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第3話 友人

「やぁやぁレオルド君、久しぶりだな。」




 げっ・・・・・・。


 ラジオ放送による最初の放送。


 多少のノイズはあったものの、200個ほど用意した全ての機器で問題無く音が聞こえたらしい。報告を聞くまでは少し心配であったが、どうやらうまくいったようだった。


 というわけで、家族で昼食を食べようって話になったのだが・・・・・・




「今、嫌な奴に会ったって思っただろ。」




「何でわかったんだよ。」




 すげぇこいつ。俺の心を読んでいやがる。




 俺が、心を読まれた事を素直に関心していると、何故かこの男は怒り出した。




「なっ!これでも僕は君の義理の兄だぞ?」




「知ってるわ。というかなんで来たんだよ、招待状は送らなかったはずだぞ。」




 目の前の男、クルト・フォン・サーマルディアを含めた4人の次期王太子の後継者には、今回の結婚式にはあえて招待しないでおいた。


 理由はもちろん、彼らの後継者争いに干渉したくなかったからだ。ちなみに、一応念のためヘレナの父親にあたる存在、現王太子のみ招待してある。


 また、他の王族に関しては、ヘレナが招待したいと言った人物にしか招待状を送ってない。


 他のよくわからない王族まで招待する必要は全くない。というか、知らない王族をシュヴェリーンに招くなど、愚の骨頂だ。


 面倒事は避けるべし、俺の方針は昔から一貫している。




 というわけで、この男は、いやこの男だけは絶対に招待状を送らないと決めていたはずだった。




「君のせいなのかっ!僕の所にだけ招待状が来なかったから何か不都合があったのかと思ったじゃないか。」




「はぁぁ・・・・・・じゃあなんで来たんだよ。」




 貴族には、わけのわからない柵がたくさんある。そのうちの1つに、招待状が無かったら、そのパーティーには参加しないというものがる。


 当たり前な話な気もするが、無理やり参加しようとすることはこの上なく恥ずかしい事で、送らなければ無理やり参加する事はほとんど無い・・・・・・はずだったのだが・・・・・・




「万が一、君が私に招待状を送り忘れた事が原因で、僕の可愛い妹が悲しんだら嫌だからね。こうして来てあげたんだよ。」




「はいはい、ど~せ嘘だろ。というかさっさとそこをどけ、お前の分の食事は用意していないぞ。」




 参加するだけならまだ許せる。どうして結婚式直前のこのめっちゃ緊張しているタイミングでこいつと昼食を一緒に食べなきゃいけないのだろうか。




「あ~それなら安心したまえ、先ほど君のところの料理人に1食分追加で作るように命じておいた。」




「・・・・・・はぁぁ。」




 ため息しか出て来ない。


 色々とこいつを追い出す方法を考えようと思ったが、考えるのも面倒になり、妥協する事にした。


 今余計な事は考えたくないのだ。




「相変わらず仲良いわよね、あんたとクルト殿下」




「どこがだよ、イレーナ」


「良い目を持っていますね、Ms.イレーナ」




 一体何を言っているのだろうか。


 イレーナの言っている事が理解できずにいると、彼女は俺の核心をついた。




「考えてみると、あんたが1番気軽に会話できる同年代の男って、クルト殿下なんじゃ無い?」




「・・・・・・え?」




「だってほら、貴方がお互いに敬語なしで話せる相手って、彼ぐらいしかいないんじゃない?」




「・・・・・・」




 ちょっと待って、否定できない。




【良く見ていますね。私も感じていましたが、マスターには敬語無しで会話できる相手が少ない気がします。女性の方も、イレーナ様ぐらいしかいませんし・・・・・・】





 確かに・・・・・・


 そう言えばそんな気がする。


 あんまり考えたく無かったけど、そう言えば俺に友達っていないな〜




 この日から、悲しい事実に気付いた俺は、クルトに対して少し優しくしようと思った。





 ✳︎





「お久しぶりです、お父様。お元気そうで何よりです。」




「おぉヘレナ、元気そうだな。」




「はい、毎日楽しく暮らしています。」




 昼食を食べ終え、邪魔を排除した俺は、バビロン宮殿内に宿泊していた王太子殿下の出迎えに行った。


 王族と関わるなど、面倒で仕方ないがない事だが、一応は義理の父親となる人物だ。ヘレナと共に、挨拶に行く。


 王族は家族同士の繋がりが浅いのか、それだけの会話で終わっていた。


 俺も続けて挨拶をする。




「ようこそいらっしゃいました、王太子殿下」




「堅苦しいのはいらない、君はジルバードの子供で、私の娘の夫だ、普通でいいぞ。」




「わかりました、ありがとうございます。」




「はっはっはっ〜硬いな〜やはり、ジルではなくエリナ殿に似たようだな。」




「そ、そうですか・・・・・・」




 確かに、あの筋肉やろうよりはお母様の方が似ているだろう。まぁ俺は、お母様ほど上手に経営や政務はできない。


 まぁでも、この回答は少し嬉しい。




「それと、シュヴェリーンの街並みも見させてもらった。万人が笑顔でいられる、まるで理想郷のような所だった、君は彼女に似て聡明なようだな。」




「嬉しいです。私にとって、お母様に例えられること。それは最高の褒め言葉です。」




 俺は、少し頭を下げながら答えた。


 純粋に、自分の作った街を褒められるのが嬉しかったからだ。




「では、案内してくれたまえ、レオルド君」




「わかりました。」




 少し小話を行った俺たちは、王太子殿下を待機場所へと送りつつ、着替えを行った。

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