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第53話 メリッサを救え

 シルヴィオはシーラを通じて侍従長を呼び出すと、先日読んだ書物で、教会の祭司長レベル、またはレベルの高い聖魔法が使える人間であれば、呪術師が触媒を使って呪いをかけた際に残る、魔力の痕跡を追えると書かれていたのだと告げた。


 王子宮の侍従長は、王妃宮の侍女長から話を聞いていたのか、王妃さまの目の前で、侍女が呪いを受けて倒れたことを知っていた。


「多分、魔法師団の皆さんも知らないと思います。教会に依頼するよう、助言をしてきて欲しいのですが。」


「⋯⋯お伝えは致しますが、実現は難しいかと存じます。」

「なぜですか?」


「祭司長のいる教会となりますと、中央聖教会の支部になりますでしょう。中央聖教会は不可侵領域、王族であっても命令を下すことが出来ません。まずもって、祭司長どころか副祭司長であっても、簡単には面会が出来ないものなのです。」


「王族であっても、面会すら出来ないのですか!?」

 それは予想外だった。


「もちろん、教会が置かれている国の王族の面会依頼であれば、すげなく追い返されるということはないでしょうが、あちらがこちらの望みを叶えてくれるかどうかの保証はありませんので⋯⋯。」

 侍従長は困ったように眉を下げた。


「それにお忙しい方々ですから、用事があれば会っていただけません。それを咎めることもまた出来ないのです。そもそもいくつかの教会を定期的に移動されていらっしゃいますから、王都近くの教会にいらっしゃるかも定かではありません。」


「でも、少なくとも、王族であれば優先はしてもらえるということですよね?だったら面会依頼を出したいです!」


「シルヴィオさまだけでは難しいやも知れません。王子とはいえ、まだ幼くていらっしゃいますので⋯⋯。王妃さまに面会依頼をお出しして、王妃さまより教会に打診いただいてはいかがでしょうか?」


「では、母さまに面会依頼をお願いします。魔力の痕跡が残っているうちに調べないと、母さまの侍女であるメリッサさんは、殺されてしまうのです。」


「かしこまりました。早急にお手配させていただきます。」

 胸に手をあてて恭しくお辞儀をすると、侍従長は部屋から出て行った。


 王妃として仕事を持っている為、通常であれば当日の面会というのは、なかなか通らないものであるが、王妃さまはすぐにシルヴィオの為に時間を作ってくれた。


「教会の祭司長であれば、発動した呪いに残った依頼主の痕跡を追えるというのは、本当なのですか?」

「はい、ここに書かれています。」


 シルヴィオは面会までの間に、該当する文言の書かれた本の場所を、アカシックレコードで探し出して王宮図書館より持参し、重たい本のページを開いて王妃さまに見せた。


 レジーナが本を受け取り、王妃さまに広げた本を近付けて見せる。

「⋯⋯確かにそのように書かれているようですね。よくやりました、シルヴィオ。」


 感心したように頷きながら言う王妃さま。

「レジーナ。早速中央聖教会に向けて、祭司長への面会依頼を出しなさい。レベルの高い聖魔法が使えるのであれば、祭司長でなくとも構いません。」


「かしこまりました。」

 レジーナが侍女に紙とペンと封蝋と燭台を持ってこさせ、王妃さまが手早くそれに面会依頼を記載し、王妃さま専用の封蝋を押した物をレジーナに手渡す。


 レジーナは侍女に、早馬で届けるようにと申し付けた。

「事情も簡単に書いておきました。中央聖教会は呪殺に関しては教義に反する為、特に忌避しています。呪いで苦しめられている人々を救うのが彼らなのです。余程のことがない限り、協力してくれることでしょう。」


「そうなのですか?侍従長からは、難しいのではと言われたのですが⋯⋯。王宮にも呪術師がいますが、それは問題ないのですか?」


「呪術にも色々あるのです。人々を苦しめる呪いがよくないというだけのこと。呪術師であっても教会で洗礼は受けられますから、問題ないのですよ。」

「そうなのですか?」


「人を殺す呪いをかけられた人間がいるとあっては、優先的に動くことになるでしょう。彼らの専売特許ですから。もちろん、たくさんお布施を要求されはしますけどね。」


 お布施を払えないであろう人間には、あまり会おうとはしませんが、と付け加えた。どうも教会は俗物的な存在であるらしい。


「なるほど⋯⋯。」

 この世界の常識は、シルヴィオにはまだまだ知らないことばかりだと感じた。


 程なくして、早馬が中央聖教会からの返信を携えて戻って来た。祭司長はちょうど近くの教会にいるらしく、面会してもよい、との返事だった。


 シルヴィオと王妃さまは、護衛を伴って、中央聖教会支部へと向かう馬車に揺られていた。向かう途中で、どこかで見た風景だな、となんとなく感じる。


「あれ?ここって⋯⋯。」

 そこはセフィーラさまが住む精霊と妖精の森の近くにある、ガスパールが住んでいる教会だった。





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