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冷たい石の感触が、意識を引き戻した。
ライネルが目を開けると、薄暗い洞窟のような場所が視界に広がる。手足は縛られ、口には猿轡がかまされていた。
「っ……!」
身をよじるが、固く結ばれた縄が肌に食い込む。目の前では、数人の盗賊が火を囲んで酒を飲んでいた。
「へへっ、今日のはすげえ上玉だな!」
「白い肌と細い腰。久々の大物だぜ!」
「女神の贈り物だ!」
ライネルの心臓が冷たく沈む。
「おい、そろそろボスを呼んで、奴隷商に売る前に俺達も一緒に楽しませてもらおうぜ!」
「おう!」
男が一人、洞窟から出て行く。ライネルは目を閉じ、心を落ち着けた。魔力は封じられていないが、使うには集中が必要だった。
ーーガルツ、どこで何してやがる
ライネルは無意識にガルツを求めている自分に気が付き、驚いた。かつてはどんな時でも一人で乗り越えてきたというのに。