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第12話 任命

 ギャルドラン王国との戦争が終わり、ハーンブルク領に帰還してからおよそ2ヶ月の月日が経過した。


 それまでは、統一軍と呼ばれていた統一軍構想には、西方統一軍という呼称がついた。ちなみに、本拠地には『レギンレイヴ』という名称を付けさせてもらった。中々決まらなかったので、俺がテキトーに言ったらそれになった。


 初期加入国は、ハーンブルク家、サーマルディア王国、ジア連邦共和国、ギャルドラン共和国、エラリア王国、リトア王国、グルニタ公国、ポラド共和国の8つの地域と国となっている。


 エルフ共和国の存在に、薄々気づいている国もあるが、ハーンブルク領ならともかく他の国にはまだ人間と亜人の間に大きな溝がある国が多いので、今回は見送った。


 8の国と地域について、それぞれハーンブルク家以外はそれぞれの人口の1%以上を統一軍の軍人として『レギンレイヴ』に送る事で合意した。費用についてはそれぞれの国負担で、武器や軍服をハーンブルク領からそれぞれ購入してもらった。


 ハーンブルク領からは、1000名の兵士を送った。特別な部隊というわけではないが、他の国の兵士よりは強いだろう。武器に関しては、ジア連邦とエラリア王国の兵士にのみ『M-1』を支給する事にした。悪用されたらやばいが、出し渋った結果戦争に負けたら元も子もないからだ。


 指揮系統については、最高司令官を会議によって選出し、その選ばれた司令官が最高司令部を設立し、それを『西方統一軍』における最高意志決定機関とした。




 そして、ハーンブルク領首都シュヴェリーンでは・・・・・・




「戦争終結を記念して、乾杯っ!」




「「「かんぱーいっ!」」」




 俺の音頭で、それぞれ軍人達は隣にいた戦友と手に持ったグラスをぶつけた。


 街ではすっかり戦勝ムードが終わっていたが、軍人達は戦後の後処理など、気の抜けない日々が続いていたため、彼らへの息抜きと感謝を伝えるために、バビロン宮殿に招待したのだ。


 ちなみに、最低限の駐留部隊として外国に行っている残念組には、ハーンブルク領で最も高級なチョコレート専門店のチョコレートを送っておいた。どんまい。




 パーティーは、ビュッフェ方式を採用しており、それぞれ自分の好きなように食べ、会話を楽しんでもらうようにしている。


 もちろん、今回招待したのはハーンブルク軍の軍人だけでは無い。


 ハーンブルク家と関わりの深いジア連邦共和国軍とリトア王国軍、エラリア王国軍の将校達も招待した。


 その中でも特に、今回ある重要な役職に大抜擢された彼は注目を集めていた。


 俺は早速、彼に話しかける。




「この度は、最高司令官への就任おめでとうございますジャイアント将軍、いやジャイアント司令。」




「これはこれはレオルド様、この度は推薦どうもありがとうございます。」




「引き受けてくれて嬉しいよ。本当はハーンブルク軍の軍人に任せようと思っていたが、この西方統一軍はハーンブルク家ではなく加盟国全体の代表でなければならない。」




 ジャイアント将軍を推薦したのは俺だ。エラリア国王にとって、右腕とも呼べるジャイアント将軍を西方統一軍の最高司令官に推薦した事を少し悪いと思っていたが、これも大陸西側の安全を考えれば安いものだろう。


 ちなみに、代わりといっては何だが、エラリア王国にはかなり援助する事になっている。


 それが、ジャイアント元将軍が最高司令官を引き受ける条件だったのだ。


 彼は、引き受ける代わりに自国の優遇を望み、俺はそれを了承した。




「そうなった時に、この私に白羽の矢が立ったというわけですな。」




「あぁ、軍はトップが頭脳派の時の方が上手く回る。決断力があり、行動ができるジャイアント司令は適任だったという事だ。これからしばらくの間、しっかりと頼むぞ。」




「はい、承知いたしました。」




 いい返事が聞こえたので、俺がその場を離れると多くの軍人が彼を取り囲んだ。ハーンブルク軍の将校も何人か混ざっており、会話を楽しんでいた。


 続いて俺は、ベルダルスさんの所を訪れた。




「これはこれはレオルド様、先日はどうもありがとうございました。」




「こちらこそありがとうございました。連邦軍を動かせたのはあなたの協力のおかげです。」




 連邦軍には、かなり助けてもらった。戦争というのは、ただ単に戦うだけでは無い。


 兵士の体調管理や軍事物資の輸送、捕虜の管理なんかも必要だ。


 連邦軍には、後方の管理や条約締結の際の仲裁役として動いてもらっていた。出来るだけ揉めないようにお願いしていたが、やはり戦後処理は色々と揉めたらしい。


 つまり、ハーンブルク軍の尻拭いをお願いしたのだ。




「いえいえ、レオルド様たちハーンブルク家には何度も助けられていますから。これぐらい気にしないで下さい。むしろ、此度の鉄道の建設、大変助かっております。私も本日ここに来る時に利用しましたが、アレは素晴らしいものでした。」




「今はまだ、『シュヴェリーン』ー『サラ』間しかありませんが、ゆくゆくはジオルターンまで延ばすつもりですので、頭に入れておいて下さい。」




「わかりました、頭に入れておきます。」




 まだ色々と弊害はあるが、いずれはジオルターン、そしてエラリア王国まで線路を延ばすつもりだ。


 そうすれば、ジア連邦共和国内の行き来が格段に楽になるはずだ。まだ計画段階だが、いつかは実現できるだろう。




 俺は、そんな事を考えながら、パーティーを楽しんだ。

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