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第26話 魔族と魔物の関係

「イメージ⋯⋯。王宮のあかりがついたり消えたりするところを想像する⋯⋯。」

 目を閉じてそう呟いたラヴェール王子の指先が、大きさはそのままに強く光った。


「出来ました!先生!」

「そうですね。大変お上手です。そのイメージを忘れないように、訓練をしてください。」

 ラヴェール王子とシルヴィオは、顔を見合わせてニッコリと微笑んだ。


「今日は練習をかねて、練度を高めた状態で魔石に魔力を込めてみようっと。」

 独り言のようにそう言うと、


【デイリーミッション

 魔石30個に練度を高めた魔力を込めよ

 報酬:エリクサー】


 と、これまたシルヴィオがやろうとしていたことに合わせたデイリーミッションが現れた。


 魔法の練度の練習を兼ねて、魔石に魔法を込める際に、練度を上げた魔力を込めることにした。そのほうがずっと魔力を消費することがわかったが、その分数を作ることが出来なかった。

 

【デイリーミッションクリア

 報酬:エリクサー1本

 アイテムボックスに直接納品されます】


 デイリーミッションで作成する数が少なかったのは、デイリーさんには数が作れないことが予めわかっていたからなのだろう。


「目標の納品数が入れられないね⋯⋯。これじゃまずいかな?」

 とシルヴィオはシーラに尋ねる。


「練度を増したのであれば、その分威力が増すのですから、より手に入れにくい魔石が出来上がったことになります。むしろそれを知れば喜ばれるでしょうね。」

 とシーラが言う。

「そうなの?」


「森に魔物を倒しに行くのに使うのだと言っていましたよね?魔石の効果が切れる前に、一度引き返さなくてはなりませんが、練度の高い魔石があるのであれば、引き返さずにそのまま一気に攻められるでしょうから。練度の高い魔石が集まるのを待って、総攻撃をしかけた方が、効率がいいですからね。」


「値段もそのほうが上がると思うわよぉ?」

 シャイナがソファーにふんぞり返って、爪の手入れをしながら言う。一応メイドの筈なんだけどな、この人、とシルヴィオは思いながらそれを見ていた。


「⋯⋯ていうかさ、みんなはそれで平気なの?魔物って、魔族の眷族なんでしょ?」

 魔物を討伐しに行くことに、はからずも自分たちが手を貸すことになってしまったことに、どう感じているのかが気になっていた。


「別に眷族ってわけじゃねえぜ?」

 レルグの回答は意外なものだった。

「え?そうなの?」


「魔族と魔物は別のものだからな。奴らは瘴気に当てられたことで、動物や精霊が姿を変えたものだ。俺たちとは生まれが違う。操りやすいから戦う時に使ってるってだけで、別に奴らがどうなろうが、気にならねえよ。」


「なんなら食べることもあるしね。」

 とシャイナが言う。

「そうなんだ⋯⋯。てっきり仲間だと思ってたんだけど。」


 というよりも、家庭教師の授業で、魔物は魔族が操っている魔族の眷族であり、人間の敵であると教わってきたのだ。人間は皆そう考えていることだろう。


「人間は私たちも魔物の一種だと思ってるみたいね。聖魔法がきくからなんでしょうけど。別に私たちがわざわざ教える必要もないから、訂正しないってだけよ。」

「そうなんだ⋯⋯。」


 シーラたちといることで、はからずも魔族や魔物の特性について、人間が知らないことを、少しずつ知ってしまっている気がして、なんとなくそのことは、他の人たちに知られない方がいいんじゃないだろうかと、シルヴィオは不安に思った。


【そうですね、知られないほうがいいでしょうね。】


 シルヴィオの心の声に、デイリーさんが話しかけてくる。


『やっぱりそうかな?』


【研究者ならまだしも、あなたはまだただの子どもですから。国内外のどこの書物にもないようなことを知っていて、特をすることはないでしょう。アカシックレコードで調べられることも、同様に知られないほうがいいでしょう。】


『わかった、気をつけるよ。』

 シルヴィオはこっくりと頷いた。


 魔石に練度を高めた魔力を込める訓練をかねて、デイリーミッションをこなしていく。

 一週間も経った頃、再びお昼休憩の時間に、ラヴェール王子から、大規模な討伐隊が魔の森と呼ばれる場所へ遠征し、森の魔物をすべて討伐したことを伝えられた。


「そうなのですね。」

「本当に凄いことだよ。出どころを明かしてもらえないんだけど、一体どこの誰が、あんなにも大量に、練度の高い魔石を用意することが出来るんだろうかって、大臣たちの会議で話題になっているみたいなんだ。」


「へ、へえ⋯⋯。」

「⋯⋯今は普通に売ってもらえるけどさ、これが他国に渡ったら大問題だからね。」


「え?そうなんですか?なぜです?」

 急に真剣な顔つきでそう言ってくるラヴェール王子に、シルヴィオは思わずビクッとしながら尋ねる。


 何が問題だったのだろうか?ついでに売ったら儲かるとの言葉に乗せられて、特に考えずに魔力を込めた魔石を売ってしまったのだが、まさか問題にされるとは思っていなかったシルヴィオは内心焦っていた。




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