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第5話 成婚

「じゃあ、行くぞ。」




「はい。」


「えぇ。」


「うん。」


「わかりました。」




 俺の掛け声に、俺の可愛いお嫁さんたち4人が優しい声で頷いた。全員が、優しい目で俺を見つめてくれている。


 純白のウェディングドレスに身を包んだ4人の少女は、とても綺麗だった。いや、綺麗に見えると言った方が正しいのかもしれない。


 4人の可愛い花嫁衣装をガン見しないように注意しながら、俺は正面を向いた。だんだんと、緊張が高まる。


 みんなの返事をもらった俺は、バビロン宮殿の正面玄関の扉に手をかけた。防弾仕様にもなっている分厚い扉をゆっくりと押していく。




「行こうか。」




「「「「・・・・・・」」」」




 俺の声に、今度は全員可愛く頷いた。


 俺はみんなより先に真っ直ぐ正面に止まっていた馬車へと乗り込んだ。そして、4人の花嫁を1人ずつ上に引き上げる。


 全員が豪華にデコレーションされた馬車に乗り、左からユリア、イレーナ、俺、ヘレナ、クレアの順で座ると、馬車はゆっくりと歩みだした。




 そして、俺たちを乗せた馬車は、ゆっくりとプラン通りにシュヴェリーンをぐるりと一周した。





 *





 ちょっと前




 着替えを行った部屋で、他のみんなが着替え終わるのソワソワしながら待っていると、背後からノック音が聞こえた。誰か来たようだが、扉を開かなくても誰かわかった。




「入っていいよ~」




「「「「し、失礼しま~す。」」」」




 振り返るとそこには、顔を真っ赤に染め上げた可愛らしい少女たちが一列に並んでいた。それぞれ、純白のドレスを身にまとい、恥ずかしそうにこちらを見つめる。


 俺は、あまりの可愛さに、一瞬で言葉を失った。




【悩殺されてますね、マスター】




 べ、別に?そんな事ないっすけど?




【マスターの脳は、私が管理しているんですよ?私に対して感情を誤魔化せるわけないじゃないですか。】




 ・・・・・・今すぐアンインストールしてやろうかな。




【いいんですか?そんな事して、これから先、一生手助けをしなくなりますよ。】




 はい、ごめんなさい、私が悪かったです。




【わかればいいんですよ、わかれば。ところで先ほどからお嫁さんたちを放置しているようですが、大丈夫なんですか?】




 あ、そういえば・・・・・・




「ちょっとレオルド、何とか言いなさいよ。」




 心配になったのか、イレーナが少しぶっきらぼうに言ってきた。ツンデレ感があってちょっと可愛い。


 他の3人も、どうやら同じような感想をお持ちのようで、俺の事を少し心配そうに見つめていた。彼女らの気持ちを察した俺は、安心させるように応じる。




「4人とも、とても似合っていて思わず抱きしめちゃうぐらい素敵だよ。」




「あ、ありがとう・・・・・・」


「ありがとうございます、レオルド様」


「う、嬉しいです。」


「あ、ありがと、レオルド」




 最近、俺も彼女たちがどうすれば喜んでくれるかがわかるようになってきた。4人まとめて、いっぺんに抱きしめる。お化粧が崩れてしまうかもしれないが、そんなの関係ない。




「そんな、いきなり・・・・・・」




 突然の事で驚いたのか、ユリアが弱弱しい呟いた。アイの力で聴力が強化されている俺が、それを聞き逃すはずがない。




「でも、落ち着くでしょ?ユリア」




「は、はい・・・・・・」




「みんなも落ち着いた?」




「え、えぇ・・・・・・」


「う、うん。」


「も、もう少しだけ・・・・・・」




「わかった。ならもう少しだけ・・・・・・」




 俺は、みんなを抱きしめる力を少しだけ強めると、彼女たちが安心するまで抱きしめ続けた。


 これからの人生を、彼女たちに捧げると誓いながら・・・・・・





 *





「ハーンブルク家万歳!!!」


「ハーンブルク家に栄光あれっ!!!」


「おめでとうございますっ!!!」




 空砲を鳴らしながら、俺たちを乗せた馬車はシュヴェリーンの主街区をゆっくりと進んでいった。


 馬車に乗りながら、成婚パレードに参加してくれた領民たちに向けて優しく手を振る。思ったよりも多くの領民が参加しており、街はかなりの賑わいをみせていた。


 道路は、歓声を上げたり、ハーンブルク家を表す旗を振る領民で埋まっていた。建物からも、様々な横断幕が広げられており、その一つ一つが、俺たちの結婚を祝ってくれていた。


 人口100万人の大都市は、伊達じゃない。シュヴェリーン以外からも、多くの参列者が参加してくれているようであった。




「本当に、多くの人が祝って下さっていますね、レオルド様」




「あぁ、イレーナも、あんなに恥ずかしがっていたのに手を振り始めているもんな。」




 俺の隣で一緒に手を振っていたヘレナが、俺に話しかける。その顔は、今までに一番幸せそうな顔をしていた。まぁ当然か。


 反対隣では、最初のうちは恥ずかしがって、暴走しかけていたイレーナが、笑顔で手を振っていた。




「な、なんか文句あるの?」




「いや別にないけどさ。」




「ふふふ、それにしても本当に、夢みたいですね・・・・・・」




「あぁ、そうだな。俺もこんな日が来るとは思わなかったよ。」




「私もです。まさか結婚するとは・・・・・・1年前の私は、想像もしていなかったでしょうね。」




「私もです。夢は見るだけ、と半分以上諦めていました。」




 そして・・・・・・




「「「「これからもよろしくお願いします、旦那様」」」」




 4人は、息を合わせると、今日一番のとびっきりの笑顔で俺にいった。




「あ、あぁ。」




 ほんとこの笑顔を守らなきゃだな、と俺は静かにそう思った。

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