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第6話 挙式

 シュヴェリーンを一周するパレードを終えた俺たちは、再びバビロン宮殿へと戻ってきた。


 少し休憩を挟んだ後、俺たちは5人揃ってバビロン宮殿の大広間へと向かった。




「どう、みんな、緊張している?」




「あ、当たり前でしょ!」


「そ、それは・・・・・・」


「は、はい。」


「私も・・・・・・」




「何にも恥じる事は無いよ、堂々と行こうか。」




「「「「はいっ!」」」」




 俺は、緊張をほぐすために一人ずつ頭を撫でながら言った。俺の行動に対して、4人は笑顔で答えてくれた。


 次に、彼女らのエスコート役となるパパさんズにも確認を取る。




「義父上方、準備は宜しいですか?」




「大丈夫だ、レオルド君」


「よろしく頼むぞ、レオルド君」


「はい、大丈夫です、レオルド様」


「こちらも問題ありません、レオルド様」




 ヘレナの父親でサーマルディア王国王太子のゼラストさん、イレーナの父親でサーマルディア王国宰相のギュスターさん、ユリアの父親でリトア王国元王太子のジュンセさん、そして、クレアの父親役を引き受けてくれたアイン。


 この4人が、順番に頷いてくれた。




 ちなみに、クレアに関しては、孤児だと周囲が納得してくれないかもしれないという理由で、俺の側近?であり、ハーンブルク家の家臣の中で最も異彩を放つ男アインの養子となった。彼にはまだ子供はいないが、最近交際していたミレヴァさんと籍を入れており、俺との親交を深める良い機会だということで、養子の件を快諾してくれた。


 果たしてあのマッドサイエンティストに父親が務まるかどうかは大いに謎だが、形だけでも、という事になった。ほんと、アインには感謝してもし足りない。




 全員の確認がとれた俺は、扉の前に立っていた衛士に合図を送った。




「では頼む。」




「「「はっ!」」」




 俺が合図をすると、大広間の扉が開かれた。


 多くの参列者からの拍手を浴びながら、その中央を堂々と揃って歩き出す。




 俺は、この世界の結婚式がどのようなものか知らなかったが、どうやら前線の記憶にあるモノとあんまり変わらないらしい。


 違うのは、式場ではなく新郎の家で行われる事と、神父役を新郎の両親が務める事だけだった。


 中央の台までたどり着くと、パパさんズとは別れて5人だけとなった。




 拍手が止み、全員の注目が俺たちの元へと集まると、お父様がゆっくりと口を


 開いた。ちなみにカンペは無しのようだ。


 俺は、お嫁さんたちよりも一歩前に出る。




「これより婚姻の儀を執り行う。汝、ハーンブルク家の当主として、いかなる時も配偶者と共に歩む事を誓うか?」




「はい、誓います。」




「では我、ジルバード・フォン・ハーンブルクは、ハーンブルク家当主、レオルド・フォン・ハーンブルクの婚姻を認める。」




「はっ!」




 俺は一礼すると、振り返ってお嫁さんたちの方を向いた。


 打ち合わせ通りに実体化モードとなったアイが、横から出てくると4つのプラチナで作られた指輪が載った台を俺に差し出した。




 その内の一つを取ると、ヘレナの前に立った。




「其方を我が妻とする。共にハーンブルク家を発展させていこう。」




「はい、あなたと永遠に。」




 ヘレナは立ち上がると、左手を差し出した。俺はヘレナだけに聞こえる声で「これからもよろしく、ヘレナ」と呟きながら、彼女の左手の薬指に彼女と同じ目の色であるブルーダイヤモンドが埋め込まれたプラチナの指輪を通した。


 そしてそのまま、彼女と軽く口付けをした。


 途端に、会場全体から暖かい拍手が送られた。




 拍手が一旦止むと、続いて同じように指輪を受け取った俺は、今度はイレーナの前に立った。




「其方を我が妻とする。共にハーンブルク家を発展させていこう。」




「はい、いつまでもあなたと共に。」




 イレーナもヘレナと同じように立ち上がると、左手を差し出した。今度は「いつも頼りにしているよ、イレーナ」と呟きながら、真っ赤なピンクダイヤモンドが埋め込まれたプラチナの指輪を彼女の左手の薬指に通し、キスをした。




 さきほどと同じように、ユリアにはイエローダイヤモンドが埋め込まれた指輪を、クレアには、ホワイトダイヤモンドが埋め込まれた指輪をそれぞれの指に通し、口付けを交わした。


 それぞれは、初めてみせたそれぞれへの指輪を眺めながら、嬉しそうに微笑んだ。




 そして再び、会場全体が先ほどよりも数段階大きな暖かい拍手に包まれた。


 俺は4人の花嫁を再び強く抱きしめた。




「ハーンブルク家に栄光があらんことを。」




「「「ハーンブルク家に栄光があらんことを!!!」」」




 この場にいた全員が、心の底から俺たちの結婚を喜んでくれた。




【おめでとうございます、マスター】




 激しい拍手の中、アイの声だけはしっかり俺に伝わった。




 そして俺たちは、本当の意味での夫婦となった。

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