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第35話 エアバイクと気球型馬車のお披露目

 気球型の馬車には、マッド宮邸伯とその助手が乗り込み、ゆっくりと空を遊覧して、広場を一周して戻って来た。


 エアバイクには王宮の騎士団長が乗り込むと、正装した姿で空中を優雅に飛び回り、空中で気球型の馬車の乗り込んだマッド宮邸伯に会釈をし、観客の喝采を浴びた。


「案外と素早く動くものなのですね。」

「馬車よりも断然早いですわ。」

「風の影響次第では、この国の端から端まで、10時間もあれば行かれるそうだよ。」


「まあ、そんなに早いんですの!?」

「あれに乗って旅行がしてみたいですわ。」

「いいですわね、空の旅なんて、なんて素晴らしいのでしょう!」


「だが護衛のことを考えると、かなりの数が必要になるな。いったいいかほどで売り出されるのか……。」


「ですが、殆どの貴族はあれを手に入れることでしょう。手に入れないと、話題に乗り遅れてしまいますよ。」


「確かに……。これからはあれを持っているかどうかで、交友関係が変わってくる可能性すらありますな。」


「あの鉱物で出来た騎馬は、領地戦に有効そうですな。」

「さよう。手に入れねば近隣に大きく遅れを取る懸念がありましょう。」


「あんなものを使われたら、うちなんてひとたまりもないぞ……。」

「とんでもない物が開発されたものだ。」


「いくらであっても必ずひとつは手に入れますわ!」

「一番最初に手に入れるのはうちですわ!」


 集まった貴族たちは、早速気球つきの馬車を手に入れようと検討を始め、その後の用途について頭を巡らせているようだった。


 最後に広場の壇上で、マッド宮邸伯、シルヴィオ、ラヴェール王子、カロリーナが並び立ち、今回の魔道具開発に当たり、主にアイデアを出したのは子どもたちであることが発表され、周囲がざわついた。


「ラヴェール王子、シルヴィオ王子、カロリーナ嬢、おめでとうございます!」

 誰ともなく声が上がり、拍手が巻き起こった。シルヴィオたちは照れくさそうに、拍手に対してお辞儀をした。


 最後に国王が挨拶する番になった。初めて見る父親の姿。くぼんだ目は鋭く光り、かつどろりと濁っていた。誰も信じていない人なのかも知れない、とシルヴィオは思った。


 国王は、ラヴェール王子のこともシルヴィオ王子のことも見なかった。服装だけはシルヴィオとラヴェール王子とお揃いなことが、逆になんともものさみしく感じられた。


 今回の魔道具開発が国益に大きくつながることがわかっているのだから、もう少し関心を寄せても良さそうなものだが。


 王侯貴族は自分で子育てをしないものだとは、家庭教師から教わってはいたが、あの関心のなさは、それだけではないような気がするとシルヴィオは考えていた。


「今回の魔道具開発にあたり、ひとつ制限を設けさせてもらうこととなった。」

 一斉に広場がシン……と静まり返る。


「兵器としての利用が大いに期待されるところだが、他国への輸出を鑑みた場合、諸外国にも力を与えることになる。その為騎乗した状態で、武器や魔法を使用出来ないよう、制限をかけて発売することにした。」


 国王の言葉に、国王を見上げていたシルヴィオに、マッド宮邸伯がウインクする。

 兵器にしたくない、というシルヴィオの考えを、事前に国民に公表したいとマッド宮邸伯にお願いしてあったのだ。


 マッド宮邸伯はうまく大臣たちを言いくるめて、この場での国王自身での宣言を実現してくれたらしい。


 戦に使用することを想定していた貴族たちは、兵器利用が出来ないと知って、特に攻め入られる可能性のある領地を持つ貴族たちが、ホッと胸を撫で下ろしていた。


 王子2人と公爵令嬢が直々に開発した魔道具とあって、売上を均等に分ける為、王家とチェルレッティ公爵家が、資金を出し合って新たな商会を作り、そこに売上を集めることとなった。


 マッド宮邸伯も開発に関わった恩恵で、商会に一枚噛んでいる。壇上から降りて両親の元へと向かったカロリーナを、誇らしげにチェルレッティ公爵夫妻が見つめている。


「よく頑張りましたね、カロリーナ。」

「ああ、とても素晴らしい物を作ったね。私は君が誇らしいよ。」


 人前で抱きしめてくれる両親に、カロリーナは嬉しそうに相好を崩した。

「素晴らしいご令嬢ですな、チェルレッティ卿。」


「まったくです、マッド宮邸伯の血を強く受け継がれたのですな。恐らく鑑定の儀でも、道具職人関連のスキルを得られることでしょう。」


 貴族たちが集まって、次々にチェルレッティ公爵家をもてはやしている。カロリーナとチェルレッティ公爵家に対するイメージの改善が、少し実現出来たかな、とシルヴィオは思った。


 もちろん気球型の馬車も、エアバイクも凄い物だが、この一回だけでは、考えを完全に改めさせるには至らないだろ、とも考えていた。


 もっとたくさん魔道具を開発して、カロリーナを王妃候補に押し上げないとな、とシルヴィオは張り切っていた。




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