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第9話 製鉄

 この世界において、鉄という素材はとても貴重だったりする。


 ここハーンブルクでも、鉄鉱石は採掘されるが製鉄の効率がとても悪く、鉄は剣などにしか利用していないのが現状である。


 そのため、領民の農具には石もしくは木が未だに使われている。鉄製の農具も探せばあるかもしれないが、誰も買わないらしい。




 そこで俺は製鉄に必要な鉄鉱石を求めて、ベール川の分流と本流が分かれている場所へと向かった。


 お母様からもらった資料による、ここでは山岳地帯で豊富に取れる鉄鉱石の集積所が置いてあるらしい。




 俺は、リヒトさん、製鉄班のリーダーを任命されたテオバルトとその部下10名ほどと共に、その集積所へと足を運んだ。


 ちなみにクレアには現在学校に通ってもらっている。お母様の案で、子供兵舎に一般人のふりをして通うようになった俺の下の姉のフィリアの護衛として参加している。


 上の姉については知らん。


 ハーンブルク軍の兵達に混じって毎日訓練しているという噂は聞いたが、あくまで噂である。


 確かめる必要性もないし、放置。




 移動には馬車を使って急いで来たが、丸2日ほどかかった。それと道が整備されていなかったため、めっちゃ尻が痛かった。今度改良してもらおう。


 馬車を止めると、1人の男が俺たちを出迎えた。





「ようこそいらっしゃいました、この集積所を任されているヴェンツェンと申します。お噂は大変よく聞いております、レオルド様。ご足労いただきありがとうございます。」




 ドワーフのような見た目をした彼は、ヴェンツェンと言って、彼も昔からこの領地で鉱夫をしているらしい。そして今では、鉱夫の中でリーダーを務めているそうだ。




「レオルド・フォン・ハーンブルクだ。よろしく頼む。こっちは、ハーンブルク領製鉄部門リーダーのテオバルトだ。」




 外から見てみると、5歳の子供がこれほど流暢に言葉を喋るのは、少し恐ろしい感じがするが、今はスルーだ。


 俺の紹介に、テオバルトが続く。




「テオバルトです、よろしくお願いします。」




「まずは、実物を見せてもらおうか。」




「はい、わかりました。どうぞこちらへ。」




 ヴェンツェンの指示に従って、集積所と呼ばれた建物の中に入った。中は結構広く、何かがたくさん積まれていた。そのうちの1つを手で拾う。




【間違いありません、鉄鉱石です。】




 鉄鉱石の実物など、もちろん見た事がないので、今回も『アイ』に全て任せっきりだ。


 俺の出番は無し。


 まるで囲碁を打っているようだ。




【こっちの石炭の方も純度はあまり高くないですが、合格点です。早速この石炭をコークスに変えましょう。】




『アイ』からの指示を、そっくりそのまま2人へと命令する。俺の命令に対して、全く疑問を抱かず、言われるがままに動き始めた。


 重しをおいて石炭を圧縮し、それを炎で加熱してコークスを作る。そして、製鉄に必要な製鉄所の製作を始めた。




 初めの方は、何を作っているのかわかっていなかった2人であったが、俺の考えに触れるにつれ、疑問が驚きへと変わっていった。


 事前に大まかな形は作らせてあり、そこから2日ほどかけて手直しを加えてついに完成させた。早速使ってみる、俺の指示通りに、テオバルト達が動くと、やがて液体となった鉄が出てきた。




「「「おぉー」」」




 途端に歓声が上がる。テオバルトは落ち着いてそれを冷却し、鉄を取り出した。




「間違いなく鉄でございます。純度などはまだわかりませんが、これなら量産が出来るかもしれません。」




「そうか。どれぐらいできそうか?」




「少なくとも以前の100倍はかたいかと。」




「じゃあそれで頼む。鉄はどれだけ作っても損はないからな。」




 周りでその様子を見ていた者達も大喜びであった。製鉄部門のリーダーを任されているテオバルトも満足そうな顔をしながら、製鉄所を見ていた。まだ、少し製鉄所の作りは雑だが、間違いなく鉄である。


 鉄製の農具などが普及する日もそう遠くないかもしれない。


 この技術が、他国や他領に渡らないように警備を厳重にする様に命じた後、俺はシュヴェリーンに帰還する事にした。





 ✳︎





 自宅へと戻って来た俺は、執務室へと足を運びお母様に報告を行う事にした。




「報告は聞きました、新たな製鉄技術を生み出したそうね、レオルド」




「はい。このままいけば、この領地が鉄大国になる事は間違いありません。」




「そうですか。ではレオルド、あなたならこの大量の鉄をどのように利用しますか?」




 言われて、少し考える。


 今の俺は、何をすべきなのだろうか。戦艦とか戦車とか作りたいが、今の技術でそんな物作れるはずがない。


 ならやはり、作るべきは武器からだろうか。


 だが鉄製の武器を量産すると、他国や他領から変に思われる。


 ならやはり作るべきは・・・・・・




「いろいろな道具を作ろうと思います。」




「道具、ですか?」




「はい、武器であれば剣や槍。農具であれば、鎌や鍬。はもちろんの事、木を切るための斧やノコギリなどの領民の生活に関わる物を作ろうと思います。」




 俺の答えを聞きながら、お母様の顔が少し明るくなったのがわかった。お母様も同じ考えだったのだろう。


 そして、その狙いにもお母様は気づいた。




「なるほど、では製鉄技術は我がハーンブルク家で独占すべきという考えなのですね。」




「はい。そして、できた道具を鉄鉱石や食糧などと交換すべきだと思います。王国に鉄製の剣を売れば、喜んで買いに来ると思います。」




「私もちょうど同じ事を考えておりました。材料を輸入して製品を輸出するという形体を作るという事ですね。」




「はい、さらに付け加えるなら、製鉄所は今の集積所ではなく『テラトスタ』に作るべきだと思います。あそこに作れば、材料である鉄鉱石を船を使って輸入し、輸出する事ができます。」




「なるほど、それは良い考えですね。そこら辺の予算の立ち上げや準備は私に任せて下さい。」




「よろしくお願いします、お母様。」




「レオルドがあの時公務員をたくさん雇うようにいった訳が今になって分かりました、あれは製鉄するための人材を確保したかったからなのですね。」




「はい。」




「ふふふ、流石私の息子だわ。先見性や発想力がとても高い。これからも頑張って下さいね。」




「はい、これからも頑張ります。」




 俺が相槌をうつと、笑顔のままお母様がとんでもない事を言った。




「あぁそれと、元々はあの課題を達成したご褒美に発表するつもりだったけど、今教えちゃうわ。3ヶ月後、王都で開かれるパーティーに招待されたわ、楽しみにしてなさい。」




「は、はぁ・・・・・・」




「もちろん一人前にダンスを踊れるように練習しておくのよ。」




 いきなり言われたパーティー開催のお知らせ、だが当の俺はパーティーなんて出た事も見た事もない。


 踊らなきゃいけなくなったらどうしよう。


 俺社交ダンスとか知らんぞ?




 助けて〜アイえもん〜




【・・・・・・助ける気を失いました。】




 おい!割と必死なんだぞ!

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