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第27話 怪しい魔石の出どころ

「だって、簡単に戦力を高められるんだよ?戦争をしかけようとしている国は、うちだけじゃないからね。他の国に渡ってしまったら、そこから攻められかねないでしょう?」

「ああ、確かに⋯⋯。それはそうですね。」


「そもそも売り主がこの国の人間かすら定かじゃないんだ。仕入元は、シルヴィオについている侍女の縁戚だっていうから、この国の人間で間違いないけど、魔石の仕入元が謎なのはおかしいだろう?」


「そ、そうですか?」

「この国にも練度の高い魔力を魔石に込められる魔法使いはたくさんいるけど、毎日30個もの魔石をおさめるとなると、最低でも10人以上の魔法使いを雇っていないといけないってことになるよ。でもそんな貴族も商人もいないんだ。」


「そうなんですか?」

「貴族が武力を持ち過ぎるのはよくないとされているからね。私兵を抱えている貴族はたくさんいるけど、辺境伯くらいだよ、そこまでの大規模な私兵を抱えているのは。それにそもそも、魔法使いの数は一般の兵士の数よりも少ないものだからね。」


「そうなんですね。」

 シルヴィオの知らない事実だ。もちろんアカシックレコードを使えばわかることだが、考えてみたことがなかった。


「⋯⋯ひとつ懸念材料としてあるのは、違法な奴隷を抱えている、貴族や商人がいた場合だね。平民にも魔法を使える人はたくさんいる。貴族のほうが割合として高くはあるけれど。もしも魔法が使える平民を違法に奴隷として抱えて、無理やり魔石に魔力を込めさせていたとしたらことだよ。一度調べさせたほうがいいかも知れないと思ってね。」


 とんでもない話になってきた、とシルヴィオは思った。ただの練習、手慰みとしてやったものが、ここまで大事になるとは。


「それならば平民たちにやらせて、それを色んな場所から買い集めたのではないですか?何も一箇所で雇っているとも限らないのでは?」


 練度の高い魔力を込めた魔石を手に入れる手段が他にもあれば、そんな物騒な話にいきつくことも、下手に調べられることもないだろうと思い、思いついた話を振ってみる。


「普通に魔石に魔力を込めるだけなら、学生や魔力の高い農民なんかが、生活資金の足しにやることがあるから、別に不思議じゃないんだ。実際売られている魔石の大半は、そうして集められたものだからね。だけど練度の高い魔石となると別なんだ。」


「どう違うのですか?」

「そもそも魔石に魔力を込める作業というのが大変なんだ。そもそも平民は子どもの頃から、基礎魔力の上限値を上げる為に、魔力を吸う石を使って訓練したりしないものなんだよ。」


「貴族だけ、ということですか?」

「魔力を吸う石自体はあちこちで手に入るものだからね。やろうと思えば不可能じゃないけど、必要じゃないからやらない。」


「どうして平民には必要ないのですか?」

「冒険者なんかは魔法使いがいるけれど、そもそも危険な仕事だから、魔法使いを前提に子どもを育てる親がいないんだ。」


「貴族や、僕たち王族がそれをするのは、将来領地を守ったり、王宮に勤めたりするから⋯⋯ということですか?」


「そうだね。貴族の大半はそれを目指すことになるから、魔石入りの武器や魔道具に魔力を込める為にも、小さい頃から魔力を高める訓練が必須になっているんだよ。」

「なるほど⋯⋯。」


「平民の場合、12歳になると教会でギフトが判定されて、そこで初めて魔法スキルがあるとわかって、魔法使いになることがあるから、そこで初めて魔石に魔力を込める仕事をすることになる感じかな。」


「その人たちがやっているのではないですか?」

「訓練をしていない人は、余程もともとの魔力が高くない限り、魔石に魔力を込める仕事がせいぜいだと聞くよ。魔力の練度を高める方法は、長年の訓練を元にやれるようになるものだ。出来るようになる頃には、いっぱしの冒険者になっているだろうから、冒険者として稼いだほうがお金になるんだ。」


「冒険者って儲かるんですね⋯⋯。」

「魔石に魔力を込める仕事よりは確実にね。だから練度の高い魔力を込めた魔石が欲しくても、大量には手に入らない。王宮の魔法師団所属の魔法使いたちも、自分の武器についた魔石に力を込める為に魔力を使うから、練度の高い魔石が作れても、売る程には作らないんだ。作れる程魔力があまらない、が正しいかな。」


「じゃあ、毎日練度の高い魔力の込められた魔石が手に入るというのは、かなり異常な状態ということなんですね⋯⋯。」


「そうなるね。だから出どころが気になるんだ。今は王宮におさめてくれているけれど、他の貴族派の貴族の手に渡れば、謀反の可能性だってある。他国の手に渡れば戦争を仕掛けられる可能性があるからね。」


「では、王宮にしか売らない契約を結んではどうでしょう?そういう制約つきの魔法契約を結べると、この間授業で教わりましたよね?」


「シルヴィオの侍女の縁戚に対しては結べるだろうね。だけどその仕入元が契約を結んでくれなければ、意味がないよ。だから知りたいんだ。その仕入元をね。」





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