表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
148/181

第16話 終戦

「・・・・・・こんなところか。」




「えぇ、これぐらいでしょうか・・・・・・」




 ダンタリオ侯爵との講和会議は、日が落ちるまで続いた。とは言っても、ダンタリオ侯爵が部下に持って来させたギャルドラン王国の資料に目を通し、具体的な講和の内容を決めるだけだったので、結構スムーズに話が進んだ。




 資料を読み進めるにつれて、色々な事がわかった。例えば、ギャルドラン王国とポラド王国のやりとりや、前回のサーマルディア王国との戦争の経緯や結果などが書かれたものもあった。




 そして、1番気になっていた数字が書かれている項目を発見した。




 総動員数・・・25万4000人


 第1陣・・・19万人


 第2陣・・・5万2000人


 第3陣(海兵隊)・・・1万2000人




 戦死者数(行方不明者を含む)


 7万5631人




 軽傷者数


 およそ15万人




 重傷者数


 3万7564人




 損害


 ギャルドラン王国海軍


 ・・・大型船20隻


 ・・・中型船154隻


 ・・・小型船91隻




 重傷者数の方が戦死者数よりも少ないのには驚いたが、そういうものらしい。


 また、小型船の方が中型船よりも少ないのは、母数が違うからだそうだ。




 また、ハーンブルク軍の戦死者数はまさかの0だった。銃が暴発して重傷を負った者は2人いたが、母数が1万人である事を考えればまぁこんなもんだろう。ちなみにこの2人は、銃の手入れを怠っていたらしく、ただの自業自得らしい。




 銃の手入れをしないとか、馬鹿すぎるだろ。




【彼らには、楽しい特訓コースを用意してあります。】




 ・・・・・・実は結構、教官の仕事に気に入っていたり?




【最近のマスターは、私がフォローしなくても、ある程度政務ができるように成長したので、私は私の仕事をしている感じです。】




 な、なるほど。


 まぁ確かに、俺もこの世界に来て長いし?巷で噂の、天才だし?




【調子に乗らないで下さい。】




 はい、すみません。




 サーマルディア王国軍の損害状況は全く知らないが、ハーンブルク軍の死者数は0で重傷者も2人だけ。


 軽症者は結構多かったが、みんな命に別状はない。誰が見ても、完全勝利であった。




「では、ひとまず今日は解散にしましょう。」




「はい、私もこの場で決まった事をギャルドラン王国の上層部に伝えて参ります。ハーンブルク家には、様々な面で譲歩していただいたので、おそらく反発するような事はないでしょう。」




「このままスムーズに話がまとまるといいですね。」




 俺とダンタリオ侯爵との間には、2国間の条約について、ある程度の方針は決まったが、これをギャルドラン王国の国王が承認しないと話は進まないらしい。


 まぁ絶対王政の国家だったからそれも仕方ない。ゆっくりと待つとしよう。




「ところで今回の戦争に参加した者たちはどういたしますか?」




「あ、そういえばそうだったな、どうするか・・・・・・」




「軍人に関しては、マルカトの治安維持のために活用したいと考えておりますが、民兵に関してはそちらに権利がありますのでご自由にどうぞ。何でしたら、戦争奴隷にしていただいても構わないですよ。」




 先程の話では、国民の安全を確保してほしいと言っていたのに、民兵として戦争に参加した者たちにはノータッチ。


 おそらく俺の予想通り、民兵というのは邪魔者を排除するための口実だったのだろう。はっきり言って、使い道は全くない。何も思いつかなかったら、鉱山送りにするのが妥当だろう。




「こちらで考えておくよ。」




「わかりました。では、私はこれにて失礼します。」




 ダンタリオ侯爵は席を立つと、そう頭を下げてから去っていった。後に残された俺とイレーナとヘレナは、3人で今回の会議について振り返りながら、3人での時を過ごした。




 今回の講和会議で、色々な事が決まった。


 まず、領土分割について、以前トリアス教国戦で使ったあのアルバス河よりも西側を全てと、アルバス河の分流が流れている所とその周辺が、サーマルディア王国の領土となった。


 ただし、アルバス河の左岸にある湾岸都市『トモタカ』と、マルカトの近くにある半島の全てをハーンブルク家が所有する事で合意した。


 そして、それ以外の土地は全て、ギャルドラン王国改め、ギャルドラン共和国の領土となった。




 ギャルドラン王国は、王家が追放処分となり、ギャルドラン共和国となった。


 ギャルドラン王国に属する貴族については一応現状維持となった。というのも、誰が悪くて誰が悪くないという判断がつけられないので、サーマルディア王国に丸投げする事にした。


 サーマルディア王国が裁き、ハーンブルク家が承認し、貴族に罰を与えるという方式を採用した。ハーンブルク家に有益な貴族まで潰されるのは困るからだ。




 とは言っても、現在ギャルドラン王国に、力を維持したままの貴族は1人もいない。みんな、戦争によって少なくないダメージを負っており、当分悪さはできないはずだ。


 仮に反抗しようとしても、『トモタカ』に駐留するハーンブルク軍がすぐに対応する事になっている。




 新たに誕生するギャルドラン共和国は、旧貴族達が議員となって、議会による運営を行うそうだ。ただもちろん、勝手にアレコレ決められないように、サーマルディア王国から監視役が派遣される事になっている。




 賠償金については、今のところ無しの方向だ。しかし、サーマルディア王国が政治について口を出す事ができる事になっているので、むしろ賠償金よりも大変かもしれない。


 訳わからないものを高額で買わされたり、変な政策を作らされたりするからだ。




 まぁその辺はノータッチ。


 それと、俺の提唱した、統一化についても、強引に話を進める事で合意した。


 ひとまず、決めなきゃいけない事は決まったと言っていいだろう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ