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第5話 sideスピカ3

以下、全て亜人語です。

 人間と亜人の最初の対立は、有史以前まで遡ると言われている。


 元々は一緒に暮らしていたと言われているが、いつしか人間による亜人迫害運動が始まった。何が原因なのかは分かっていない、だが少しずつ、人間と亜人の間の溝が生まれていった。




 やがて、人間と亜人の間で、大きな戦争が発生した。


 そしてそこからは早かった。




 争いは争いを呼び、戦争は激化、何度か和睦するも、小競り合いが絶えず、各地で戦争が勃発した。


 結果として、大陸東側で亜人、大陸西側では人間が暮らすようになった。




 以後、未だに争いは収まっていない。




 人間は亜人を嫌い、亜人は人間を恨んだ。






 ✳︎






「なるほど、エルフの国で作った武器や服なんかを売りたいと・・・・・・悪くはねぇな。」




 私が、一通りして欲しい事を要求すると、この街の代表として紹介された獣人の男は、納得したような顔をしていた。


 このような交渉は、もちろん初めてだったが、マニュアル通りにやれば何とかなるだな〜って思っていると・・・・・・




「で、では・・・・・・」




「だが、何と交換するんだ?うちのお金は、エルフの国じゃ使えないだろ?」




「は、はい・・・・・・」




「じゃあその辺はどうするんだ?」




 エルフ共和国では、ハーンブルク領と同じ『ベル』が通貨として使われている。


 元々、お金という文化が無かったエルフ達であったが、サッカー用具やお菓子といった魅力的な品々を買うためにそれぞれもう勉強を、全国民の半分以上が既にマスターしていた。


 そしてもちろん、パラス王国の貨幣はエルフ共和国とハーンブルク領では一切使えないのだ。


 つまり、考えられる手段としては、物々交換か、現地でしか使えないパラス王国のお金かの、2択だ。


 普通に考えれば、確実にその物を獲得できる前者なら方がお得かもしれない。


 だけど・・・・・・




「パラス王国のお金と交換でお願いします。」




「いいのか?それで。」




 以前の私なら、前者を選んだかもしれないが、今なら外貨を稼ぐ事の重要はしっかりと理解している・・・・・・はずだ。


 いや、私は悪くない。その辺は、学校じゃあまり教えてくれないのだ。




「はいっ!それと同時に、大きくて信頼のできる商会を紹介していただけませんか?彼らから、欲しいものが有れば買おうと思います。」




「いいだろう。後で紹介状を書いてやる。」




「ありがとうございます。」




 良かった・・・・・・


 門前払いはされないだろう、と同胞達も言っていたが、実際のところは今の今まで緊張しっぱなしだった。


 ひとまず安心。




「じゃあ早速、俺たちに売りたいと言っていた物を見せてくれ。」




「わかりました。船の中にしまってあるので、陸に降ろさせますね。」




「あぁ頼む。ところで、何を積んできたのだ?」




「はい、私達はとりあえず、剣、盾、弓などの武器を大量に持ってきました。」




「ほぉ、それは楽しみだな・・・・・・」




 私が持って来た物が武器である事を伝えると、男は嬉しそうにニヤリと笑った。


 流石獣人、戦闘好きだ・・・・・・


 私達はさっそく、輸送艦『荒川』へと向かった。







 ✳︎






「おぉーーーっ!」




「片手用直剣5000振、両手用直剣13000振、盾1000枚、弓2000丁、矢40000本ご用意しています。」




「おぉ〜〜すげぇーーなぁーー大量だっ!」


「すげぇ〜〜」


「大量だっ!エルフってすげぇ〜んだな。」




 港に並べられた武器達に釣られて、周囲にいた獣人達も近くにやって来た。


 合計20000個の武器は、圧巻であった。




「いや〜えらい数だな。お嬢ちゃん達が乗って来た船も凄かったが、あれもすごいな。」




「多く作り過ぎてしまったようで・・・・・・」




「なるほどな、だからこれらを売りに来たってわけだな。」




「はい、そんな感じです・・・・・・」




 獣人達は、それぞれ並べられた武器を触り始めた。ハーンブルク家が作ったものではないが、それなりに頑丈なはずだ。


 名の付く名刀というわけではないが、誰もが使えるような使いやすい武器が揃っていた。




 そう、これらの武器の正体は、ギャルドラン王国から巻き上げたものだった。


 サーマルディア王国との戦争で、大量に武器を作ったギャルドラン王国であったが、使わずに終戦を迎えた武器も多かった。


 そこで、使わなかったもの、またはまだ使える武器は全て回収して、外国に売ってしまおうという考えだった。


『M-3』や『M-4』のような高性能な武器ならともかく、近距離でしか使えない武器ならば、いくら売ったところでハーンブルク家の脅威にはならないと判断された。




 それに、量産型とはいえ、鉄を使って作った剣だ。パラス王国でも、かなりの価値があるはずだ。




「わかった。エルフの嬢ちゃん、これらを言い値で買い取ろう。」




「あ、ありがとうございますっ!とは言っても、パラス王国のお金の価値なんてわからないですけど・・・・・・」




「大丈夫だっ!安心しろっ!俺は、同胞には嘘はつかねぇ。」




「あ、ありがとうございます。」




 そこからの話は早かった。小さな街ができるぐらいのパラス王国のお金を受け取った私達は、宴会などをして交流を深めつつ、レオルド様に言われたモノを探して回った。




 あるモノが採れる場所を見つけた私達は、そこの土地を買い、仮の拠点を建てた後、ハーンブルク領へと帰還した。

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