェール王子と共に自室へと戻った。


「シーラ、シュレア姫のところへ行くよ。彼女の呪いをとくのを手伝って欲しいんだ。」

 シルヴィオがラヴェール王子を伴って来たことに気が付き、ソファーの上で寝そべってくつろいでいたシャイナが、ビクッと体を起こした。


「もう、シャイナ。いつ誰が来るかわからないんだから、僕の部屋でくつろぐのはやめてよ。仮にも従者なんだからね?」


 シルヴィオは腰に手をあてて、シャイナを軽く叱責した。普段ならそこはレルグの定位置なのだが、今日は出かけてもらっている。


 レルグはシルヴィオの従者の扱いにはなっていないので、万が一ラヴェール王子に見られたら、説明に困るからだった。


「はーい、すみませーん。」

 シャイナは軽く舌を出しておどけるようにそう謝罪の言葉を口にした。


「……シルヴィオは、ずいぶんと自分の従者ときやすいんだね?」

 それを見たラヴェール王子が、驚いたように目を丸くした。


 シャイナはレルグやシーラ同様、“魔王の器”である自分に、現時点で忠誠を誓ってくれてはいるものの、所詮自分は器の存在だ。


 どこかで舐められているんだろうな、とシルヴィオは思っていたので、あまり気にもしていなかったが、王子としてはそれはまずいのかも知れない。


「僕はまだ子どもなので、恭しく接されるよりも、こういう方が楽でよくて……。駄目でしたか?」


「まあ、人に見えないところでならいいんじゃないかな。君も、人前では態度を改めるようにね。」

「かしこまりました。よく言って聞かせます。」


 そう、シーラが代わりに言って、シャイナの頭を押さえつけてお辞儀をさせた。

 そういうシーラだって、シャイナを好きにさせているのだから同罪なのだが。


「……というか、連れて行く侍女ってどっちなの?」

「シーラです。今、頭を押さえつけたほうですね。」


「……彼女には話しているんだね?」

「まあ、侍女を1人連れて行く必要があったので。」


「そうか……。まあ王宮に勤める者は、基本王族を守る為の魔法契約を結んでいるから、知られても問題はないか。」


 考え込むようにしながら、そう呟く。ラヴェール王子は、シーラの口から、シルヴィオのスキルが知られることを警戒しているようだった。


 シルヴィオ的には、シーラたちは“魔王の器”である自分を守る為に、現時点では忠誠を誓ってくれている存在だ。


 眷属を生み出すスキルも、“魔王の器”に与えられたものの為、そもそもシーラたちは知っているから、あまり気にしていなかったのだが、対外的にはただのシルヴィオ付きの侍女であるシーラは、本来知られたらまずいスキルを、真っ先に話すべき相手ではない。


 シーラたちと接する際には、もう少しそのあたりのことを考えたほうがいいかも知れないな、と思った。


「それじゃあ、そこの君は、ちょっと部屋を出て行ってくれるかな。シルヴィオと彼女と、大切な話があるからね。」


 ラヴェール王子がシャイナにそう言うと、シャイナは部屋を出て行った。

「君が、解呪を手伝ってくれるという侍女だね?名前は?」


「シーラと申します。」

「相手は高貴な客人だ。君はとても重要な仕事を任せることになる。心してかかって欲しい。」


「かしこまりました。」

 シーラは無表情にそう返答した。

「じゃあ、行きますよ!兄さま!」


 ギィの姿はラヴェール王子には見えない。シルヴィオはギィに合図を送ると、ギィがシルヴィオの手を握った。反対側の手をラヴェール王子とつなぐ。


「兄さま、シーラの手を握って下さい。」

「わかった。」

 ラヴェール王子がシーラの手を握ると、ギィは影の中へと進んでいった。





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