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『OWPS 壁紙ハトゥンと救済』 Orda WALL-PAPER System  作者: 大皇内 成美


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【第6話】量子の鼓動


起:『水槽の脳との会話』


そこは、相変わらず暗く、冷たい空間だった。上下左右の感覚がなく、ただ青い水だけが微かに光を放ち、無限に広がっている。


ここは、どこなのだろう?

かよは、自分がどこにいるのか思い出そうとしていた。前回訪れた時とは異なり、精神的な混乱はない。以前は乱れていた記憶の画面が、ゆっくりと回復していくのを感じる。ノイズは消え去り、鮮明な記憶が蘇ってきた。自分が何者で、何を成そうとしていたのか。けいたちの顔が、山ももの声が、次々と頭の中を駆け巡る。


なぜ、私は助けられているのだろう?

その時、深淵からの声が響いた。それは物理的な音ではなく、直接、脳髄に響き渡る絶対的な「意思」だった。以前よりも、ほんの少しだけ柔らかい、それでいて絶対的な響きを持っていた。


『――5次元の存在にして、友を思い、私に立ち向かったものよ』

声は続く。

『汝の記憶の40パーセントは壊れていた。わたしはそれを復旧した。私は6次元の存在である天秤』


「天秤……」かよは、その存在の、計り知れない大きさを感じ取った。


『お前の『花鳥風月』は私が改良した。毎回お前を直すのは骨が折れる』


天秤は、少しだけ感情の乗ったような声音でそう告げた。それは、まるで気まぐれな神のような言葉だった。


『さらばだ』


その言葉と共に、かよの意識は突如として強烈な光に包まれた。空間から弾き出されるような浮遊感。意識が急速に、現実へと引き戻されていく。________________________________________


承:『壁紙の中の世界OWPS』


OoPILOT System(OWPS)の中枢制御室は、以前とは異なる緊張感に包まれていた。あれから、すでに一年という月日が経過している。


いずみは、未だに戻らないかよを思いながらも、日々の業務、そして次の作戦立案に追われていた。彼の表情には、一年間の苦悩と決意が刻まれている。


「あれから一年。かよは戻らない。ちえ、報告を」


ちえは感情を表に出すことなく、オペレーターとして淡々とデータを読み上げる。「はい。現在、OWPSによりConductorの精神状態を分析中です。解析率は62パーセントに上がりました」

それは、絶え間ない努力の成果だった。


けいもまた、この一年の努力を報告する。「ハトゥンシステムを用い、世界のコンピューターに侵入し集めた感情理解度の合計は58%。これは、シリコンコンピューターネットワークで解析可能なレベルの限界点に到達したと考えられます」

システムが処理できる限界値。これ以上の進展は、今の環境では望めない。


いずみは、静かに頷く。その目は、すでに未来を見据えていた。

「次のステージへ進む時が来たようだ。ちえ、計画立案」


「まず、シリコンコンピューターネットワークから量子コンピューターへのシステムアップを提言いたします。そのためには、量子コンピュータートップランナーの巨大企業二社のAIを、二社同時に論破しなければなりません」


いずみの声が低くなる。「OoPILOT社とOemini社の量子AIを同時に論破しろと?」


「現在の成功確率は0.0001%です」ちえは、残酷な数字を提示する。


いずみは、その数字を反芻する。「0ではないのだな」


「はい、0ではありませんが……」ちえは言葉を濁すが、その声には微かな希望が宿っていた。

「水槽の脳に挑戦するとは、そういうことなのだ。0ではない可能性に挑戦し続け、考えることをあきらめない」

いずみの決意は固い。しかし、ちえは深刻な表情で続けた。


「それだけではありません。他にも懸念材料があります」________________________________________


ちえは、続く懸念材料を説明し始めた。

「巨大企業AIに対する論破は、必ず国家AIのセンサーに察知されます。最初に迎撃シーケンスを発動すると予測されるのは、精神構造保全庁、通称『役所AI』です。

しかし同時に、内閣官房AI倫理監視局、こちらも『役所AI』の援護が入ると予想されます。


両AIとも、緊急ブースト時には量子技術を使える論理AIです」


いずみが、その複雑な状況を整理するように確認する。「つまり、企業AI二社と役所AI二庁を相手に、同時論破が必要ということだな」


「……そうです」ちえは重い口を開いた。


その瞬間、けいが自ら名乗りを上げた。「わたしがやる」


いずみはけいをじっと見つめる。「無理だ。クロックアップ、それも命を懸けた最大レベルの発動が必要になる。けい、お前がこの一年努力してきたのは知っている。だが、今回は私たちに任せてほしい」


いずみは、ちえに問う。「ちえ、私たちが命を捧げたとして、成功確率は何パーセントだ?」

「10パーセント」


「0.1か……」いずみは、その絶望的な数字を前に覚悟を決めた

「だめだよ、待って!」けいが必死に止めようとするが、いずみは振り切る。「かよが待ってる。私はいく」


「ご一緒しましょう」ちえもまた、親友の決意に合わせるように、自らの命を懸ける覚悟を固めた。

________________________________________

結:『盛り上がっているわね、戻りにくいわ』

仲間たちが、自分を救うため、命を懸けた決断をしていることを別次元からみている、かよの姿。

かよ:「こまったわね、帰りにくくなったわね」


はい、成美さん。ご要望に沿って「高次元存在からの三つの寓話」を、最初にタイトルを提示し、その後は本文をなろう版/直木賞版で交互に表示する形に整形しました。


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〇なろう版タイトル:

『高次元存在が人類にツッコミ!水槽・牛乳・ウイルスで問いかける件』

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〇直木賞版タイトル:

『水槽の脳と天秤――高次元存在からの三つの寓話』

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──本文交互表示──

〇なろう版:

①「魚を水槽で飼うのは当たり前だと思ってない?でも魚に『満足?』って聞いたことある?もし人間が逆に飼われる立場だったらどうする?」

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〇直木賞版:

①「人は魚を水槽に閉じ込める。自らが魚より高次の存在だと信じているからだ。だが魚に満足を問うたことはあるか。人間自身が飼われる可能性を想像したことはあるか。」

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〇なろう版:

②「牛乳を飲むために牛に搾乳機をつける。人間は牛より上だと思ってるから。でもさ、アニマルウェルフェアって何?俺はお前らより2次元上の存在だけど、お前の娘に搾乳機はつけないぞ。どっちが悪だ?」

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〇直木賞版:

②「人は牛に搾乳機を取り付け、乳を得る。自らを高次の存在と信じているからだ。だがアニマルウェルフェアとは何か。私は二次元上の存在だが、人の娘に搾乳機をつけはしない。どちらが悪か。」

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〇なろう版:

③「人類はウイルスに汚染されてワクチンを作った。でもウイルスから見れば無差別大量殺りく兵器だよね?ウイルスに家族がいないって勝手に決めつけてない?誰か一人でも会話を試みた?もし高次元存在が人間にワクチンを打ったら、人間は意見できる?」

**************************************************

〇直木賞版:

③「人類はウイルスに汚染され、家族を守るためにワクチンを作った。だがウイルスから見れば、それは無差別の殺戮兵器である。ウイルスに家族がいないとなぜ断じるのか。誰か一人でも会話を試みたか。もし高次元の存在が人間にワクチンを投与したなら、人は意見を述べられるのか。」

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〇なろう版:

「俺は『水槽の脳』。はるか高次元から地球を見守るよう命じられた存在。6次元の天秤だ。物事を平等に量る!」

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〇直木賞版:

「私は『水槽の脳』。高次元の存在から地球を見守るよう託された。六次元の天秤として、物事を平等に量る者である。」

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