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第15話 統一

「我々としては、ハーンブルク家の独立は望んでおりません。」




「「えっ!」」




 俺の返答に、隣に座っていたイレーナと正面に座っていたギュスターは揃って驚きの声をあげた。まぁ当然だ、おそらくギュスターさん含め、王宮はハーンブルク家の望みが独立であると考えたのだろう。


 俺は国王になんかなりたくないし、面倒なだけって思っているが、中にはなりたい人もいるだろう。


 まぁ正直、ハーンブルク領が独立したら王政国家にはならないだろうけど・・・・・・




「では、参戦は見送るという事ですか?」




「いいえ、ハーンブルク家としては、第三案の提案させて欲しいと考えております。」




「別の案ですか?」




「はい。」




 俺は、ギュスターさんから今回の提案を受けてから、わずか5分でアイと共に議論を行い、方向性とそのための具体案を出し合い、結論を出した。


 そのためもちろん、お母様やイレーナは構想を知らない。


 ハーンブルク家の政治面での最終決定権は一応お母様が担っており、軍事面と教育面、研究面の3つは俺が担っている。


 今回の話に俺が決定権があるか、と聞かれればおそらく無いと答える。お母様が独立を望んでいない事は共有しているが、俺の作った案を賛成してくれるかどうかはわからない。


 でもきっと、賛成してくれると思う。


 俺は、自らの案を発表した。




「それは、サーマルディア王国、ハーンブルク家、ジア連邦共和国の3つの軍を中心とした、大陸西側の統一軍を創設したいと考えております。」




「統一軍ですか?」




「はい。現段階で、大陸西側における我々の敵はギャルドラン王国とポラド王国のみであり、この2国を併合、もしくは滅亡させれば大陸西側における我々の覇権が確定し、絶対的なものとなります。」




 俺の計算では、ギャルドラン王国を1年以内に滅亡させる事は十分可能だと考えている。先程、ハーンブルク海軍が、ギャルドラン王国海軍の主力をことごとく撃沈させ、圧勝したという報告が入った。つまり、海上からギャルドラン王国領のあらゆる地点に強襲上陸が可能となり、サーマルディア王国軍がギャルドラン王国をだいぶ疲弊させてくれたおかげで、彼らの抵抗力はかなり低いと考えている。


 ポラド王国はお母様にボコボコにされ、既に軍部は瀕死状態となっている。時間が経てばまた復活するが、ギャルドラン王国が倒れればもはや抵抗する意味は無くなるだろう。




 つまり、ギャルドラン王国を一方的に潰せば、大陸西側は我々のものと言っても過言じゃない状態となる。




 そこで必要となってくるのが、西側諸国による団結だ。




「大陸西側を制覇した我々の次なる脅威は、大陸中央と東側と南側に限定されます。このまま平和に物事が進めば良いですが、まず間違いなく何らかの形で争いが発生すると考えております。そうした時に我々に求められるのが、大陸西側諸国で団結し外敵の侵入を防ぐ事です。南側は、我々と同じ人間の国であるガラシオル帝国があるのでまだ安全ですが、大陸中央部は言わずと知れた人類側と亜人側の境目であり、大陸東側は完全に亜人の国しかありません。」




「おっしゃる通りです。」




「そして、亜人同士はご存じの通り仲が良く、国家間の争いも少ないと聞いております。大陸西側がバラバラになった事をきっかけにして、連合を組まれて攻められたら、おそらく泥沼化し我々はどんどんと後退していくでしょう。」




 ガラシオル帝国が、国力の劣るはずのパラス王国との戦いに苦戦しているのが大きな理由だ。


 パラス王国は、周辺にある亜人の国から多大な支援を受けており、圧倒的に有利な状況で戦っていると聞いている。


 本当は亜人と人間で仲良くするのが1番だが、そのような夢物語はほぼ不可能。亜人が協力するならば、人類も協力しないと、文字通り滅ぼされる。




 SHSが持ち帰った情報によると、亜人の国における人口に対する戦争参加率は異常に高いらしい。例えばハーンブルク領では、300万超の人口に対して陸海合わせて4万人ほどの兵士がいる。しかし、亜人の国では多いところだと人口のおよそ25%が戦争に参加するという情報を得た。


 この数字は驚異的だ。


 もし仮に、人口400万ほどの国家があったとしたら、彼らの軍は100万という大軍になる。いくら技術力で圧倒的なアドバンテージがあるハーンブルク家といえども、戦力差25倍はどうしようもない。




「つまり我々としては、速やかな団結が必要なのです。そこで、先ほど述べた3国を中心とした統一軍の設立を提案します。」




 俺の提案に、会議室にいた他の3人は言葉を失っていた。先ほどはノーリアクションであったヘレナも、俺の構想を聞いて、驚いた顔をしていた。


 圧倒的な視野の広さと、卓越した情報分析能力、俺とアイは3人とは別の場所を見ていた。




「では、具体的な話へと進みましょうか。」

Xやってます。

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@ASasterisk_

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