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第6話 捕虜

「・・・・・・案外呆気なかったわね。」




「それだけ技術力に差があるって事だな。」




「それにしてもとんでも無い光景ね・・・・・・」




「あぁ・・・・・・」




 俺たちは、残敵掃討を終えたデルミアン要塞の内部を歩いていた。


 要塞の内部は、死体や瓦礫が散乱しており、それと同時にとてつもない臭いが俺たちを襲った。


 サラージア王国戦とは違い、石や煉瓦のような燃えにくい素材を使って作られたこの要塞では、ナパームがあまりその真価を発揮しなかった。


 その結果、このように死体が数多く残ったのだ。




「これなら要塞の外で待っていればよかったわ。」




「お前がついて行きたいって言ったんだろうが。」




「それは・・・・・・私も妻としてあなたを1人で行かせたく無かったからよ。」




 小声かつ早口でおそらく俺に聞こえないように言ったようだが、アイの力で聴力が強化されている俺には全て聞こえていた。




「ありがとよ。」




「っ!聞いていたのねっ!バカっ!」




 俺が素直にお礼を言うと、何故か怒られた。


 まぁ仕方ない。イレーナはこういう奴だ。


 すると、1人の部下が俺の下にやって来た。




「あの、イチャイチャしていらっしゃるところ申し訳ございません、レオルド様。今少しよろしいでしょうか。」




「い、イチャイチャなんかしてないわよっ!」




 イレーナが、またもや怒りだしたが、俺はスルーして答える。




「おぉ、どうした?」




「大変言いにくいのですが、捕虜と死体はどうするおつもりですか?」




「とりあえず死体は放置すると色々と面倒な事が起こるから、穴掘ってそこに埋める。何なら捕虜の奴らにやらせてもいいから。」




「了解しました。」




「それと必要ない奴らはすぐに本陣に戻ってさっき伝えたプランを実行するように言っておいて。このままの勢いで敵の本体を叩く。」




「はっ!」




 男は敬礼をした後、走り去っていった。


 そしてそのまま俺たちは、色々な方面に指示を出しながら要塞内部を視察した。


 話し合いの結果、この要塞は取り壊さずに残す事にした。俺たちには『L-1』があったから楽に攻略できたものの、この要塞の堅さはアイですら賞賛するほどであった。


 砲撃によって、所々崩壊していたりしたが、手直しをすればかつての要塞が復活できるだろう。そしてその上で、同盟国となったエラリア王国に売る予定だ。おそらく彼らは、喜んで買うだろう。




 しばらく進むと、お目当ての人物が拘束された状態で広場に座っていた。




「噂には聞いていたが、本当に幼い子供が軍のトップだったとは・・・・・・」




「そいつはどうも。」




「それで?我々をどうするつもりだ。」




 そう言いながら、この男は俺を睨みつけてきた。


 まぁ当然の反応だ。要塞としての機能が崩壊するほど砲撃を続け、降伏勧告をせずに砲撃を続けたからだ。




 だが、これには理由がある。




「確かに君たちが怒りたいのも理解できる。だが、戦争にルールなんてあると思うか?俺には、君たちが必死に振っていた黒い旗が、降伏の合図だったなんて知らなかったからな。」




「うぅ・・・・・・」




 戦時国際法が無いこの世界では、宣戦布告などバカか、間抜けがやる事だ。


 降伏勧告も義務じゃない。


 それに、はっきり言うと捕虜は少ない方がありがたい。何故なら、既に3日以内に敵の本隊と激突するかもしれないというこの状況だったからだ。要するに、捕虜達が団結して、反乱を起こされたら面倒って事だ。




 そして俺は、彼に捕虜をどうするかを伝えた。




「君たちには、畑を耕してもらうよ。」




「は、畑だとっ!」




「どうやらこの辺は土地が良いみたいだからな。やる事がないから畑を耕してもらう事にするよ。」




 ちなみに情報提供者はアイだ。人間モードになったアイが、地面を調査したところ、作物が育ちやすい土壌だったらしい。


 いや、ほんとかどうかは保証しないぞ?




【私の調査を疑うのですか?】




 いえ、まったくそのような事は・・・・・・




「我々を生き残らせるのか?」




「あ、断って死にたいなら勝手にやってくれていいよ。」




「うっ!」




 正直なところ、どっちでも良いというのが本音だ。だが、伝染病とかが発生したら嫌だし、敵の本隊と合流されるのも困る。


 人数が思ったより多かったので、エラリア王国に捕虜として送るのも何か変な感じがした。


 まぁ要するに、使い道がないのである。




 ならば農業や土木工事をさせよう、という話だ。




「それで?何か言い訳や文句があるなら聞くけど何かある?」




「い、いえ、ありません。」




「そ、じゃあこいつ連れてって。」




「はっ。」





 敗軍の将軍であった男は、意外にも大人しく従い連れてかれた。


 その様子を見ながら、俺とアイは同時に同じ事を考えた。




【××××××】




 あぁ、俺もそう思う。後で部下に言っておくよ。





 ✳︎






「いや〜すごいね〜」




「レオルドが予想した通りになったわね。」




 そう呟く俺たちの前には、兵力およそ1万6千のラトシア王国軍本隊がいた。


 奴らは俺の予想通り3日後に姿を表し、山麓に陣地を築いた。


 ここからの距離はおよそ5kmほどで、さっきからうざいぐらい多くの斥候がこっちにやって来ている。


 できる限り情報網を遮断したため、敵はおそらくデルミアン要塞陥落の情報を得たいと思っているはずだ。


 敵としては、デルミアン要塞で味方部隊と合流してから攻勢に出るつもりであったが、デルミアン要塞が陥落してしまったため、計画が白紙になってしまい軽いパニック状態になっている事がSHSからの情報でわかった。




 他にも、敵の戦力の細かなら配分やどのような人物が高い地位にいるのかなどが筒抜けであった。




 ハーンブルク領では『スパイ防止法』があるが、おそらくラトシア王国では無いのだろう。


 おかげでこちらはだいぶ助かっていたりする。

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