表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/25

13

ガルツは腕の中のライネルの傷ついた顔と手足を見つめ、眉をひそめた。浅くない切り傷からにじむ血が白い肌を汚している。

「……お前らか」

ガルツが低い声でつぶやき、盗賊たちに視線を向ける。剣を軽く持ち直し、殺気を込めて睨みつけた。

「ひっ……!」

盗賊たちは炎牙獣を倒した二人の実力を目の当たりにし、恐怖に顔を引きつらせる。

「や、やべえ!逃げろ!」

「首領、どうするんですか!?」

「バカ!命が大事だ!」

盗賊たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出し、あっという間に姿を消した。

「フン……」

ガルツは剣を鞘に収めると、軽々とライネルを抱き上げた。普段なら絶対に抵抗されるが、流石のライネルも今はそんな気力は無いようだ。

ライネルをそっと近くの岩にもたれかけさせると、ガルツもその横に座り、ライネルを優しく抱き寄せた。

「大丈夫か?」

ガルツが尋ねるとライネルは微かに笑みを浮かべ、力なく口を開いた。

「……手と足は縄を切るとき、手元が狂って……自分で切った」

「何やってんだよ、お前……」

ガルツが苦笑すると、ライネルはかすかに肩をすくめてみせた。

「貞操の危機で……集中できなくてな」

「チッ!あいつら、殺しておけば良かった……魔法で治るのか?」

「恐らく」

ライネルは痛む手を膝に置き、集中力を高めると静かに呪文を唱え始める。

「《ヒール・ライト》」

青白い光が手のひらからあふれ、顔や手足の傷を覆っていく。切れた皮膚がゆっくりと閉じ、血が止まる。

その様子を見ながら、ライネルは不思議な感覚を覚えていた。

——こいつがいると、なんでこんなに落ち着くんだろう。

「ふぅ……」

傷が癒え、ライネルが息をついた。だが、失血までは回復できない。頬がまだ青白い。

「疲れた……」

ライネルが呟くように言い、力なくガルツの肩にもたれかかる。

「おい、大丈夫か?」

「少し、寝る……」

ガルツが声をかける間もなく、ライネルは目を閉じた。

「……おやすみ、ライネル」

ガルツはライネルの温もりを感じながら、夜空を見上げた。星が静かに光り、森の中に静寂が戻っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ