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第21話 魔物と魔族の基礎知識

「ではまず基礎的なことを教えていきましょう。ヴェールさま、シルヴィオさま、魔素というものをご存知ですか?」


「大気中を漂っている、魔法の元となるものですよね?それを使って魔法を使うと聞いています。」

 ラヴェール王子が答える。


「はい。そのとおりですね。人はもともと体内に魔力を持っていますが、その量は知れています。だから空気中の魔素と自身の魔力を練り合わせて魔法を使うのです。」


 なるほど、とシルヴィオはうなずいた。

「ですがもともと体内の魔力量が多く、魔素を使用せずとも魔法を使うことの出来る存在がいます。それがなにかはわかりますか?」


「はい、魔物や魔族です。彼らはもともとの魔力含有量が多く、空気中の魔素を殆ど使用せずに魔法を使用します。」

 それを聞いたシルヴィオはドキッとする。


「はい、そうですね。ですので魔素の薄い地域に存在する魔物を倒す際は、魔法使い以外を向かわせることになっています。」

 うなずきながらジギースが言う。


「宮廷師団が主に魔法使いで構成される理由もそこからです。魔素の薄い地域では、魔法使いは役立たずとされる。だが魔素の強い地域であれば強力な戦力となります。」


 つまり王宮のある場所は魔素が強いということだ。

「他の地域では戦力にならないこともありますが、王宮であれば確実に戦力となる。その為魔法使いは王宮を守っているのです。」


「なるほど、よくわかりました。」

「ですが例外があります。」

「例外、ですか?」


「はい、神聖魔法と呼ばれる、聖女さまや教会の一部の祭司さまが使えるとされる魔法です。神聖魔法は魔素を必要とせず、神の力を借りて戦うとされる魔法です。その為力の系統が異なり、魔素の少ない地域でも、魔物や魔族と戦うことが可能となります。」


「魔族と戦う為には、聖女さまが必要とされるのはそれだからなのですね。」

 ラヴェール王子が言う。


「それもあります。一番は瘴気の影響です。瘴気は人や動物を魔物に変えるとされていますが、それを払うことが出来るのは神聖魔法だけなのです。聖女さまなしでは瘴気が濃いとされる、魔族の住処に近付けないのです。」


「勇者さまも、神聖魔法が使えるのですよね?聖女さまほどでなくとも。」

 ラヴェール王子が質問をする。


「はい、よい質問ですね。広範囲を浄化することは出来ませんが、攻撃の際に悪しきものを浄化する力はお持ちとされています。勇者さまは異世界より召喚された神の使徒であり、善き魂をお持ちの方。その魂の輝きが、神聖魔法を放つ力の源とされています。」


 なるほど⋯⋯。とシルヴィオは感心しつつ思った。八阪は自分が入る筈の体を奪ったけれど、当然善き魂などではない。


 つまり勇者の体に入っても、八阪は神聖魔法を使うことは出来ないということだ。この世界で神の使徒として、また勇者として認められるのは難しいと言わざるを得ない。


 かと言って、神の使徒であるシルヴィオも、魔王の体に入っている限りは、勇者として認められることはないだろう。


 自分の体が魔王の器として奪われるのを防ぐのと同時に、聖女さまを見つけ出さなくてはならないだろうな、とシルヴィオは思った。


 聖女さまを見つければ、体が奪われることを防ぐ手助けをしてくれるかも知れない。

「聖女さまと勇者さまは、どうしたら見つかるのですか?」

 シルヴィオはジギースに尋ねる。


「教会にお告げがあるのです。神が使徒をつかわしたというお告げがね。ですがお告げがあっても、聖女さまと勇者さまがそのお力を覚醒されるまでには時間がかかるのです。覚醒するのを待って迎えに行くことになるでしょう。」


「どうしたら覚醒するのですか?」

「それはわかりません。神の思し召しとしか申し上げられないでしょう。ですがわかっている特徴がひとつございます。」


「特徴、ですか?」

 ラヴェール王子が首をかしげる。

「人は魔性のものに触れると、火傷をすると言われています。ですがその身に強い加護を宿す聖女さまと勇者さまは、魔性のものに触れても火傷をしないのだそうですよ。」


「では僕らが触れて火傷をしたら、そのものは魔性のものであるということでもあるわけですね?」

 とラヴェール王子が質問する。


「そうなりますね。」

 ジギースさんがうなずいた言葉に、シルヴィオは内心首をかしげた。


 シルヴィオの体は魔王の器とされている。だが乳母たちに触れられても、特に乳母たちが火傷するような様子はなかった。


 とすると、魔性のものに触れると火傷するという常識が間違っているか──中に入っているのが神の使徒であるシルヴィオであるから、ということになる。


 シーラが世話係としてやって来たのも、本来なら魔王の器に人間が触れると、火傷してその存在がバレてしまうからではないだろうか?




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