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第19話 家庭教師の授業

 シルヴィオはあれから3歳になっていた。経験値はデイリーミッションで倍々に増えており、スキルもどんどん手に入れていたが、いかんぜん実戦経験が薄い。


 そして、魔法スキルを新たに手に入れていたが、使い方がわからなかった。だが前世の記憶のおかげで、実年齢よりもかしこいシルヴィオは、兄のラヴェール王子とともに、家庭教師に勉強を教わることが決まった。


 ラヴェール王子は既に剣の基本も教わっているそうだ。シルヴィオも今日から、剣、魔法、礼儀作法、歴史、算数、文学、ダンス、音楽を学び始めることになっている。


 シルヴィオの父親はかなり優秀な人だったらしく、第二王子のほうが、国王さまに似ていらっしゃるのかも知れないわね、と囁く従者たちの声が耳に届いた。


 そんなシルヴィオと比較された兄ラヴェール王子はと言うと、かなりマイペースな人らしく、特にそれを気にした様子もなかった。


 なんなら王位にもそんなに興味がなさそうだ。確実に自分が王位につく為に、シルヴィオを排斥しようだとか、そういったことにはならなさそうで、シルヴィオは安心してラヴェール王子と椅子を並べて勉強にうちこんだ。


 最初の時間は算数の授業だったが、まずは数字の書き取りから始めさせられた。書籍も日本語で書かれているように見えたし、言葉がわかるようにしてあるから、というのが、日本語に変換されるという意味だったらしい。


 特に問題なく文字がかけるシルヴィオを見て、家庭教師が足し算を教えてくる。なんなくこなすシルヴィオに、恐れおののきながらも、どんどん桁数を上げていく家庭教師。


 足し算程度、どうということはない。5桁の足し算をクリアしたシルヴィオを見て、家庭教師は今度は引き算をやらせてくる。これもなんなく回答するシルヴィオ。


 横目でラヴェール王子をちらりと見ながら、そっと掛け算を教えだした。続いて割り算。実際小学校の低学年の算数程度の授業だった為、シルヴィオはやはりあっという間に答えてしまう。


 ラヴェール王子の前で表立ってシルヴィオを褒めるわけにもいかないのだろう。驚愕した様子を隠そうとしつつも、シルヴィオの現在の知能の状態を、報告書にメモしていた。


 続いて歴史。スキル、アカシックレコードを持つシルヴィオは、その膨大な知識の中から、教科書にも書いていないような、論文に書かれた内容を引き出して、話してしまう。


「⋯⋯それは私が昔書いた論文です。よくご存知でしたね。」

 と驚愕する家庭教師。う、うん、まあ、と曖昧に誤魔化すしかなかった。


 続いて国語。これも特に難しくなかった。次に音楽の授業。吟遊詩人のスキルを手に入れていたシルヴィオは、初めて手にしたリュートを簡単に引きこなしてしまった。


 天才を見つけた!とでも言いたげに、目を輝かせてくる家庭教師に、少し引き気味になるシルヴィオだった。


「シルヴィオは凄いね。」

 食事休憩の時間になり、ラヴェール王子とともに昼食をとっていると、ラヴェール王子がシルヴィオを褒めてくれる。


「僕も4歳から家庭教師についてもらうようになったんだけど、シルヴィオみたいには出来ないよ?」

 くったくのない笑みを浮かべている。


 そうは言いつつも、ラヴェール王子も今の年齢からすると、じゅうぶん優秀なのだが。シルヴィオがスキルと前世の知識チートで優秀すぎるだけである。

「父上に褒めてもらえるかも知れないよ。」


 と言ってくるラヴェール王子。貴族を迎える新年の挨拶パーティーで、中央の椅子に王妃と並んで座っている時にしか、会ったことのない国王だ。ラヴェール王子もあまり話をしたことがないのかも知れなかった。


 直接子育てはしないものの、定期的に尋ねて来ては、可愛がってくれる王妃と違い、特に親だという認識を持ったことがない。


「兄さまは、父上に会いたいのですか?」

「うーん、そうだね。あまりお話したことがないから、話してみたいと思うよ。」

 と言った。


 特に構ってくれなくて寂しいだとか、そういうことでもないらしい。どちらかと言うと、王子として、国王に会ってみたい、ということなのかも知れなかった。


 シルヴィオとしては、自分を魔族に売り渡した人間、という認識のほうが強い為、特に会いたいとは感じなかった。


 会って話せば、その運命を回避出来る可能性があると言うのなら、会ってみたいとは思うが。


 それよりも、年齢の近い子どもが王宮にはいないので、兄と遊んでみたいと思う。兄にはカロリーナがいるので、同年代の子どもと接する機会があるが、シルヴィオには今のところ、婚約者を用意される気配はなかった。


「僕は兄さまともっと一緒に過ごしたいです。勉強を一緒にやるのもいいですが、どこかに出かけてみたいです。」


「そう?確かに、あまり一緒に遊んだことはなかったものね。僕は同年代の貴族の子たちがいる集まりに、連れて行かれることが多かったから⋯⋯。」




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