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第36話 皮算用に失敗する貴族たち

 シルヴィオはデイリーさんから、スキルは生まれた時から付与されているものだと教わって知っているが、教会が鑑定の儀でスキルは得られるものと教えている為、一般的な認識としては、それまでスキルは得られないものという考え方らしい。


 教会の祭司を通じて、神の祝福を賜り、スキルを得る。これがこの世界の共通認識であると、家庭教師から教わった。


 なぜそうした認識なのだろう?とシルヴィオが内心疑問に感じていたら、鑑定の儀で協会に入るお布施がもらえなくなるからじゃないですか?と、なんとも俗物的な答えがデイリーさんからもたらされたのだった。


 気球型の馬車とエアバイクは、飛ぶように売れた。国内だけでなく、諸外国からも注文が相次いで、生産が追いつかないほどだ。


 気球の素材は廃材を活かして作られている物ではあるが、国内の自給率が低いことから、海外からの買付量が増え、これがないと気球が作れないことに気がついた諸外国が、廃材の値段を引き上げてきた。


 当然そうなると気球型の馬車の値段を上げざるをえなくなる。そこで新たな素材を開発すべく、カロリーナたちと研究を重ねた。


 その結果、この国に主に自生している植物から採れる成分にカロリーナが目をつけた。

 ニチャラの木と呼ばれるその樹木の成分を使えば、より軽く強度も増すことがわかり、諸外国から廃材を仕入れなくとも良くなった。


 より高級路線の気球型の馬車を売り出すこととし、それもまた飛ぶように売れた。廃材で作る気球型の馬車も、国内で手に入る分だけ制作を続けた。


 ニャチラの木から採れる成分は、木を切り出さなくても、傷をつけて液体を採取するだけなので、樹木の成長速度の関係から、あまり一度にたくさんの木を切り出せない為、大きく稼ぐことの出来ない木こりたちの、新たな収入源となった。


 何せ畑に出来る面積が少ない分、森だけは潤沢にある。領地が潤い、またそれに伴い気球型の馬車とエアバイクの売上も上がった。


 廃材を大量に売りに来た商人たちに、もう購入の予定がないことを商会が告げると、売りつけることで処分費用を浮かせようとして、大量に廃材を用意していた各国が一気に大混乱となった。


 わざわざ一箇所に集められたそれは、売れると思って新たに作った倉庫の建築費用、いくらでも高値で売れるとふんで、捨てる筈だったそれを我先に買い込む為に支払った費用で、諸外国の貴族たちを窮地に追い込んだ。


 袋を作ればいくばくかの金銭にはなる為、貴族たちはそれを作ろうとしたが、そもそも農民たちが農閑期にいくらかでも金銭を得ようと、冬の手仕事として、暖炉にくべる薪の熱を使用して煮出していた物である。


 廃材を長時間煮る人手も足らなければ、単純にそれだけの為に薪を使用していては、費用対効果が合わなさすぎた。


 結果燃やすのが最も損がない、という、儲けを期待していた貴族たちの頭を悩ませるだけの結果となったのだった。


 諸外国の貴族たちは、せめて燃やす燃料を浮かそうと、タダでいいので引き取って欲しいと頼む羽目になり、シルヴィオはそれらを引き取ることを決めた。


 工房だけでは人手が足らなかった為、各領地の貴族たちと商会を通じて交渉し、それぞれの領地にある孤児院の子どもたちの仕事として、廃材を煮出す仕事を引き受けてもらうことにした。


 日々の食事の準備をする為の薪にも困窮していた孤児院は、一気に生活が楽になった。

 薪は貴族から仕入れることになるが、それ以上の金額でシルヴィオたちの商会が、煮出した廃材を購入してくれる。


 シルヴィオたちは廃材が無料で仕入れられなくなる時のことを考え、初期タイプの気球型の馬車の値段を下げなかったので、孤児院にたくさんのお金を払っても、なお大きく儲けが出た。


 ニャチラの樹液が利用出来ることを発見したのはカロリーナだった為、権利はカロリーナ一人が持つこととなり、新素材発見の功績で、王宮で大臣たちが集まる中、カロリーナは国王から褒美をたまわった。


 まだ幼いことから正式な所属にはならなかったが、錬金術師ギルドから名誉メンバーの誘いを受け、そのことは広く貴族の間に知られることとなったのだった。


 またその頃、気球型の馬車とエアバイクを手に入れた各国の王侯貴族たちから、浮島の学園への通学を、転送魔法陣を使用してではなく、自力での通学にして欲しいとの嘆願書が多数届いていた。


 転送魔法陣は魔力を膨大に使用する為、元々浮島の学園では、毎年一度に生徒を引き受けることが出来ないでいた。


 転送魔法陣の費用も、その為に臨時で人を雇う必要があるからこその必要経費であり、儲けの為に高額にしているわけではない。


 防御魔法を許可を得た招待状を持参した人間だけがくぐれる仕様へと変更することで、安全面にも問題がないとし、シルヴィオの入学を前にして、エアバイク等を利用しての、直接の通学が可能となったのだった。




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