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第67話 え?見えてるの?

 離れの塔の中で、シュレア姫はラヴェール王子が遣わした、著名なデザイナーに、下着姿で採寸を受け、両手を広げて立っていた。


 女性のデザイナーはメジャーを手に、シュレア姫のプロポーションを丁寧に測っては手にしたバインダーに寸法を記入している。


 その時、部屋の隅の影が不自然に揺れたかと思うと、影からシルヴィオとギィが姿を現した。ギィは影を操る能力で、シルヴィオと手を繋いで影から影へと出入りすることが可能なのだ。


 何者も侵入不可の離れの塔の中で、孤独に過ごしているであろうシュレア姫と、おしゃべりを楽しもうと思って侵入したのだ、が。


 シルヴィオは目の前の光景に驚愕した。シュレア姫の、まだ未成熟ながら女性として変化しつつある、半裸の姿をバッチリと目撃してしまったからだ。


 思わず口元に手を当てて、バッとクローゼットの影に身を潜め、空中に浮かんだまま、興味深げに覗いているギィを、パッと掴んで自分のもとへと引き寄せた。


 いくら相手からギィの姿が見えないとはいえ、当たり前のように半裸を見てしまっているギィをそのままにするわけにはいかなかった。ギィにとって人間の女性の裸が、興味のあるものかはわからなかったが。


 ギィは平然とギィ?と鳴いて、不思議そうに首を傾げてシルヴィオを見ている。

 デザイナーはふと耳をすませると、

「今、何か音がしたような……。」


 と呟きながら振り返るものだから、シルヴィオは汗が止まらなくなった。だが、当然その姿は見えない。


 デザイナーは首を傾げるが、シュレア姫は怯えたように身をすくませた。

「もしかして、ネズミでしょうか……?」


 壁はボロボロで、ところどころ穴が空いており、ネズミが入って来ても不思議ではなかった。


「こんな高い塔に外から登ってこられるネズミなどおりませんわ。」

 そう言ってデザイナーは笑った。


「採寸は完了致しました。デザインはいかがいたしましょうか?」

「あの……本当に私、ドレスを作っていただかなくとも……。」


 遠慮がちにシュレア姫が言う。

「既に代金は受け取ってございます。王家直々の依頼ですし、こちらから断ることなど出来ません。どうぞ、お好きなものをお選びください。5着までお選びいただけますわ。」


 デザイナーにそうまで言われてしまっては、シュレア姫には断るということは出来ず、大人しくデザインリストから、あまり高くなさそうなドレスを5着選んだ。


 そうは言っても、王家御用達のマダムシュッヘのドレスだ。当然使う生地も高いし、一番安そうなシンプルなデザインのものが、実は一番お高い、とある国でしか手に入らないシルクをふんだんに使用したものだとは、シュレア姫には思い至らないのであった。


 デザイナーが部屋を出て行き、シルヴィオは息を殺したまま潜んでいたが、そんなシルヴィオの様子が面白かったのか、鼻のあたりをくすぐり始めた。


「ちょ、やめ、──ハックション!」

 シルヴィオはくしゃみが我慢できず、思わず大きな音をたててしまった。


「誰!?」

 たった1人で部屋に取り残されたシュレア姫は、戦々恐々といった様子で、壁ギリギリまで下がって、震えながらそう叫んだ。


「あ、あの……ごめんなさい、僕です……。」

「シルヴィオ王子!?」

 もう隠せないと、姿を現したシルヴィオに、シュレア姫が驚いて大きな声を上げる。


 この部屋にも防音魔法がかけられているのか、外に立っている筈の衛兵が入ってくることはなかった。


 シュレア姫は相変わらず半裸のままだったので、顔を真っ赤にして、目をせわしなくキョロキョロとさせながら、目のやり場に困っていた。


「どうやって、ここへ?」

「あの……、内緒にしてて欲しいんですけど、僕の能力なんです。」


「能力……ですか?洗礼前に力を得ることはまれだと聞きますが……。」

「その、まれ、みたいです……。ともかく、服を着てくださいませんか?」


 そう言われて、ハッとしたように自分の姿を見ると、シュレア姫は慌ててドレスへと着替えたのだった。


「……失礼いたしました。」

「いえ、僕が勝手に来たのが悪いので……。」

 沈黙が流れる。


「シルヴィオさまの能力で、こちらに来ることが出来たというのはわかりました。……ですが、なぜこんなところへ?」


「もう少し、シュレア姫とお話してみたいなと思って……。あの時、事故が起きたので、お話出来なかったなと思いまして。シュレア姫が外にいらっしゃるのは、温室の手入れの時だけなのでしょう?その時に僕が温室に行かれるかわかりませんでしたし。」


「わたくしと話を、ですか?」

「はい。こんなところに1人で閉じ込められていて、めったに外に出られないんじゃ、話し相手もいないかなと思って。」


「話し相手ならおりますわ。今は出ておりますが、世話係の侍女がおります。……でも、お客さまは大歓迎ですわ。ここでお迎えする、初めてのお客様ですわね。」


 そう言って、シュレア姫は嬉しそうに微笑んだ。

「それにしても、シルヴィオさまの肩に乗っている、その黒い子はなんですか?」

 と、シュレア姫が突然爆弾発言をした。




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