第75話 秘密を知られた場合の話
「それは知られるのがかなりまずいかも知れないな……。場合によっては、王族としての資格を剥奪されかねないよ。」
「え、本当ですか!?」
「……実際に伝えてみないとわからないけれどね……。それは王族というより、王家の影向きのスキルだよ。」
「だと思います、僕も。」
「そのほうが国益につながると思われたら、国王さまはシルヴィオを王子にしておくよりも、王家の影にしたほうがいいと、お考えになる可能性があると思う。」
やはりラヴェール王子から見ても、あの父親は愛情よりも王族としての責務を優先する人間に見えているらしい。
「国王になれるのは1人だし、正直な話、母さまはまだ兄弟を産む可能性だってあると思うよ。それこそ、シルヴィオを王家の影に入れて、もう1人王子を産めと言うかも知れないよね。」
「次男以下はスペアと考えた場合、その可能性はあると僕も思いますね……。」
やはりこの兄は5歳にして聡明だ。相談相手に選んで良かったなとシルヴィオは思う。
「シルヴィオの得たスキルが1つであるのなら、やがて隠しておけなくなる日が来ると思うけど、洗礼で他のスキルを得る可能性だってあるよね。それなら、そっちは隠しておいたほうがいいと思う。僕はシルヴィオに弟でいて欲しいしね。」
王家の影は幼少期から訓練をつむことになるから、シルヴィオを王家の影に入れることになったら、すぐさま引き離されてしまう可能性もあるだろうね、とラヴェール王子は言った。
シルヴィオの得たスキルはもともと3つだし、それ以外にもデイリーミッションで多数のスキルを手にしている。洗礼の日までにそれらを隠して、王族にふさわしいスキルだけを知られるようにすればよいだろう。
きっとそれまでには、デイリーさんがデイリーミッションで、ステータスを隠匿する方法を与えてくれるだろうし、と思った。
「わかりました、そうします。兄さまに相談して良かったです。」
そう言うと、ラヴェール王子はニコッと目を細めて微笑んだ。
「実は兄さまにスキルを教えた理由は他にもあるのです。」
「なんだい?」
「僕、実はこのスキルで、シュレア姫のお部屋に出入りしているんです。」
「シュレア姫の部屋に?シルヴィオがしていた探検はそれだったのか。」
「はい。そのことで兄さまに大切なお話がありまして……。実はこのことこそが本題なのです。シュレア姫にかけられた呪いについて、知っていただきたいのです。」
シルヴィオは、シュレア姫のところに遊びに行ったこと、その時偶然シュレア姫が故郷の国から死の呪いをかけられていることを知ってしまったことを手短に伝えた。
「なんと……。取り戻して政略結婚の道具に使えないのであれば、呪い殺してしまおうというのか……。それも実母である側妃自らがなどと……。なんていう国なんだ。」
呪いをかけた相手がシュレア姫の実母であったことには、やはりラヴェール王子も驚愕していた。
「幸い僕は妖精さんの力を借りて、犯人の名前を知ることが出来ました。」
「母上の時の妖精だな。」
「はい。」
「それに、解呪に必要な、上級聖水も手に入れることが出来ました。直接呪いの刻印が浮かんだところに塗り込む必要があるそうなのですが、それは僕の侍女がやってくれます。兄さまには、万が一の時の為に、その場に立ち会っていただけたらと。」
「立ち会うのは構わないのだけれど、僕でなにか力になれるだろうか……。」
ラヴェール王子はそう言ってうなる。
「兄さまは、セフィーラさまの加護があるではないですか。なんの力もない僕がそばにいるよりも、ずっとシュレア姫も安心だと思います。」
「加護が他人にまで力の及ぶものかは僕にもわからないけれど、シルヴィオがそうして欲しいと言うのであれば、立ち会わせてもらうよ。」
「ありがとうございます!それと、僕、シュレア姫のお茶飲み友だちになったのです。兄さまにもぜひそうしていただけたらと。」
「シュレア姫と友だちに?」
「国から見捨てられ、呪い殺そうと狙われている姫です。ましてやそうでなくても、生涯幽閉が決まっているお方です。せめて僕らが話し相手になって、慰めて差し上げたいのです。」
「……そうだな、そうしようか。僕も家庭教師の授業があるし、そう時間は取れないけれど、これも王族としてのつとめだと思う。」
「はい、きっとシュレア姫も喜ぶと思います。」
「カロリーナも会わせてやれたらいいんだがな。女の子の友だちが欲しいだろうし。」
「でも、さすがにカロリーナ嬢にまで、このスキルは話せませんしね……。」
ことはシルヴィオが第2王子でいられるかどうかがかかっているのだから。
────────────────────
X(旧Twitter)始めてみました。
よろしければアカウントフォローお願いします。
@YinYang2145675
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
ランキングには反映しませんが、作者のモチベーションが上がります。




