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第73話 シュレア姫を呪った犯人

「そうだね。僕のところにすぐに来られるように、続き部屋を与えられているよ。中でお風呂にも入れるくらい、なんでも揃っていると言えるかな。場合によってはずっとついていないといけないこともあるからね。」


 とラヴェール王子が言った。やはり護衛を兼ねた従者には、ラヴェール王子の部屋続きの、風呂のある個室を与えられているようだ。


 風呂と言っても、現代のように沸かし直しが出来るわけではなく、猫足のバスタブにお湯を貯めて入るスタイルだが。


 風呂に入るタイミングは、恐らくラヴェール王子の就寝後だろう。まだ幼いラヴェール王子の就寝時間は早い。その時間に合わせて、こっそりゼーの部屋に侵入しようとシルヴィオは考えた。


 夜になり、シーラたちのいない隙に、こっそりギィに計画を話したところ、めちゃくちゃジト目で睨まれた。


「ギィ〜。」

「違うよ!シュレア姫を助けるのに必要なことなの!別に僕の趣味ってわけじゃないから!お願いだから協力してよ、ギィ。」


 影の中を移動するには、ギィの協力が必要不可欠だ。シルヴィオはなんとか呆れたようすのギィにうなずいてもらって、夜を待った。


「じゃあ、おやすみ、ゼー。今日もありがとう。もう護衛は終了でいいよ。」

「はい、おやすみなさいませ、ラヴェールさま。」


 ラヴェール王子がそう言って、ベッドの中からゼーに声をかけると、ゼーは恭しくお辞儀をして、室内の扉から続いている、自分の部屋へと入って行った。


 それを影の中から顔を出して覗いているシルヴィオとギィ。再度影をくぐって、ゼーの部屋へと侵入すると、ゼーは何やら机の上で書き物をしていた。


 その間に魔道具でお湯を沸かしては、衝立の向こうへと木桶でお湯を運んでは、またお湯が沸くのを待ちつつ書き物を続ける。


 書き物が終わったのか、うーんと伸びをすると、チェストからタオルを出して、衝立の向こうへと消えた。


 衝立の向こうがお風呂なことは、さっき確認済みだ。洗い場などはなく、浴槽の中で体を洗うタイプだ。


 排水溝などはないので、お風呂に入り終わったら、湯船のお湯を木桶ですくって、なんと窓から投げ捨てる。


 下は植木の為、リサイクルになっているようだった。最初見た時は仰天したものだったが、これがこの世界のスタンダードなのだと言われれば、そうなのか、と思う他ない。


 さすがに従者たちが全員で入る、1階の大浴場には排水溝があるらしいが、上階にはそうしたものがないのだ。当然トイレも流すのではない。


 そうしたところはやはり、異世界なのだなあ、と感じるのだった。

 ゼーが服を脱ぎ始める。それを、生唾を飲み込みながら見守るシルヴィオ。


 ……全裸になった瞬間、なーんだ、と思った。普通に男の子の体だったのだ。だが、次の瞬間、ゼーが首にかけていたペンダントを見つめたかと思うと、ペンダントが光を放ち、ゼーの体が光に包みこまれる。


 そして光が消えると、今のゼーよりもだいぶ年上の女の子が現れたのだ。思わず声を漏らしそうになって、両手で口を抑えるシルヴィオ。……やはりゼーは女の子だったのだ。


 ラヴェール王子専属の秘書兼護衛として働くには、男でないと都合が悪いからなのか、理由は定かではなかったが、ともかくゼーは女の子であることを隠していたのだ。


【デイリーミッションクリア。

 ジョゼマリアの性別の秘密をさぐれ。

 報酬:シュレア姫に呪いをかけた人間の名前。

 犯人はシュレア姫の生母、アシュテア側妃。】


 デイリーさんの声と文字が、残酷な事実を告げる。犯人がシュレア姫の実の母親だなどという、とてもシュレア姫に知られるわけにはいかない内容だった。


 これが発動後の呪いでなくて良かった、とシルヴィオは思った。その場合、呪い返しの為に、呪った相手の名前を口にしなくてはならないが、シュレア姫にかけられた呪いは、時期の定められたものだ。


 心の中で呪った相手の名前を唱えつつ、上級聖水を刻印に塗りつければ、呪いはとくことが出来る。犯人が実の母親などという真実を、シュレア姫に知られなくてすむ。


 王族とはそうしたものなのだろうか。他国の王妃を殺そうとして失敗し、一生人質として弱みにされるくらいであれば、実の母親自らが殺してしまおうと考えるのか。


 生涯家族も友だちもいないこの国で、未来ある少女が生涯塔に閉じ込められて暮らすというだけでも、既に地獄だというのに。


 シルヴィオはなんとしてでも、ラヴェール王子にスキルを話し、ラヴェール王子とともに、せめてシュレア姫の話し相手になって、気持ちを慰めてあげたいと思うのだった。


 シルヴィオはその日のうちに、ギィとともにシュレア姫のもとへと向かった。シュレア姫はまだ本を読みながら起きていた。侍女は既に帰したのか部屋にはいなかった。





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