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第4話 作戦

「レオルド様、どうやら敵は、反撃を行わずに王都に立てこもるようです。」




「そのようだな・・・・・・」




 双眼鏡を使って、ここから敵の王都マルカトを眺める。SHSとTKSETからの敵部隊発見の知らせはない。


 どうやら本当に敵は王都に引きこもっているようだ。




【おそらく、こちらの目論見通り敵の王都周辺はだいぶ手薄になっていると思われます。】




 これは、俺とアイの予想通りであった。現在敵部隊の大半はサーマルディア王国戦に備えており、わずかに残っていた敵の予備部隊は先日海の底に沈めたばかりだ。


 つまり王都に残っている敵は、ほぼゼロなはずだ。


 こんな状態でハーンブルク軍に野戦を挑むのは自殺行為に等しい。


 そこで彼らは、国民から守備兵を募るか、残っている僅かな兵力を使って全力で防衛すると予想していた。


 おそらく、彼らの目的はサーマルディア王国領トリアス地区方面に派遣されている部隊が救援に駆けつけるまでの間の時間を稼ぐ事を最優先にしたのだろう。




「一番面倒なのは、王都に住む国民が民兵になる事だな。」




「そうね、あんたが目指している『統一軍』の事を考えるならできるだけギャルドラン王国の国民からあまり恨みを買わない方が賢いわね。」




 俺の隣に立っていたイレーナが口を挟んだ。イレーナは今回も、俺の優秀な右腕として軍の指揮を任せてある。


 ちなみにヘレナとクレアは『秋雨』の中だ。上陸させても良かったが、念のため安全な船の中にいてもらっている。




「ん~どうしよっかな~」




「あら、貴方の事だからお得意の情報封鎖からの兵糧攻めをすると思っていたけど違うの?」




「まぁそれでもいいんだけどね。俺はギャルドラン王国の首脳部がどんな奴らなのか知らないからさ、国民を見殺しにするような連中だったら意味無いだろ?それと、何人か斥候を逃がしたらしいから、おそらく情報封鎖はもうあまり意味無い。仮に王都を包囲しても、兵数的に絶対に穴ができる。」




「なるほどね。たしかに王都が危機ならって言って挙兵する貴族がいるかもしれないわね。」




【他にも、我々の食糧もそれほど多くないという問題があります。ユリウス様が指揮する第四艦隊があとで食糧や武器、弾薬を届けてくれると言う事になっていますが、それに頼り切るのはあまり好ましくありません。】





 周辺貴族達の忠誠がどれほど厚いかは知らないが、もちろんそういう者たちが出てくるだろう。正面からぶつかれば負ける気がしないが、残念ながらそうはいかない。


 彼らは別個の軍隊となって色々な方向から攻撃されるだろう。




 また、トリアス教国のように、国民の中に現在の国家に不満をもっている者が一定以上いるならば内部分裂を狙うという手もあったが、ギャルドラン王国内にはあまりいないらしい。しいていうなら、終戦を望む声は多くあったが、敗北を認めてでも終戦をしていと思うものは少ない。




 それと、アイが挙げた食糧の問題もある。ここは完全に敵地であり、船を使った輸送しか、物資を確保できない。食料だけなら最悪略奪すればいいが、銃弾がこんなところに落ちているわけがない。




【節約はもちろんしますが、帰りの事も考えなければなりません。兵糧攻め作戦は、多くのメリットがありますが、同時にデメリットも多くあるのです。】





「じゃあどうするのよ。まさか、話し合いで解決するってわけじゃないでしょ?」




「うん、向こう側の計算だと、おそらく防衛は十分可能だと判断したから籠城を選んだんだと思うし、話し合いでの交渉は無理かな、今の状態だと・・・・・・」




 ギャルドラン王国の動きから、彼らの動きをある程度予想できる。おそらく彼らは俺の予想通りの事を考えているだろう。


 そうなると、交渉を行ったところで時間稼ぎに利用されるだけだ。降伏勧告はするが、話し合いには応じない予定だ。


 すくなくとも今は・・・・・・




「ならどうするの?」




「まずはここを要塞化する。大丈夫、これで上手くいくはずだ。」




 俺は、上陸が終わったハーンブルク軍の全兵士に、ここを要塞化するように命じた。数は少ないが、苦労して持ってきた機関銃を数機ここに設置し、手の空いている者には塹壕を掘るように命じた。規模はあまり大きくないし、だいぶ簡易版にしたので、おそらく一日あれば完成するはずだ。


 そしてさらに、ハーンブルク海軍の兵士のほとんどは先日デュークス島での演習の際に具体的にどう動けばいいか確認してある。


 兵士達は、俺の命令の通りに拠点を作り始めた。




 その様子を見ながら、俺はある2人の人物に、SHSを通して書状を送った。


 きっと、彼女らなら上手く動いてくれるはずだ。

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