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翌朝、南国の太陽が薄いカーテン越しに差し込み、部屋の中を柔らかな光で満たしていた。
ライネルはベッドから静かに起き上がり、昨日一緒に買った別の服に着替えた。白いシャツの脇には深めのスリットが入り、動くたびに美しい腰のラインがちらりと覗く。下には軽やかなズボンを選び、髪をやや高めの位置で束ねる。涼しげな銀髪が後頭部でまとまり、白いうなじがあらわになっている。
「……おいおい、マジかよ」
部屋に入ってきたガルツは目を見張り、息を呑んだ。
透けるような肌、細い腰、そして涼しげに揺れる銀髪。涼しい服装がこんなにも色気を放つとは思っていなかった。
「……何か変か?」
ライネルが冷ややかに問いかける。普段通りの無表情だが、瞳に微かな不安が宿る。
「いや、違う、違う!逆!」
ガルツは慌てて部屋の隅にあった薄手のローブを手に取り、ライネルにかけた。
「これはお前のだろ?俺は暑いから要らない」
ローブは薄手とはいえ、この国の気候に合ったものではない。
「い、いや、その、あれだ。目立つっていうか、その、ほら、あんまり見せたくないっていうか……」
「……似合わないか……」
ライネルがローブの裾を指でつまみ、伏し目がちに呟く様子は、いつも冷静な彼が珍しく落ち込んでいるように見えた。
「違う!違うって!」
ガルツはライネルの腰を引き寄せ、そのまま唇を奪う。
ライネルの目が驚きに見開かれる。数秒後、唇が離れるとガルツは真剣な目で言った。
「綺麗すぎるんだ。誰にも見せたくねえ」
ライネルは目を瞬かせ、頬をわずかに赤らめる。
「……くだらないことを言うな」
「いや、マジだって。お前、無自覚すぎんだよ」
ガルツはぶつぶつ言いながらライネルにローブをきっちりと着せ、満足げに頷いた。
「よし、これで完璧!んじゃ、ギルド行くか!」
「まったく……」
ライネルは呆れたようにため息をつきつつ、急いで防御力や魔力を高める装飾を纏うと、最後にはきちんとローブの胸元を整えた。
二人は街を抜け、ギルドへと向かう。南国特有の花が咲き乱れる街並みを進む中、ガルツは時折ライネルに視線を投げる。そのたびに胸が軽く疼いた。
ギルドの扉を開けると、そこには活気あふれる冒険者たちが詰めかけていた。依頼板にはずらりとクエストが貼り出されている。
「さて、どれにするかね」
ガルツが軽い調子で呟くと、ライネルが静かに掲示板に目を走らせた。
「魔獣討伐が多いな。特に南の山岳地帯に集まっているようだ」
「よし、じゃあ魔獣退治に決定!」
「本当にお前は考えなしだな」
「いいじゃん、楽しそうだし!」
そんなやり取りをしながら、二人は依頼を引き受けるために受付へと向かった。




