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第6話 sideユリア2

 私、ユリア・フォン・ハーンブルクは、おそらくこの国で最も幸運な少女かもしれない。異国の天才レオルドと結婚する事になった私は、彼のアドバイスと彼からもらった女王の椅子を使って大改造を行った。反対する貴族をすべて片付け、無理やり『選挙制度』を導入した。




 リトア王国の産業にも大きな変化が訪れた。


 アルバス河に面している部分を全てハーンブルク家に割譲してしまったが、ハーンブルク軍の軍港である『サックナ軍港』の邪魔にならない程度であれば、水産業を行って良いということで話しがまとまったため、あまりダメージは受けなかった。


 代わりに、ハーンブルク領首都シュベリーンから、ジオルターンを経由して運び込まれた大量の物資によって、色々な産業ができた。


 まず、品種改良された種子や、普通なら農民が手に入れる事ができない鉄製の農具などが大量に支給された。各農村にそれぞれ1種類ずつ、多い所だと10本近くが無償で支給され、リトア王国ではちょっとした農業改革が行われていた。




 また、国内の端から端まで都市間の道が整備され、国内の交通もだいぶ楽になった。レオルドがいうには、ハーンブルク家の兵士は土木工事ができて一人前とされているらしく、リトア王国に駐留する事になったハーンブルク軍の軍人達が中心となって道路や橋の建設が行われた。


 彼らとはサックナ軍港建設の際にも共同作業を行っていたので、少し前までは敵同士だったとは思えない協力をみせた。


 もちろん、抵抗や反発もあったが、ハーンブルク軍が現れると蜘蛛の子を散らすように去っていった。




 そして、一年近くが経過し、リトア王国が安定してきたある日、そろそろ来るかもしれないと警戒していた書状がやってきた。




「レオルド様より、ポラド王国の排除命令が届きました。」




「頂戴いたします。」




 ユリアが出迎えると


 そこには一人の男と、その部下と思われる女が待っていた。女の方が、手に持っていた書状を彼女に渡した。


 内容は開かなくてもわかる。


 すると、ユリアの目の前に座った男が、口を開いた。




「まずは自己紹介から始めさせくれ、お前さんの夫の父親のジルバードだ。髪色は違うが本物だ。」




 目の前に座る男の言葉を聞いて、私はとても驚いた。いつかポラド王国をどうにかするように命令が来るかもしれないと考えていたが、まさかこんなに早いとは思わなかった。




「は、初めまして、ユリア・フォン・ハーンブルクです。」




「うん知ってる。いや〜びっくりだな〜遠征に行ったと思ったらまさか嫁さんを増やしてくるとわ。」




「ご、ごめんなさい。」




 慌てて誤ったユリアに対して、ジルバートは笑いなながら答えた。




「いや、謝る必要はどこにもない。むしろ俺は良かったと思っている。」




「そ、そうですか・・・・・・」




「あぁ・・・・・・是非とも息子を支えてやってほしい。」




「は、はいっ!」




 ジルバートの問いかけに対して、ユリアは元気よく頷いた。


 なんというか、思っていたよりもずっと軽い。レオルド様のお父様という事で、とても厳しい人を想定していたが、どうやら違うようだ。




「よぉ〜しそれじゃあこの辺でお仕事の話に入るか。」




「は、はいっ!」




「今のところ、ポラド王国に動きはまだ無いが、邪魔は早いうちに片付けた方が良いという、理論からポラド王国への侵攻が決まった。もちろんリトア王国単独ではなく、我々ハーンブルク家は当然として、グルニタ公国とエラリア王国とジア連邦共和国が援軍として参戦してくれるそうだ。4方向から同時に攻撃を開始し、ポラド王国の滅亡もしくは大幅な戦力ダウンができれば勝ちといったところだ。」




 まさかの4カ国合同作戦。聞いただけで、今回のハーンブルク家は本気であり、確実にポラド王国を滅亡させようとしている事が伝わる。


 その証拠に、ハーンブルク家から1万5000、4カ国合わせて8万の援軍が集結していた。


 正直、今の弱ったポラド王国の事を考えればオーバーキル状態だ。




「では我々からも兵を?」




「いや、リトア王国は現在の状況を考慮してハーンブルク軍の兵士3000のみが参加すれば良いそうだ。」




「あ、ありがとうございます。」




 もちろんだが、私たちに拒否権は無い。どうやらリトア王国に駐留していたハーンブルク軍の方には既に情報が行き届いているらしく、王都周辺にはハーンブルク軍と、ジア連邦共和国軍の兵士たちが既に武装した状態で待機していた。




「では少し早いかもしれないが、明日の昼頃に出陣する事にする。今回の戦争にはお前さんも参加するように言われているから準備をしとけよ。」




「は、はいっ!」





 翌日、レオルドの父ジルバートを中心とした連合軍がポラド王国を滅ぼすために動き始めた。

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