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第15話 婚約

「ハーンブルク家長女の、スワンナ・フォン・ハーンブルクだ。」




「へ?」




 驚きによって、頭が真っ白になったらしく、ゴミ王子は間抜けヅラを晒した。


 俺は、心の中で大爆笑である。


 まあ確かに、国王を守るために強い戦士は必要だろう。


 だとしても、アレは女とは呼べないレベルである。




「お前も知っての通り、私とハーンブルク家当主であるジルバートは仲が良くてな、ジルバートに娘が生まれた時、俺に息子が生まれたら嫁がせると約束をしていたのだ。」




「そんな・・・・・・」




 ダメ王子は、小声でそんな事を呟く。


 もしかすると、宰相はこれがあったから自分の娘を俺の所に送ったのかもしれない。


 このダメ王子のダメエピソードは、まだ例の発言しか知らないが、きっと普段からあんな感じなのだろう。


 後から聞いた話によると、あの宰相はダメ王子と筋肉ダルマが結婚するように色々な所に手を回していたらしい。どんだけ娘を嫁にしたくないんたよっと思わず突っ込んだ。




「どうした?不満か?」




「い、いえ、不満なんて全くありません。」




 おいおい、顔に不満って書いてあるぞ(笑)


 そして、国王やスワンナが追い打ちをかける。




「自分の妻とは仲良くするのだぞ、サルラックよ。」




「婚約していただきありがとうございます、末永く宜しくお願いします。」




 初めてみる姉の照れ顔を見ながら、ご愁傷様と心の中で祈っておく。


 国王が拍手を始めると、様子を見ていた他の貴族も揃って拍手を始めた。


 これでもう確定となった、逃げる事は出来ない。


 そしてこの中で、この結婚を喜んでいたのは大人達だけではない。ファリアやダメ王子の弟達も喜んでいた。


 まぁその理由は、自分と同性の兄姉の婚約者が見つからないと、自動的に自分の婚約者を作ることができないという下心だったりするが・・・・・・




「よかったな祝福してもらえてハッハッハ」




 王太子は、大声を出して笑った。


 どうやら純粋に祝福しているようだ。


 そしてダメ王子の困った顔、この顔を見ただけでも、ここに来たかいがあったというものだ。




【・・・・・・マスター、6歳児とは思えないような悪い顔をしてますよ。】




 いやいや、俺も純粋に喜んでいるんだよ。


 いや〜よかったな〜


 お姉様の婚約者が決まって、俺も嬉しいよ。




【・・・・・・】




 と、ここまではよかった。




 筋肉ダルマの夫も見つかり、国王との会話もスマートにこなし、このまま帰れたら計画通りであった。


 婚約を祝って、優雅にダンスパーティーに戻ろうとした俺を、お父様が止めた。




「おい待て、話は終わっていない、お前の婚約者も決めたぞ。」




 ん???


 よく聞こえなかったな。


 きっと気のせいだろう。




「お父様、早く戻らないと後がつっかえていますよ。」




 俺は、お父様の手を引っ張ってその場を離れようとしたが、逆に引き寄せられてしまう。




「待てって、お前の婚約者も決まったんだぞ。王太子殿下の三女のヘレナ王女様だ。」




 へ〜お父様って同級生で親友の王太子にも、公然の場では殿下って付けるんだ〜


 知らなかったな〜




「はい?」




 ちょっと待て、いやだいぶ待て。


 婚約?俺の?


 いやいや冗談でしょ?顔も名前も知らんぞ?そんなやつ。




「これは冗談ではないぞ、レオルド。」


「おめでとう、レオルド。お嫁さんを大切にするのよ。」


「レオルド君、余の孫娘を大切にしてあげてほしい。」




 何を言われているのか訳もわからず、ただ呆然と突っ立っていると、俺が困惑している事に気づいた大人達が現実に引き戻そうと試みた。


 いや、正確には現実を突きつけた。




「あの、私はまだ6歳ですよ?」




「貴族の婚約は普通の6歳から10歳の間で行われるから別に普通だぞ?珍しいところだと生まれる前から決まっていたりする。」




 実は正論である。俺も、いつかこの日が来るかもれないな、と覚悟していたが、こんなに早いとは・・・・・・


 再び、パーティー会場は拍手に包まれた。あのダメ王子も、ここぞと言わんばかりに拍手をしている。少しムカつく。


 というかどの子よ。


 俺は、自分の嫁がどんな子なのか知らなかったので、王太子の子供達に視線を移す。




【反応から推測するに、どうやらあの中にはいないようです。】




「国王陛下1つお願いがあります、ヘレナ様に会わせていただけませんか?」




 俺はとりあえず会いに行く事にした。お土産とからなんも持っていないが、初対面なら何とかなるだろう。


 すると、国王は近くにいた護衛を呼び寄せて、命令した。




「よかろう・・・・・・レオルド君をヘレナの部屋へと案内せよ」




「はっ!」




 今回の婚約を当然断れるはずもなく、俺はその誘導に従ってパーティー会場を後にした。





 ✳︎





 レオルドを見送った後、ハーンブルク家の人々はスワンナを置いて、ダンスパーティーの会場へと戻った。


 そして、急遽決まった子供達の結婚について話し始める。




「行ったな。」




「行きましたね。」




「これで本当に良かったんだな、エリナ。スワンナの方は賛成していたが、レオルドの方はまだ少し早かったんじゃないか?」




「いえ、レオルドには早いうちに婚約者を決めてほしい理由があるのです。」




「どんな理由なんだ?」




「それは、あの子が今後するであろう苦労を一緒に分かち合っていくいいパートナーを見つけてあげる事です。母親をしてもう12年になりますけど子供に幸せになってほしいという母の気持ちは、変わりませんよ。」




「なるほどな・・・・・・」




 ジルバートは、自分の息子がどのように成長して行くかを想像しながら頷いた。




「お母様、レオルドお兄様は?どこに行ったの?」




「ふふふ、レオルドはお姫様を迎えに行ったのよ、ユリウス。」

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