第69話 シュレア姫の呪いの秘密
その時、
【デイリーミッション。
シュレア姫の乳房を確認せよ。
報酬:シュレア姫の呪いの秘密。】
と、文字が現れ、デイリーさんの声が脳内に響いた。
「は、ちょ、え!?」
思わず声に出してしまうシルヴィオ。
乳房を確認とは、デイリーさんは何を考えているのか。だが、シュレア姫の呪いの秘密とはやぶさかではない。
シルヴィオは、どうかなさいましたか?と首をかしげるシュレア姫を前に、どうやってデイリーミッションをこなしたものか、頭を悩ませていた。そして。
『ギィ!じゃれた振りして、シュレア姫の胸元をめくって、僕にシュレア姫のオッパイを見せてくれない?』
と、ギィに念話で頼むことにした。
「ギィ〜。」
ジト目でギィが、何を頼んでくるのだ、という風に見てくる。
『違うよ!必要なの!シュレア姫が呪われちゃってるかも知れないんだよ!』
そう言うと、ギィは目を丸くした。
「ギッ!ギィッ!」
そう言って素早く動くと、シュレア姫のドレスの胸元に手を当てて、全体重をかけてぶら下がるようにしながら、シュレア姫の胸元をグイッと下にずり下げた。
今はまだ、室内着のようなドレス姿の為、あっさりとシュレア姫の胸元が全開になる。現代のようなブラジャーなどをしておらず、せいぜいスポーツブラのような胸当てしかしていないシュレア姫は、だるんと服が下に伸びるのを、呆然と眺めていた。
「きゃ、きゃああああああああああ!」
暫く呆然としたあとで、胸元を押さえて後ずさる。
「危ない!」
椅子に腰掛けたまま後ろに下がったので、バランスを崩して後ろに倒れていくシュレア姫を、慌ててギィが後ろから椅子を支え、シルヴィオが手を伸ばして引っ張り上げる──はずだった。
まだ小さいシルヴィオの体は、テーブル腰に伸ばした手が腕に届かず、そのままシュレア姫の膨らみかけた胸を触ってしまう。
そして悲しいかな、オスの本能で、思わず揉んでしまった。
「……痛っ……!」
シュレア姫が小さく声を漏らす。
「ご、ごめんなさい!そんなつもりじゃ!」
慌ててバッと手を離し、真っ赤になりながら謝るシルヴィオ。
「ギィ〜?」
大丈夫?とでも言いたげなギィが椅子ごとシュレア姫を持ち上げ、後ろに倒れることは避けられた。
「だ、だいじょうぶよ、ありがとう。」
シュレア姫はギィにお礼を言った。
「その……、膨らみかけの胸は、触られると痛いんです……。」
シュレア姫は胸をさすりながらそう言った。確かにシュレア姫の胸は、子どもの頃戯れに触れた母親の乳房の感触とは違っていた。
男の体と比べると柔らかいけれど、コリコリと固くもあって、なんとも不思議な感触だった。成長過程の女の子の胸は、そうしたものなのだと初めて知ったシルヴィオだった。
膨らみかけ、という言葉が妙に頭に残る。シルヴィオが、前世を通して、初めて女の子を意識した瞬間だった。
「シュレア姫……その、大変失礼なことをお聞きしますが、先程少し見えてしまったのですが、胸元の刻印──紋章のようなものですが、それはいったい……。」
先程、しばらく呆然としたままだったシュレア姫のおかげ(?)で、バッチリと胸の谷間に刻まれた模様を確認することが出来たシルヴィオ。
「……数日前から急に浮かんできたのです。恐らく国はわたくしを呪い殺して、その責任をオークランド王国にかぶせようと言うのでしょう。人質とはいえ、王女が亡くなれば、預かっている国の責任になりますから……。」
そこへ、
【デイリーミッションクリア。
シュレア姫の乳房を確認せよ。
報酬:シュレア姫の呪いの秘密。
シュレア姫にかけられた呪いは、ひと月後にシュレア姫が謎の死を遂げる呪い。】
と文字と声が告げた。
「シュレア姫が取り戻せないのなら、いっそ殺してしまおうと、そういうことですか!?」
国に取り戻せないシュレア姫を役立てようと思ったら、それしか手段が残されていなかったのかも知れないが、あまりに無慈悲だった。幼い頃から幽閉されて、生涯をオークランド王国で終えることが決まった少女。
すべてはシュレア姫の祖国、ストルツォ王国のせいだと言うのに。どこまでこの幼い少女を虐げれば気が済むのか。
生きていれば政略結婚の道具に。取り戻せなければ他国に付け入る隙を得る為の道具に。シュレア姫の人生は、まるでストルツォ王国のおもちゃだった。
『デイリーさん、明日はシュレア姫を助ける為のデイリーミッションを、必ず発動させてくださいね?』
シルヴィオは行き場のない怒りをたぎらせながら、心の中でデイリーさんに呼びかけた。デイリーミッションでシュレア姫の秘密を教えたということは、きっと神さまたちはシュレア姫を助けたい筈だと思いながら。
その日の夜、早く明日になれ、と思いながら寝たシルヴィオは、少し痛がり恥ずかしがるシュレア姫の裸のオッパイを、ひたすら揉んでいる夢を見てしまい、幼い体な為夢精こそしなかったものの、目覚めた瞬間から、罪悪感に打ちのめされることになるのだった。
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