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第39話 精霊の寵愛

「……そうなのですか?神はわたくしを心配して下さったのですね……。

 ありがたいことです。あなたと魂をつながせていただけませんか?そうすれば、もっとあなたの澄んだ気を受けて、私は力を取り戻すことが出来るでしょう。」


「どうすればいいですか?」

「こちらへ。もっと近くへ。」

 導かれるまま、セフィーラさまの近くに寄って、足元にしゃがみ込む。


「セフィーラさまが、久しぶりに人間と魂をつながれるわ!」

「セフィーラさまの人間への寵愛!」

「私、初めて見るわ!」


 妖精たちの歓喜するような声に、え?とシルヴィオが思った瞬間、セフィーラさまがシルヴィオの頬を両手で挟んだかと思うと、その美しい顔が近付いて来た。


 焦る間もなく、セフィーラさまがシルヴィオの額に口付けた。遅れて慌てるシルヴィオ。こんな綺麗な女の人に、しかも口づけされるなんて、前世も合せて初めてのことだ。


 セフィーラさまとシルヴィオの体が光りだし、温かな黄緑色の光に包まれた。薄暗かった森が、一気に明るい森へと変貌する。


「ああ……。とても楽になりました。澄んだ魂の人間とつながることで、わたくしもあなたの影響を受けますが、あなたもわたくしの影響を受けることになります。」


「精霊魔法が使えるようになるわよ!」

「この国では久しぶりね!」

「セフィーラさまと親しい精霊のいる森では、どこでも歓迎されるわよ!」


 と妖精たちが教えてくれる。そして、


【デイリーミッションクリア

 報酬:セフィーラの寵愛

 報酬がレベルアップしました】


 と文字が表示され、デイリーさんの声が聞こえた。“魔王の器”として生まれた存在で、精霊の寵愛なんてもらってもだいじょうぶなのだろうか?とシルヴィオは少し心配になる。


 既に神の寵愛すら貰っているのだ。デイリーさんと共に、体を奪われない為に動いていることを、シーラたちに気付かれやすくなってしまうのではないか、と。


「……なにか、心配ごとですか?」

 嬉しそうな顔をしないシルヴィオに、セフィーラさまが憂いた表情でシルヴィオの顔を覗き込んでくる。


 セフィーラさまは人間ではない。この人になら相談してもいいんじゃないかな、とシルヴィオは考えた。


「その……。僕の体は、本来“魔王の器”として用意されたものだったんです。」

「“魔王の器”、ですか?」

 セフィーラさまが首を傾げる。


「僕が本来入る筈だった体を、この世界に来る前に奪われてしまって……。神さまたちと、僕が神さまの使徒として生きられるように、画策している最中なので、あまり目立つのはよくないのかなって思って……。」


「そうだったのですね。」

「だから魔族と手を組んでいる、国王の子として生まれたのです。僕の近くには、僕を“魔王の器”として育てようとしている、魔族がいるのです。」


「魔族に気付かれないか、と言うことですね?でしたら心配ないと思います。」

 セフィーラさまは穏やかに微笑みながら言った。


「精霊や妖精は、もともと、どちらに付くという存在でもないのですよ。魔族に手を貸す精霊や妖精もいるのです。」

「そうなのですか!?」


 そう言えば、と、“魔王の揺りかご”でも、悪しき妖精のような魔物の姿を見かけたことを、シルヴィオは思い出した。


「特に妖精は気まぐれですからね。面白いと感じたほうにつくのです。ですから、魔族たちはわたくしたちを敵だとも、味方だとも、思っていない筈ですよ。」


「でも、セフィーラさまは、魔素に当てられて苦しんでいたのではないのですか?」

 シルヴィオはそれを不思議に思って尋ねる。


「精霊や妖精は、影響を受けやすいのです。聖力の多い場所であれば、それを好むものが集まってきます。ですが魔素の多い場所であれば、それに染まってしまうのです。」


「魔素と聖力は反発するものだからよ。影響を受ける際に、体が苦しくなるの。体が作り変えられるんだと思うわ。」

 フィオレが教えてくれる。


「ゆっくりと受け入れないと、受け入れられずに消滅してしまう場合もあるのです。」

「だから苦しかったということですか?体が魔素を受け入れようとしたことで。」

 セフィーラさまはこっくりと頷いた。


「それは聖力を受け入れる際にも、魔素を受け入れる際にも同じです。その代わり、聖力も魔素もどちらも受け入れることが可能です。どちらかを受け入れると、今度はそれが多い場所を好んで暮らすことになるのですよ。」


 もう今は、あなたとつながったことで、魔素の影響を受けにくくなりましたが、とセフィーラさまは言った。


「フィオレが、この近くの教会に住んでいる変な子どものせいで、魔物がわくようになったと言っていました。その子どもが、本当に何か影響を与えていたと考えられますか?」


「ええ。そうだと思います。神の加護を持つ体に、禍々しい魂を感じる子どもが近くにいるのです。その魂の影響で、既に神の加護は外れ、与えられた力も変貌してしまったようですが。その歪んだ魂が、すべてを飲み込もうとする力が、周囲に影響を与えているのです。」


 まさか……。とシルヴィオは思った。神の加護を持ち生まれた体。それすらも飲み込もうとする、禍々しい魂。八阪がここにいるのかも知れない、と思った。





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