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第2話 side セリカ&アキネ

「わかった、じゃあ1週間ハーンブルク領で暮らしてみて、慣れたら雇うか決めるよ。それまではお試しって事で。」




 私たちよりもだいぶ年下の彼は、そう言った。




 父上の命令で、ハーンブルク家に雇ってもらうために私たちはハーンブルク領の首都シュヴェリーンへとやって来ていた。


 現在ハーンブルク領では、人口増加政策の一つとして、ハーンブルク領にほぼ無料で行けるサービスを行っていて、私たちはその政策に参加している商人にシュヴェリーンへ送ってもらった。




 馬車を降り、シュヴェリーンへ足を踏み入れた時、私達は自身の目を疑った。




「ここが西の中心『シュヴェリーン』」




「大きいね、お姉ちゃん。」




 噂には聞いていた、短期間で急成長を遂げ、世界最大の都市へと発展した『西の中心・シュヴェリーン』。


 所属する国が戦争中なのにも関わらず、人口、労働人口、経済力、生産力など、あらゆる分野で世界トップレベルの都市だ。


 それだけでなく、就職率や治安の良さも世界トップレベルと聞いている。




「私たち、こんなすごい所と戦争していたんだね。これからどうしよっかお姉ちゃん。」




「まずは通貨の両替から始めましょ。その後は街で情報収集よ。」




「わかった。」




 私達2人が街の人にお金を両替してくれる場所は何処か尋ねると、親切に案内してくれた。


 早速、手持ちのお金を全額シュヴェリーンで使われている『ベル』に替えてもらった。以前までは、サーマルディア王国が発行する『マルク』を使っていたが、最近はハーンブルク領が独自に発行している『ベル』が主流だ。


『ベル』の最大の特徴は、何と一部のお金が金属ではなく紙で出来ている所だ。




「お姉ちゃん、これで本当に大丈夫なのでしょうか・・・・・・」




「そ、そうね。私も本当に紙を渡されるとは思わなかったわ。」




 私たちが不思議に思いながら会話しているのが聞こえたのか、両替所のお婆さんが私たちの疑問に答えた。




「はっはっはー大丈夫だよ。実はそれ、お札って言うんだけど、普通の紙じゃなくて特別な紙で出来ていて複製は不可能なんだよ。君たちはアレかい?トリアス教国が崩壊したから逃げて来たのかい?」




「は、はい。私と妹の2人で・・・・・・」




「大変だったんだね。でも安心して、この街ならきっと2人でも楽しく生きていけるよ。あっそうだ、ならここに行きなよ。」




 お婆さんは、何か思い付いた顔をして机の上から一枚の紙を取って私たちに渡した。




「これは?」




「この街の地図だよ。重要な場所は全部書いてある。まぁまずは仕事を探すために、ここの『ハローワーク』ってとこに行きな。行けば誰でも能力に応じて仕事が貰えるよ。」




「なるほど。」




 私たち2人は、地図を覗き込見ながら、頷いた。


 地図を得たのは大きい、私たちはすぐに目的地である領主の館を見つけた。




「それと、時間とお金に余裕があるのなら是非ここにあるスタジアムに行く事をおすすめするよ。きっと楽しいと思うよ。」




「わかりました、ありがとうございます。」


「ありがとうございます。」




「気をつけてね。」




 お婆さんは、笑顔で私たちを送り出してくれた。ちなみに私たち以外にも、同じような人たちはたくさんいて、それぞれ丁寧な説明を受けていた。


 どうやら、新しくこの都市に来た人にも優しい対応をしているようだ。




 両替所を飛び出した私たち2人の目に、ある物が映る。




「お姉ちゃん、まずはご飯でも食べて見ない?」




「いいわね、確かに私もそろそろ我慢できなくなってきたわ。」




「じゃあ早速並ぼうよ。」




「えぇ。」




 私たち2人は、多くの人々が並ぶ屋台に並んだ。やがて順番が回り、私たちの番がやって来た。




「これは、何という食べ物なのですか?」




「おいおい姉ちゃん達、何かも分からず並んだのか?」




「は、はい。私たち、今日初めてここを訪れたもので・・・・・・」




「おーそーかそーか、ならあそこにはもう行ったか?」




 店番のおじさんは、笑いながら私たちの後方を指差した。


 私たちが振り返ると、すぐに何が言いたいのかがわかった。巨大な建造物が目に入る。




「アレが、シュヴェリーンの中心、『コロッセオスタジアム』だ。」




「アレが噂の・・・・・・」


「大きい・・・・・・」




 私たち2人は、その圧倒的な大きさに思わず息を呑んだ。


 教国にある城よりもデカい・・・・・・


 アレが、この街の中心・・・・・・


 まるで、ここだけ別の世界のようであった。


 そんな私たちの様子を見て、おじさんはとても魅力的な提案をしてくれた。




「しぁーねー特別だ。今日の分のチケットをお前達にやるよ、楽しんで来いよ。」




「「あ、ありがとうございます。」」




「はいよ、それとこれ、注文のワッフルだ。じゃあまた何処かでな。」




「「さようなら〜」」




「おう。」




 観戦のチケットと噂になっていたワッフルを受け取った私たちは、ワッフルを食べながら街を歩き始めた。




「美味しい・・・・・・」




「教国じゃ考えられない美味しさね・・・・・・」




 色々な施設を見て周り、そろそろ領主の館に向かおうとしたその時、突然目の前に現れた変な格好をした少女に呼び止められた。




「こんにちは、お姉さん達、今日はいい天気ですね。」




「そ、そうですね。」




「領主館へ向かおうとしているようですが、本日はどのようなご用件で?」




 私はすぐに、彼女がハーンブルク領における諜報機関SHSのメンバーであることがわかった。明らかに一般人とは思えない身のこなしであった。




 どうやら怪しい動きをし過ぎたようで、目をつけられていたようだ。




「では、一緒に来てもらいましょうか。」




「・・・・・・はい。」




 私たちは、諦めてついて行く事にした。おそらく目の前に出てきた彼女以外にも、たくさんの構成員が周囲におり、逃げるだけ無駄だからだ。




 それに、どちらにせよ領主に会いに行くからだ。

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